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第14話 巻き戻し
「面白みがない世界ってのは……本当つまらないものと思わないか?」
巻き戻っていく世界を背に––クソジジイは俺に問いかけてくる。
「そりゃ、そうだけど。でも、そんなものなんじゃないのか?」
「……おぬしには未だ理解できていないモノが沢山ある。だから、その要素も一緒に含めておくから楽しんでくれ」
クソジジイは俺に言うと……俺は眠りに落ちた。
■□■□■
……ケツが生暖かいんだけど。
最初に転生した場所と同じ場所で––俺は目が覚めた。
「……なんで、律儀に裸にするもんかね」
俺は生まれたままの姿のまま––前と同じ手順で王女の家へと忍び込んだ。
……確か、ここで服を調達して、メイドのルーナさんに締め上げられたんだっけな。
「あ……」
俺が服を調達し、扉を開けようとした途端––王女のカレンが入ってきた。
「え、え、えっと……」
また転生してきた––巻き戻ってきた––なんて言えばいいんだ?
「タカシさん何してるの?」
「……はえ?」
「ほら、ご飯を食べましょ?」
まって、俺の思考が追い付かない……。
普通はさ?ラノベとかアニメの世界で“巻き戻す”とかなると記憶もなくなるのが普通でしょ?なんで、記憶があるのさ。
「……わかんな」
「はい?」
俺が呟いた言葉を––王女のカレンは聞き返してくるけど、俺はそれ以上は言わなかった。
『何をしているんです?』
俺の脳内に聞きなれた声が聞こえてくる。……イリアさん?
『戻ってきたんですよね?おかえりなさい』
……あ、えと……ただいま?
『カンストできていない能力では次のステップにはいけませんからね……長生きだと何でも受け入れるのです』
ほぉ~……?
『まっ、ご飯食べてる時にでも話ましょ?』
……あ、イリアさんもいるんだ。
そんな脳内会話を終えると同時に、カレンと共に食堂へたどり着いた。
中には、メイドのルーナさんとエルフのイリアさんが食事の準備を整えており––俺らに座るように催促した。
「……コホン、タカシさんおかえりなさいませ」
メイドのルーナさんは座った直後の俺に、睨むように言ってくる。怖い。
「……ど、どうも」
「お怪我とかないです?」
「え?大丈夫ですけど?」
「よかった」
……未だに状況が呑み込めない……普通、俺じゃなくて向こうがそうなるべきじゃないのか?
「よくわかんないんですけど……」
俺はテーブルに置いていた水を一気に飲み干し––3人に問いかける。
すると、その疑問を……イリアさんではなく、王女のカレンが答えてくれた。
「え?タカシさんは遠征に出てたんでしょ?凄く待ったんだよ?」
「あ……あ~」
なんとなく……本当に何となく理解できた。
「とにかく、本当に良かった。これで、隣国と戦えるわけだよね?」
「そ、そうだな」
「……両親の仇をとって……一緒になろうね?」
「一緒に?」
その言葉に少し引っ掛かりがあったが、俺はスルーすることにした。
「––ところで、タカシさん?これで、私達は勝つ事ができると思います?」
「え?」
「3日後に控えた試合ですよ。負けられない戦いですからね?意気込みを聞かせて欲しいんです」
イリアさんが会話を遮ってくれたから助かったと思ったのに……なんだ?
俺はなんて答えればいいんだよ?あんなの見せられてるってのに。
『……とりあえず、2人に“勝てる”って言ってあげてください』
カンペのように––イリアさんから来た言葉を、なぞるかのように答えた。
「勝てる!」
俺から出た言葉は、カレンとルーナさんを喜ばせた。
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