第17話 バディ

「わたしたちってバディものよね」

「○○を汚すな系のクレーマーが鼻血吹いて怒り狂いかねん仕分けミスだが、コンビなのは認めざるをえない」

「不服そうね」

「そりゃさ、別にあたしだってこんな介護まがいのツッコミ役したくないしさ…。

どうせ組むならもっとほら、イケメンとかイケオジとかイケショタとかと…なあ?」

「池波正太郎と何する気?」

「文豪をイケショタとは略さねえよ!

イケてるショタ!」

「と3Pしたいのね」

「ちがいます」

「いわゆる相棒」

「いわゆらんよ!

某ドラマが変な意味になるだろ!」

「ふふふ…ハメ山君。🍺

ぼくはこの1杯を愛してやまないんですねえ〜」

「公務中に大ジョッキ呑むなや。

なんだその絵文字」

「本当はティーポットから5行分くらい赤線下に伸ばすネタやりたかったけど、ティーポットが無かったから」

「往生際が悪い。

しかしカクヨムって絵文字ちゃんと表示されるのか…?」

「んぐ、んぐ、んぐ、ぷはあ。

さて、景気づけの1杯も済んだところで更にバディの絆を深めましょうかねえ〜ハメ山君〜」

「深めたいなら女キャラを竿役みたいな名前で呼ぶんじゃねえ!」


「バディって何すればいいのかしら」

「教習所落第するDQNかよ。

そろそろ見切り発車はやめてほしい」

「まあまあ、いま考えるから。

うーんと、少々いがみ合うくらいの凸凹コンビが主流よね?」

「一卵性双生児のコンビ…もいなくはないけど、たいてい敵かちょい役だなそういうのは」

「どっちが凸役やる?」

「もしかしてエロい話してない?」

「なぜそれ以外だと思えるのかしら」

「それ以外であってほしいからだよ!

デコボコを性的な意味で捉えるんじゃない!」

「いま気付いたんだけど、まさかコボちゃんってそういう…」

「絶対違う」

「攻めも受けもいけます的な…」

「違うっつってんだろ」

「ならおとぼけ課長はどういう意味?」

「とぼけた課長って意味しかねーの!

なんでもエロ眼鏡で見んなよ!」

「よし、順調にいがみ合ってるわねわたし達」

「いや、いがみ合っときさえすればバディ枠、とはならんだろ…。

あたしらのやり取りなんて字面だけなら場末のゲイバーだぞ。

もうちょいなんかこう、なにかしらの事件に立ち向かうとかしないと」

「大変だわ。

バイブのあて過ぎで恥骨が痛むの」

「控えろ」

「解決したわ」

「事件が弱い!

あたしが言ってんのは互いの能力やら性格やらを活かす形にならなきゃバディ感出ないだろってこと!」

「ふむ。

ただ1と1が在るだけでなく、凸凹がズッコンバッコンしてオギャアと生まれる何か、すなわち相乗効果こそバディの醍醐味と言いたいのね」

「だいぶ曲解されてるが大筋はそう」

「乗馬ムチー!

えいっ!」

「いてっ!!」

「いやらしいお尻!いやらしいお尻!」

「いてっいてっ!!」

「相乗効果ってこれで合ってるのかしら」

「よーしお前もうバディ降りろ。

免停だコラァ」

「お願い許してちょうだい。

まだまだ事故り足りないのよ」

「その犯行予告でどう許せと!?

相乗効果の件もだけど、何がバディなのかわからないなら素直に諦めてくれ!」

「相乗効果…相乗…ハッ!

そうか、そんなにも簡単な事だったのね。

全てが繋がったわ。

今から本当のバディになるわよ」

「ああそう、まあ頑張ってくれや。

どうせ下ネタだろうけど」

「召喚!

イケショタ君!」

『うわああ!?』

「おお、ショタが出てきた…自由だな〜お前」

『ここどこ?

お、おねえさんたち…だれ?』

「ふふふ…少年?

お姉さんたちは平和で健全で政治的に正しいSDGsよ。

だからまずそのブザーから手を離しなさい?」

「初見で不審者判定くらってるし」

『うちにかえりたい…』

「お家よりもっといい所にイク方法を教えてあげるわ。

仰向けに寝て。

そうそう。

そしたらお姉さんたちが君に相乗りした効果で相棒をギンギンに」

「立て少年!!

振り向かないで逃げろ!!」

『うっうわあああああ!!』

「なんということ。

相棒が遠ざかっていくわ」

「あれはただの棒だ。

相棒じゃない」

「あら、ちょっとカッコいい」

「お前の賞賛はヘイトスピーチにあたるんだから慎め。

あと念の為釘刺しとくけど無理やり乗ったら犯罪だからな」

「そこは相手次第よね。

あのくらいの歳になればもう立派な雄として振る舞ってくれるものよ」

「余罪匂わせるな怖いから」

「大丈夫。

いざって時はあれが池波正太郎だったという事にすれば」

「そうだね、侮辱とか名誉毀損でさらに刑期が延びるね」


「さて…相乗効果で逮捕者出しかけたわけだし、我ながらバディものらしくなったと思うわ」

「…ま、ロックマンとワイリーの関係をバディと解釈するならそう見れなくもないかもしれない。

それより…はあ。

やっとまともな男キャラが出てきたのに、キモがられて逃げられて終わりって…」

「落ち込まないで。

わたしならコボちゃんだからあなたに合わせられるわ」

「さっそくコボちゃんを柔軟な変態の隠語に使うな。

はあ…また介護士生活かあ…」

「病人と介護士。

とってもバディだわ」

「転職したい」

「ダメ。

我らSDGsは不滅よ」

「さっきも言ってたがその大嘘なんなの?」

「わたし達のコンビ名よ。

すごいドスケベガールズ」

「平和で健全で政治的に正しいドスケベって革命政府の自称くらいしか考えられねーんだが」

「さあ、この青く冷たい星を桃色に染めあげていくわよ!」

「オラッ!!

腹部及び後頭部への痛打ッ!!」

「ぶべきゅう」

「よし…病んだテロリストを寝かしつけたとこで今回は以上だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る