第24話 アラサーの憂鬱 (表)

『オマエハ、テンセイシャカナノカ?』


私の知らない言葉にケンゴが驚いてる


その反応に人形が笑う


『ナルホド、ミツケタ』


『オマエガ、ドレホドノツヨサカ、タシカメル』


ケンゴが身構える


「ミリス、フィナ、プリエルでレッドドラゴン対応してほしい」


「俺は、虎マッチョを相手にする」


ケンゴが凄く慌ててる


あの人形が異質な存在なのかもしれない


「分かった」


「ケンゴも気をつけて」


「フィナ、プリエル」


「予定の作戦で行きます」


フィナとプリエルが頷く


プリエルが前方、フィナが中間、私が後方の位置になった


プリエルの全身に光が一瞬包まれる


このスキルはオーラバリアで、魔力が尽きない限り、魔法と物理が無効になる無敵スキルなのだが、弱点がある


それはダメージを受けた分、魔力が激しく消耗しするため、効率が悪い


ほとんどの人は魔力がすぐに尽きてしまう


だけどプリエルの魔力は、ケンゴと出会ってから日々に上昇しており、今ではケンゴの次に魔力が高い


プリエルが右手を前に出すと、複数のロープの形をした物がレッドドラゴンの足に絡み付く


そしてロープの先を周りの木に巻き付ける


レッドドラゴンが身動きが取れなくなった瞬間に、フィナが切り付ける


フィナが呟く「熱い! それに切った感触が変だよ」


私が返答する「多分、自己再生が能力が高いのかもしれません」


「なので、再生が追い付かないほど攻撃をして下さい」


「無理! 熱すぎ」フィナが文句を言ってきた


レッドドラゴンの火とフィナの風が相性が悪いみたいね


フィナが少し距離を取ると、レッドドラゴンが足の束縛を解くために、プリエルに向かって口から炎を吐く


だが、プリエルにダメージが無いことが分かるとフィナに攻撃対象に変える


レッドドラゴンのブレスをフィナが必死に避ける


「ちょっと、こんなの直撃したら死んじゃうよ」


「ミリス早く倒して!」


ドラゴンを倒す役は、私とケンゴになっている


プリエルは魔力が高いが、強力な攻撃スキルがない


フィナは魔物より対人に合わせた攻撃スキルを習得していたのが影響している


その為、私がとどめ役になった


「我慢してください、空に逃げられると魔法が失敗するかもです」


レッドドラゴンが私に警戒が無くなり、フィナに集中攻撃をしている今が成功率が高い


左手に魔力を込める「ウォーターボール」


巨大な水玉が、レッドドラゴンの方に放つ


レッドドラゴンがフィナとプリエルに注視していたおかげで、直前まで気がつかない


ロープの束縛で動けなかったレッドドラゴンが直撃するとレッドドラゴンが激しく叫ぶ


「グァー」


凄く効いている


私は更に追加で右手で魔法を発動しようとした時、レッドドラゴンの全身が光始めた


するとウォーターボールの水が蒸発し、レッドドラゴンから熱風を放っていた


その熱風がロープで縛っていた周りの木が燃えて一瞬で炭になり、ロープもほどけてしまっている


周りの木が無くなった事で、レッドドラゴンが空に飛び始める


空に飛んだレッドドラゴンが私に向けてブレスを吐く


私はブレスを防ぐか悩んだ


ウォーターで相殺できるが、魔力が低い私には数回程度しか防ぎきれない


更に、レッドドラゴンを倒せる魔力がギリギリなので無駄に消耗できなかった


ブレスが迫ってきくる


フィナの様な素早く回避できない私は魔法で防ごうとした時、プリエルが目の前に立ちマジックバリアで防ぐ


「倒せる魔力が無くなれば、ケンゴ様に負担がかかるのですよ」


プリエルに怒られた


「ごめんなさい」


私はケンゴの方を見ると人形と接近戦で激しく格闘をしている


ケンゴと同じ戦闘スタイルで同等に渡り合えている


今までに無いほど、ケンゴが苦戦をしているのを始めて見て、早く援護に向かいたい


その為には倒す方法を考えないと


私が考えてると、離れていたフィナが私たちの所まで来る


「ミリスしっかり倒しなさいよ」


「・・・」また怒られた


「失敗したけど次の作戦はあるの?」


フィナ問いに私は「・・・無い」


フィナがため息をつきながら「じゃあ没になった作戦で行くしかないよね」


私は青ざめる


「無理!私には」


私の返事にプリエルが「フィナが熱い思いをして頑張ってくれたのにミリスは頑張らないの?」


何て事を言ってるの


魔導士でアラサーの私に肉体労働させようとしている


「ケンゴが苦戦してるのに迷うこと無いでしょ」


フィナの言葉に、私の拒否権がなくなる


私は半泣きで「分かったわよ・・・」


空を飛んでるレッドドラゴンがブレスを吐くのを止めて、私たちを睨めているタイミングで


「それでは行きます」プリエルが魔法を解く


私が左方向に動き、フィナとプリエルは右方向に動き出す


レッドドラゴンが左右を見て、私の方に追いかける


フィナに比べて動きが遅く的にしやすいのか、私を標的にして連続でブレスを吐く


私は必死に逃げる!


半泣きな状態で、服が焦げ始めながら全力疾走する


「ゼェゼェ、熱い・・・無理」魔力よりも体力が先に尽きそう


そんな時、レッドドラゴンよりも更に上空からプリエルを抱えたフィナが、レッドドラゴンに目掛けて突進する


魔物の本能なのか私に集中しすぎて、直前までフィナの接近に気がつかなかった


私から目線がそれた瞬間に、私は立ち止まり巨大なウォーターボールを作り出す


そしてプリエルが形を作り出す


それは巨大なハエタタキをしている


プリエルは大きく振り下ろし、レッドドラゴンを叩き下ろす


バチン!と激しい音と共に私の方にレッドドラゴンが落下する


ウォーターボールを手元で維持して構えてると、レッドドラゴンがウォーターボールの中に入る


私は素早く右手で魔法を唱える「アイスロック」


するとウォーターボールが瞬間に氷の塊になり、レッドドラゴンが氷透けなった


数秒後、フィナが私の所で抱き抱えてたプリエルを下ろす


「倒せたのでしょうか?」


プリエルが質問してきたので返答する


「心配なら、砕くと良いかもせれません」


「なら砕きましょう」プリエルが大金槌の形を作ると、氷の塊を叩く


すると氷の塊にヒビが入るとすぐに粉々に砕け、凍ったレッドドラゴンの破片が地面に広がる


すごい力だ


これだけの氷の質量から、元回復術士だったとは思えないほどである


プリエルの強さはケンゴと似て、更に強くなっている


それに対して私の強さは限界にきている


今後私では、強敵を相手に出来ない恐れがあり、プリエルに対して嫉妬してしまった









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