第十八話 ゾンビは胸を借りる②

「なんでぇえええええええええええええええええええええええ!? なんでなんでな――んんぅうううううううううううううううううううううううううううううううううっ!!」


 現在、ゾイはゴブリン達に拷問されていた。

 いったいどうしてこうなったのか。


 洞窟の最奥。

 そこの壁に武器で手足を磔にされ――。


 ジュッ。


 と、考える間もなく聞こえてくる音。

 その正体は簡単だ。


「あぁああああああああああああああああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」


 ゴブリン達が、ゾイへと焼き鏝を押しつけてきたのだ。

 そんな彼等はゾイへと言ってくる。


「ギギっ……ギギギっ!」


 笑ってる。

 ものすごく楽しそうだ。

 なんで、どうしてこうなった。

 

「僕はマオ様の部下だ! 部下な――っんにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんんんんんんんんんっ!!!!!!」


 再び当てられる焼き鏝。

 しかも今回は一つだけではに。

 ゴブリン達が同時に、それを押し当てて来たのだ。


「……あ」


 もうダメだ

 気がつくと、ゾイはガクリと意識を失うのだった。


      ●●●


あれからどれくらいの時間が経ったのか。

少なくとも、数日――下手すれば一週間以上たっている気がする。

今日も今日とてゾイは。


「やめ、やめでぇえええええええええええええええっ!」


 拷問されていた。

 しかも、今日の拷問はメニューが違う。


 まず、ゾイはゴブリン達に腹を裂かれた。

 次に、その中にネズミ型の魔物を入れられたのだ。

 そして最後、ゾイはその状態のまま、腹を汚いヒモで閉じられた。


 するとどうなるか。

 簡単だ。


「だぢでぇええええええええええええええええっ! ね、ネズミ……お、お腹からだしでぇえええええええええっ!」


 ネズミの魔物さん。

 ゾイの中を元気に走り回っている。

 気持ち悪い気持ち悪い、気持ち悪――。


「おぇ――っ」


 チューっ!

 と、聞こえてくるネズミの鳴き声。

 ゾイの口から、ネズミが顔を出したのだ。


 再び、腹の中に戻られてはたまらない。

 ゾイはそんな事を考えた後。


「っ!」


 ネズミを思い切り噛みつぶす。

 すると。


「ギギギッ!」


 と、ゾイの方を指さし笑ってくるゴブリン達。

 まったく面白くない。


「うぅ……も、嫌だ……誰か、助け――」


「ギギッ! ギッ!」


 と、ゾイの言葉を断ち切る様に聞こえてくる声。

 見れば興奮した様子のゴブリン達。

 彼等は火かき棒のようなものを手に取り。


「や、やめ……やめてください。お、おねが――」


 ゾイの言葉を無視するかの様に。

 なんと、ゾイの肉にそれを突き刺し、引っ張ってきたのだ。


「あぎゃぁああああああああああああああああああああっ!」


 自然、ゾイの口から出る悲鳴。

 ぶちぶちと千切れて行くゾイの肉。


 痛い痛い痛い痛い痛い痛い。


 もう涙すら出ない。

 まともに何かを考えることも出来なくなってきた。

 ただ一つ思い浮かぶのは。


「マオ、様……ど、して……」


 そこでゾイは再び、意識を失うのだった。

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