第11話 合体
「むかしむかしあるところにスクウェアとエニックスがおりました」
「今もおるんだけど」
「スクウェアはプレステへマテリア探しに、エニックスはさんでぃースティックをグリグリ回しに…と思いきやプレステへ石板を探しに行きました」
「あー…」
「さんでぃースティックで待っていた任天堂はびっくり仰天。
怒った任天堂はエニックスのムービーを呆れるほどひどい出来にしてしまいました」
「マジで怒られそうな捏造やめろ」
「その後なんやかんやあってスクウェアとエニックスは夫婦となり、二人仲良く任天堂のゲームに出ましたとさ。
めでたしめでたし」
「そういやスクエニになって久しいか」
「2003年だから19年前ね。
カプコンVSエスエヌケイのセンセーションが落ち着いた頃だわ」
「当時は任天堂VSコナミVSセガVSカプコンVSスクウェアVSエニックスVSエスエヌケイVSアトラスVSナムコみたいなゲームが出るとは夢にも思わなかったなぁ」
「そう、かつて業界は硬直していたし、今は比較にならないほど柔軟に寛容になったわ」
「20年前なら訴訟待ったなしだったであろうゲームも今じゃわんさか売られてるよな」
「アズールレーンとか」
「具体例を出さんでいい」
「インディーズも含めたら数限りなくあるでしょうね」
「まあ訴訟されなくなったわけじゃないし火種は無数に燻ってるだろうけどねえ。
それでもパッと見かなり和やかになった」
「この変化は一社一社が独自のゲームで独占的に集客するより、入口の最多化によって業界全体の集客を最大化したほうが長い目で見れば得という認識が広がったためと考えられるわ」
「ふむ。
で、何が言いたい?」
「結果ゲーム業界の発展が成ったのだとしたら他の業界にも同じ手法を活かせないかしら」
「またとっくに誰かが手をつけてそうな事を…」
「わたしの手はイヤらしいのよ」
「だとしたら敗北宣言だよ」
「とりあえず思いついたものをかたっぱしから挙げていくわ。
吉松すき野家ってどうかしら」
「ただの牛丼屋だ」
「ブッゲオフ」
「いつもと何が違うのそれ」
「アニメゲーマーとらのメロンイトあなーズ」
「だからいつもと何が違うんだよその店は!
ただ同業他社合わせても合併事故にしかならんよ!」
「言われてみればここまでに挙げた店は扱う商品がほぼ同じだわ。
別の商品どうしをかけ合わせる形でなくては意味がないのね」
「もしくはA社の商品をB社でも作ってみたらどうかって話だろ元々は」
「じゃあブック吉野家」
「本が牛丼臭くなる」
「メロン吉野家」
「薄い本が牛丼臭くなる」
「カクヨム吉野家」
「ウーバーイーツだろ」
「警察吉野家」
「なぜ世を牛丼の匂いで覆いたがる!?
吉野家以外で!」
「天下一マクドナルイレブン」
「イナイレの新作みたい」
「天下一品・マクドナルド・セブンイレブンよ」
「食いもん同士はちょっと…」
「全国制覇を狙う三社の思惑が合致しての同盟よ」
「なにやら三国志の様相だが、セブンイレブン規模で天下一品あっても正直困る」
「天下一ライザップ品二郎ならちょうどいいわね」
「太らせたいのか痩せさせたいのかはっきりしろ」
「狙い通りの相乗効果だわ」
「邪神めが」
「次ね。
ライオン二郎」
「語感は似てるけど。
何売るんだよ」
「おはようからおやすみまで暮らしをみつめるもやし」
「貧乏芸人か?」
「ニンニク歯磨き」
「ツッコミたかったが、一部ではすごく売れそうな気がする」
「豚骨シャンプー」
「洗えてねえ」
「豚骨洗剤」
「洗えてねえ!」
「マニアが多いと聞くし需要はあるはずだわ。
これら三種の神器を愛用する人々が街を練り歩けば」
「株価は大暴落だな」
「豚骨は嫌い?」
「オッサンから香ってくる豚骨は豚骨じゃない…豚骨の形をしたゲロだ」
「軒下を借りてる義理もあることだし、あとはKADOKAWA関連を活性化させてみましょう」
「一応釘刺しとく。
訴訟でバタつくのは活性化じゃなくて断末魔だからな」
「電撃花王」
「絶対名前だけで選んだろ」
「新連載!
『ずっと守ってあげたい赤ちゃんや家族みんなの素肌に 素肌と同じ弱酸性ビオレu』」
「確かに長文タイトルっぽいけども!
ストーリーが全く見えん!」
「弱酸性では歯が立たぬ脂性との激闘、守るはずだった家族の手から常在菌を消してしまうジレンマなどがビオレuを苦しめる話よ」
「店頭配布の小冊子レベルじゃねーか」
「新連載!
『対象店舗で花王商品をPayPayで1回税込1000円以上お買い上げなら最大30%分のPayPayボーナスが戻ってくる!』」
「これKADOKAWA吸収されてね?
あとやっぱりストーリーが全く見えん」
「わたし『あーはいはいいつものやつね』
ってなる長文タイトルが嫌いなのよ」
「それを言うならこういう払い戻し系のイベントがまさにいつものやつだろ!」
「そうだった。
まあ次いきましょう。
アーマードコア吉野家」
「また吉野家…」
「終わりなき企業闘争に業を煮やした吉野家は人型機動兵器ACを開発。
力による支配に打って出る。
しかしそれは、あらゆる外食産業を巻き込んだ新しい企業闘争の幕開けだった」
「吉野家ってすごいなあ(棒読み)」
「不況の折にあった民衆は否応なく傭兵となる事を強いられた…はずだった。
だがいつしか彼らは独自のイデオロギー闘争の原動力ともなっていった。
すなわち外食派閥戦争である」
「吉野家は牛丼で勝負して民衆は普通にメシ食え」
「わたしはびっくりドンキー製ACに命預けるつもりでいるわ」
「依頼受けたらすぐ依頼文を持ってっちゃいそう。
つーか吉野家じゃないんかい」
「あとはこれよね。
小説家アルファノベリにカクポリヨムズムスなろう」
「あー…まあそれができればねえ。
こっちとしちゃ手間が省けるんだがねえ…」
「満足したわ。
今回は以上よ」
「ヌルっと終わった」
「あとはダークソウル二郎とかどうかしら」
「おまえフロムに新作作らせたいだけだろ」
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