第7話 使命に用意された者

「父さん。アレンは。。。」


ジャンは度々私の元へとやってきては、戻ってきたアレンの様子を見た。


あれから、アレンは眠ったままだ。


私の内側に横たわる。


ジャンは私の内側へと入り込み、横たわるアレンを撫でていた。


ようやく、目覚めたアレンをジャンに預け、私が用意した二人だけの特別な次元にて過ごさせた。


アレンの傷をジャンに癒やしてもらう為だ。


だが、そう容易くはいかない。


アレンはジャンすらも恐がり、隅の方で小さくなっていた。


ジャンは、何度も何度も、アレンを抱きしめ「大丈夫だ。恐くない。」

と言い聞かせていた。


アレンは小さく「お兄ちゃん。。。ジャン。。」と呟く。


少しずつ、傷も癒え元気を取り戻し始めた頃。


シリウスは、自分の犯した罪に向き合い、2度と同じ間違いはしないと誓い新たなる生命を自分で生んでいた。


そう、それこそが、シリウスの御霊わけされて生まれたアリオスだった。


シリウスは、自分の想いをアリオスに託し、己の想いを内側の奥底にしまい、誰からも、自分でさえもわからないように閉じ込めたのだった。



アリオスはアレンが普段過ごしている草原の世界へと預けられる事に。


また、ヒンズーの神はシリウス同様、御霊分けし、その者はアリオスの仲間として同じく草原の世界へと預けられることとなるのだ。


草原の世界で、育ての両親の元でゆっくりとした時間を過ごしていたアレンの目の前にアリオスが現れた。


知らない者をアレンが受け付けるはずもなく、恐がり、部屋に閉じこもる。


その様子を両親は勿論、アリオスも戸惑った。


アリオスはアレンとの初めての出会いから不思議な感覚を覚えていた。


内側からくる強烈なアレンに対する想いだ。それもそのはず。無理もない事だ。


後にアリオスは、その思いが父であるシリウスのアレンにたいする想いだと理解するのだった。


自分の気持ちに従うかのようにアレンをアリオスは愛するようになっていく。


アレンもまた、そんなアリオスの想いに応えるかのように少しずつ、打ち解けていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る