第16話 ひみつ道具
「空を自由に飛びたいわ」
「飛べば」
「ぶいーん」
「飛ぶな」
「なんて自分勝手な人なのかしら」
「何の説明もなくいきなり飛びだす自分勝手な奴が相手ならそうもなる。
ぶいーんって駆動音っぽいからドローン車かなにか?」
「飛翔呪文よ」
「ダセえ!」
「
「トベルーラみたいに言ってもダメ!」
「わたしの夢は叶ったわ。
あなたの番よ」
「何が」
「あんな夢こんな夢いっぱい語りなさい」
「10億欲しい」
「わかったわ。
ぶいーん」
「なぜ飛ぶ?」
「これは万札コピーしてる音よ」
「自分勝手のレベルが違うなお前は!
絶対ダメ!」
「ふむ…やはり現実を乗り切る処世術を叶えようとすると無理が生じやすいようね」
「で、今回は何なんだ。
おおかたドラえもん関係だろうが」
「最近知ってしまったのよ。
アニメのドラえもんが過去のエピソードをリメイクしてると」
「そらそうだろ。
前にやったから見たい人はのぶ代版見てください…なんて言ったら喧嘩売ってると解釈されてもしょうがない長寿作なんだから」
「そうね。
でもこれは別のもっと大きな問題を孕んでいると思うの。
過去の有名エピソード人気エピソードをリメイクしなきゃならないくらい新たな展開が足りていない、という事じゃないかしら」
「だってねえ、原作者はお亡くなりになってるわけだし」
「そこで。
足りぬのなら作ればいい。
新たな夢を描けばいい。
わたしたちでかつてないひみつ道具のアイディアを出し、ドラえもんの延命に一役買おうって寸法よ」
「じゃあ最初の飛翔呪文使って遊んでたのは何なんだ」
「アイディアが出なかったから」
「もうダメそう」
「触手オナマットー!
この総シリコン製のマットにはたくさんの突起が生えてるでしょう?
このプリプリにローションをまぶして、パンツ脱いで座って、腰を前後に動かせばんほぉぉおおおおおおお!!!」
「あれ?
カット&ペースト失敗したのかな?
文章の前後が狂ってるんだけど」
「わたしたちでかつてないひみつ道具のアイディアを出すって話よ。
合ってるじゃないの」
「狂ってるのはお前の頭だったか。
その卑猥な道具を土曜5時のアニメでどう使うつもりなんだ」
「しずかちゃんが」
「アウト」
「床オナに目覚めて」
「止まれ」
「これはお風呂マットだから…と言い訳しながら今日も腰を振るしずかちゃん。
そこへ例の如くどこでもドアが」
「エロ同人の導入作ってるんじゃないんだぞ。
家族が安心して見れる番組を…なんてクレーマーにはあたしもウンザリしてる側だけど、それでもドラえもんでエロはちょっと」
「線引きをちょうだい」
「裸パンチラの露出はOK。
オナラで音楽奏でるとかの下品もよし。
ギンギンの性欲で原作破壊してくる面々は嫌」
「とは言えよ。
新しいエピソードを作る以上、キャラの新しい一面の開拓はやむを得ないわ。
付け加え、あなたも認めるようにドラえもんは長寿作。
長い歴史を以てしても未踏の領域となれば、それはやはり雄大なエロの大地に他ならないのではないかしら?」
「行ってないと行ってはいけないを履き違えるな」
「全ての夢が失われたわ」
「お前しずかちゃんを淫乱にする夢しかねえのかよ…」
「無いわ」
「こいつ…」
「いえ…なにを弱気になっているのわたしは。
今は無くてもいいんだわ。
そう、無いなら作ればいいのよ。
メスガキしずかちゃんの艶っぽさに周囲が困惑する以外の夢を生み出せばいいのよ」
「なんかクリエイターの熱い話みたく言ってるけどまだルール確認の段階だからな」
「では改めまして。
ハイカキンー!
このハイカキンを使うと世の中のどんなものにでも課金できるようになるわ」
「うん…いいんじゃない?
