第25話 ターゲット (裏)

戦闘を開始してから数分たった頃、虎マッチョが少し距離を取る


「ナカナカノ ツヨサダ」


「ダガ モクテキノ ツヨサデハナイ」


俺に強さを求めてる言葉をしてる時、遠くから人が近づいてくる


「ケンゴ無事?」来たのはフィナだった


「フィナ、レッドドラゴンはどうした」


「それにミリスたちは大丈夫なのか?」


フィナがニッコリ笑いながら「バッチリ倒したわよ」


「ミリスは筋肉痛で動けないから、プリエルが背負いながらここに向かってるわ」


話し終えたフィナは、虎マッチョに目視する


「白いドラゴンかと想像したけど、人形にオオカミが混ざった感じだね」


「人形の魔物なんて見たことも無いうえに、分からない言葉も使ってるし」


「どこから沸いて出てきたのよ」


確かに異質な強さと、存在してない魔物が、小さな森林に居れば、動物や魔物たちは逃げまわる


村周辺まで魔物が動き回れば、村人が異変に気がつかないとは思えない


兵士から、急に現れたと言っていた事も考えると、相手は召還のスキルを持っている可能性がある


そう言えばミリスが言っていた


召還には契約した魔物を目の前に呼び出す方法と、契約したテイマーの所に転送する方法


他には地面に魔方陣を書き込み、対象を送る方法があると言っていた


「フィナ、森林のどこかに魔方陣が有るかもしれない」


「それを探しだして、破壊してほしい」


「もしかしたら新たな魔物を送り込んでくる可能性がある」


「わかった」フィナが頷き、上空に飛ぶ


「ハナシハ、オワッタノカ?」


フィナとの話を終えるまで待ってたようだ


今の会話でわかった


やりにくい


今までの魔物と違い、動きが読み取れない


格闘ゲームで言えば、見切るタイプである


相手の強さと行動を覚えて対処する戦法だから、俺との相性が悪い


俺の方は、わざと隙を作るフェイント型だ


攻撃をしたくなる動きをする事で、相手の行動が予測しやすくなり、攻撃を交わして反撃をする


だからお互い様子を伺う状況になるため、激しく動き回りながら、チャンスがあれば強力な攻撃を伺っていた


戦闘を続けて30分ほどたつと、新たな人影が見えてきた


プリエルとミリスだ


プリエルがミリスを下ろすとふらつきながら座り込む


「ミリス大丈夫?」俺が返事をするとプリエルが返答する


「魔力と体力が尽きて動けない状態です」


「・・・ハナシハオワッタノカ?」会話をする度に、虎マッチョが待っている


生死の戦いをしてるのに、俺に対して殺意を感じないのが気になる


又戦闘を再開する


「!?」虎マッチョの顔に焦りが見えた


「オマエ、キュウニツヨクナッタ?」


ミリスの疲労を見た俺は虎マッチョを早く倒して、町に戻ったらミリスを休ませたい気持ちになり、戦法を攻めに変えた


「・・・」すると虎マッチョが急にミリス方に技を放つ


「空波斬」虎マッチョの爪から鋭利な波動が放たれた


俺に対して技を出さなかったのに、動けないミリスに対して技を出しできた


ミリスの近くにいたプリエルがマジックバリアで塞ぐ


「うっ! 凄い威力」


「私でも長く持たないかもしれません」


ミリスの方に攻撃をさせない為に、虎マッチョに技を放つ


「このやろう!」波動胞を放つが避ける


「ナルホド、タシカメルヒツヨウガ、アリソウダ」


虎マッチョが呟くと、上空から俺の隣にフィナが降りてくる


「ケンゴ、魔方陣を破壊したわよ」


これで新たな魔物を送り込んでくる事はない


「フィナありがとう」


「これでアイツを倒せば、この森林から驚異は無くなる」


フィナが照れながら「感謝だけで終わらせないからね」


何か要求されそうだ


「・・・」虎マッチョが何かを考えてる


急に虎マッチョが俺の方向に技を放った


「十波斬」


だが大きな十字型の刃が俺の方ではなく、フィナの方に迫る


フィナはとっさに避けるが、大きな刃がフィナに当たる


フィナは直撃は受けなかったが大きく吹き飛び、地面に倒れたまま動かない


「フィナ!!」俺は叫ぶが反応がない


俺は感情をむき出しにしながら無我夢中で、虎マッチョに波動砲を放つ


それは自分でも分からないほど、スピードと威力が出ていた


「オォ!」虎マッチョが防御体制で波動砲を受けると、体を震えながら話してくる


「キサマノツヨサガ、ワカッタ」


「オウ二、ホウコクスルヒツヨウガ、デキタ」


王? テイマーの主は王なのか?


虎マッチョの足元から魔方陣が現れると、光に包まれて消える


「フィナ!」俺はフィナの方に振り返り近寄る


フィナを見ると、体に大きな傷と出血をしていたが、息はあった「プリエル、回復魔法を」


プリエルがヒールで治療をする


虎マッチョは、俺を倒そうとはしていない


状況が変わったのはミリスが来てからだ


そのことから見て、虎マッチョはミリスたちを攻撃して、俺の感情を揺さぶっていたのかもしれない


もっと冷静になっていれば、フィナが攻撃目標だったことを理解できていたはず


虎マッチョの技を打ち消すか、フィナを抱えて回避も出来たはずなのに・・・




【暗闇に覆われた城】


「イマ、モドリマシタ」


虎人の前に王座に座る女性がいる


「目的の異世界人はいたのか?」


「ハイ、イマシタ」


「デスガ、シンカヲスルニハ、マダタリマセン」


「オウガイッテイタ、カンジョウデ、パワーガアガル、ヒトデス」


「なるほど」


「ユニークスキルのラプパワーがあるものか」


「学園にいた時、小さな姫も同じスキルを持っていたな」


「たしか、愛情が高いほど、ステータスが上昇するスキル」


「愛情にも色々有る」


「親子の愛情、男女の愛情、片想いの愛情など」


「姫のステータスを見た時、たいして興味もなかったがなるほど」


王と呼ばれた女性が笑う

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