第十三話 魔王城への凱旋
時は翌日。
場所は魔王城――玉座の間。
現在。
ゾイはクレハと、大量のゾンビを引き連れ、そこへと戻ってきていた。
「ここがゾイの家? とても広いのね」
ひょこりと、首を傾げてくるのはクレハだ。
彼女はそのまま、ゾイへと言葉を続けてくる。
「ゾイは……お金持ち?」
「いや、ここは僕の家じゃないよ。ここはマオ様の家……というか、お城かな」
「マオ様?」
「そう、帰ってくるときに話しただろ? 僕を助けてくれた恩人で、僕の理解者……僕が仕えている主だよ」
「聞いた気がするわ……マオ様、偉い人なのね」
狐耳をぴこぴこ。
よくわかっているか、わかっていないのか。
謎な様子のクレハさん。
(クレハがマオ様に何か失礼なことをする前に、もう一度ちゃんと教えた方がいいかもな)
などなど。
ゾイがそんな事を考えていると。
「ご苦労、無事に我の命令を達成したようじゃな」
と、聞こえてくるマオの声。
彼女はどこからか現れ玉座へ座ると、そのままゾイへと言ってくる。
「そのゾンビの出どころはわかるが……その狐娘はなんじゃ? とてもゾンビには見えんが」
「はい、今説明します」
こうして、ゾイは全てを語っていく。
村で起きたあらゆる出来事を。
すると。
「なるほど、まぁよいのじゃ」
と、つまらなそうに言ってくるマオ。
彼女はゾイへと言葉を続けてくる。
「戦力が増える分には、我は別にどうこう言ったりせぬ。せっかく得た戦力なのじゃから、存分に使うといい」
「ありがとうございます」
「ふむ……ところでゾイよ、うぬに今回の件で褒美を取らせようと思うのじゃ」
「え、そんな……いいんですか!?」
これは頑張ったかいがあった。
ゾイがそんな事を考えている間にも、マオは歩いて行ってしまう。
故にゾイはそんな彼女へと言う。
「あ、あの!」
「早くついて来るのじゃ……あぁ、クレハはそこで待たせておくといい、あとで我が部屋に案内するのじゃ」
さすがマオ。
出来る上司とは彼女のことだ。
これならば、クレハのことは心配しなくても大丈夫に違いない。
●●●
そうして数分後。
案内された場所は拷問部屋だった。
「マオ様……えっと、これは――」
「ゾイよ……使い魔を使ってうぬの戦いをずっと見ていた」
と、平坦な声色で言ってくるマオ。
彼女はつまらなそうな様子で、ゾイへと言葉を続けてくる。
「ゾイ……ゾイ……なんとも弱く使えぬゾイよ、うぬには失望したのじゃ」
「へ?」
直後。
ゾイが覚えたのは、胸に何かが突き入れられる感覚。
「ごぼっ!?」
口から零れる血。
見れば、ゾイの胸からは腕が生えていた。
その腕の持ち主は――。
「つまらぬ奴じゃ」
聞こえてくるマオの声。
同時、ゾイの心臓は彼女によって、握りつぶされるのだった。
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