とっくにありそうって点を除けば」
「困ったわ。
ネタ被りかどうか判別つかないわ。
一応原作は全巻読んだけど、最後に見た劇場版は南海大冒険よ」
「にわかの老害じゃん…この世で最も邪魔くさい存在のひとつだ。
なら現状どんな道具が存在するか全然把握できてないわけか。
そんなんだとアイディア出したところで被るのがオチじゃね?」
「しょうがないので構わず出しまくりましょう。
どうせ誰も見てないんだし」
「背向け前ダッシュだなぁ」
「シンジラレンズー!
ファクトチェックだのネットリテラシーだの面倒くさいなあ…そんな時にはこれ!
このレンズを通せば真実が見えるの」
「原作に似たようなのあった気がするんだけど…あたしも覚えてねーや」
「ハイカキンでしずかちゃんの淫乱モードを解禁したのび太。
『ちがう!こんなの私じゃない!』否定するしずかだったが、シンジラレンズに映る彼女はガニ股おねだりを繰り返していた。
しずかの未熟な固定観念は、真実の熱によって淡雪の如く蒸発し…」
「はいストップ」
「エロい使い道しか思いつかないわ」
「そこは責めまい。
原作からして石ころ帽子とか4歳児でもエロに行き着くだろって道具ばっかだし。
だが、それをそのままやっちまったらドラえもんじゃない」
「超科学をエロに使っちゃいけないなんて…頭がおかしくなりそうだわ。
いったん休みましょう」
「その基準で言うとお前は多少おかしくなったほうがいいと思う」
「ふう…インストールした事も無いスマホゲーのエロ画像検索して落ち着いたわ。
ひみつ道具を考えるって大変なのね」
「そうだね」
「どうしたの気怠げに」
「あのさ…もうわさドラに代わって19年なんだよ。
のび太の恐竜2006も18年前なんだよ。
つまりリメイク絡みの苦言も18年以上前の焼き直しでしかないんだ。
そりゃダルいって」
「あら、18年前って言ったらおよそ三ヶ月前じゃないの。
余裕で最新トピックね」
「ちょっとなに言ってるのかわかんないっす」
「わかりなさい」
「なんでお前がキレてんだよ!
18年前は18年前なの!
18年前をついこの間みたく語るのはボケ老人かエンシェントドラゴンなの!」
「時差ボ計ー!
これを使うと周りの人間の時間感覚を自分に合わせられるわ。
はい、2024年は西暦で言うと?」
「だ…だいたい1994年です…。
だー!戻せ直せ!」
「平成へようこそ」
「平成は死んだ!もういない!
くそっ当たり前に精神攻撃する所だけドラえもんらしくなりやがって!」
「つまりわたしも成長できてるという事ね。
いい傾向だわ。
あとは棚上げされてたあなたの夢を叶えてひと区切りにしましょう」
「夢ってもねえ、金以外にはこれと言って…」
「そっちはもう少し待ってちょうだい。
まだ二千万くらいしか刷れてないわ」
「うおおい何シレッとコピー続けてんだ!
いくらドラえもんでもダメなものはダメ!」
「んもうしょうがないなあ。
わたしの不思議なポッケを写したマン札って事にして合法化しましょう」
「仮にそれで逃れられるとして、そんなもの10億もらってどうしろと」
「燃やすと暖かいわよ」
「意外に謙虚なんだよなぁ。
何にせよあたしの夢はお預けか」
「まだよ。
さあ願いを言え。
どんな願いも叶えてやろう」
「作品変わっちゃってるんですけど。
まあ道具の性能に依存しない分ドラえもんより都合いいかも?
んー願いか…えーと…モテたい!」
「ムリだその願いはわたしの力を超えている」
「なめとんのか」
「よいしょ。
というわけではい、ギャルのパンティー」
「いらねえ!
今お前が脱いだやつだしパンティーっていうかヒモだし!
あたしも一応女キャラなんだしさぁ、女が嬉しいやつにしてくれよ!」
「んもう。
はい高級バイブと刀剣乱舞」
「お、おう…ありがと…」
「今回は以上よ」
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