第2話 スイッチ

「変身をあと2回もオレは残している…その意味がわかるな?」

「なんだいきなり」

「ニンテンドースイッチの心中を代弁してみたわ」

「何を根拠にスイッチを変身型宇宙人と見做した?」

「おかしいじゃない。

ソフトが小さすぎるもの。

あんなアルフォートより小さいロムで動いてるスイッチが本気であるはずがないわ」

「順調にタイムスリッパーとしての足場を固めていってるな」

「図説するとまず


      「‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾|

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         図①


スイッチのロムがこの図①程度の大きさなのよ」

「これいる?」

「前回の反省を活かし、読者に寄り添ってみたわ」

「寄り添ったというか押し倒そうとしてるというか」

「んで、ゲームボーイソフトのロムが


「‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾|

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        図②


この図②くらいね」

「ゲームボーイソフトって時点で読者に一撃離脱戦法仕掛けてるからな?」

「言っている意味がわからないわ。

それじゃまるで今の子供たちがコイキングをミュウに変える裏ワザで楽しんでないみたいじゃない。

あなたのポケモンは何色かしら?」

「もう色じゃなくて剣とか盾とか地方名なんだけど」

「えっ…」

「マジで引いてる!

つかスイッチは知ってるのにポケモンの新作知らないってどういう事!?」

「オトナだからしょうがないわ」

「いつから情弱と書いてオトナと読むようになったんだ」

「まあとにかく、図①と図②の差が歴然である事はわかったわね?」

「それがどうしたんだよ」

「もともと携帯機は

『無理なく携帯できる事』を主眼としていたはずなのよ。

だからこそモノクロ、小画面、ABスタートセレクトの4ボタンという厳しめの性能でも販売したし、売れたし、実際に携帯する者も多かった」

「うん」

「つまり図②は今となっては大きく見えても人間の携帯用として無理のないサイズだと言えるわ」

「まあ重くも邪魔でもない」

「にも関わらずよ。

スイッチソフトは

『充分な性能を持つ事』を主眼としてしまっているのよ。

本当はもっと大きくしても携帯できるのに、性能が足りてるからって小さくしてるのよ。堕落だわ」

「いや、大きくする理由が無いから大きくしないだけだろ」

「スーパーコンピュータを見た事ないかしら?

すごく大きいわ。

大きいと強いのよ。

だからゲームソフトも大きくすればスイッチの性能は数倍に跳ね上がるのよ」

「野生のテム・レイが飛び出してきた」

「将来的には64ソフトくらい大きくすればいいわ。

そうすれば大容量化に伴って内容も濃くなりモンハンもボリューム不足とか言われなくなるわ」

「64ソフト持ち歩きたくねーんだけど。

だいたいそんな単純な話だったらとっくに任天堂が手つけてるだろ」

「きっと任天堂は愚かだから気付いてないのよ。

いまごろこの解説を見てスイッチの真の力に心の底から震えあがり、涙し、戦意を失っているに違いないわ」

「なんで任天堂がベジータの立ち位置なんだ。

そういう事じゃなくて、むしろ大きくしたくないんじゃねえの?

あんま大容量でもソフト作る側が困るって」

「やっぱり堕落だわ。

想像してごらんなさい。

4倍広がったブレスオブザワイルドの世界を。

素晴らしいでしょう?」

「胸焼けする」

「ほこら480個」

「いらんいらん!

試練120個用意する段階でもう勇者への不信感が露骨だったのに!

リンクがグレるよ!」

「コログ3600匹」

「もはやどこにでもいる!」

「ゼルダ姫のヒップサイズ4倍」

「奇形エロ絵師じゃねーか。

そんなんで萌えられるか!」

「イカダ4種」

「急にショボい。

なぜイカダを増やそうと思った?」

「イカダ好きなのよ」

「どうせ1種しか使わんだろ」

「基本のイカダと、屋形船と」

「先生、屋形船はイカダに含まれますか?」

「乗るのが好きでも種類は挙げられないものね。

あと2つはプクプクとカインにしましょう」

「イカダ4種のうち半数がナマモノなんですけど」

「ちなみにカインって


        ∩

       ⊂ーーー﹁

       ⊂ ◉ ︵|

       ⊂  ( () )

       ⊂   ︶」

        ∪‾‾‾‾‾‾‾


        図③


こんなのよ」

「間違ったカイン像を流布するな」

「これで理解出来たでしょう?

ゲームの容量なんて多いに越した事はないと」

「おまえが活字パワーキャラだという事しかわからんかった」

「さて、スイッチはまだもう一段階変身を残しているわ」

「疲れてきた」

「我慢なさい。

スイッチの特徴といえば何?」

「スイッチ…切り替えできる事?」

「いかにも。

据え置きから携帯機へ。

さらに携帯機の特性上、どこであろうとプレイ可能な場所に切り替えられる、という意味もあると考えられるわ」

「ふむ」

「しかしスイッチの切り替え力はまだまだ不足しているわ。

最も切り替えるべき状況をゲーム空間と化す力を得た時、スイッチは最終形態となるの」

「最も切り替えるべき状況って?」

「仕事中よ」

「は?」

「人生において最もゲームを必要とする時間…それは仕事中。

だのにスイッチは未だ仕事中をゲームの時間に変えられていないわ。

よって麻酔銃の搭載を提案するわ。

職場の人間をプチュッとしてから悠々テラリアやるのよ」

「二度と元に戻せない変化は切り替えじゃなくて破壊なんだが」

「破壊しか思いつかないわ」

「仕事しろや」

「商品名もニンテンドークラッシュに切り替えましょう」

「発表直後に任天堂がクラッシュされるぞ」

「そうだわ。

任天堂が仕事中にゲームしても怒られない社会を作ればいいのよ」

「任天堂に任せ過ぎている」

「任任天堂人間ね」

「にんにんうるせえ!」

「おにんにん」

「うるせえ!」


         ↷


         図④


「おにんにん」

「老後っ…!」

「今回は以上よ」

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