第68話 都へ
あーそう言えば、俺が言ったのって「敵対するな」で、仲間になれとは言ってないなぁ。
敵対しないって言うのでパーティに仮加入してたから仲間になったもんだと勘違いしていた。
どう説得するか。
レイラいないと割りとキツそう何だよな、対神戦。
いや、説得出来るか分からんし、今は構っている暇が無い。
他の方を進めよう。
「そっか、じゃあステラの方の予定だ。ステラはしばらく
ここら辺の権力者を説得するにしても、まずはその御前まで行かにゃならんし、仮に行けても
ちゃんとした理由がなければ応じてくれないだろう。
なので、まずは大名どもを動かす為のネタの確保だ。
と、そこまで言った所で、襖が開いた。
「すまない、少し待たせたな」
そう言って、その手に持つ書簡を欠月へと手会わした。
「えっと……これは?」
対して欠月は、それが何か分からない様子だ。
「む?君が言ったのだろう、この国をひっくり返してでも、晦日を救う、と。私には何故君がそれ程の感情を晦日に向けているのか分からないが、少なくとも、私はそれを本物と断じた。そして、私は君を認めている。故に私が出来る最大限をしたまでだ」
そう言って、静かにその背を翻した。
「中身、拝見しても?」
「構わないよ」
その会話を終えると、道場の方へと去っていく。
「……」
(何だ?)
俺のセリフがトリガーになったっぽいが。
欠月は、その書簡の中身を丁寧に開き、確認した。
「わーお………………これマァ?」
◆◆◆
例の手紙の内容を確認した俺は、直ぐにその手紙に印された場所へと向かった。
なお、久し振りの一人旅である……予定の筈だったが、なんかレイラが着いてきた。
「馬貸して貰ったが、これ結構ケツ痛いな」
乗ること自体にさして問題はないが、尻の筋肉はあまり鍛えて無いので普通に長時間乗ってると痛くなってくる。
「軟弱ねぇ。道場のアレは何だったのかしら?」
あと、現代の乗馬用のサドルみたいなのも無いからな。腰痛にならないか心配だ。
「にしても、首都とは、驚いたねぇ」
平城京だか平安京だか、どっちモチーフかは知らないが、そのどちらかがモチーフになっているのであろう都。
それが今俺達の向かっている場所だ。
地図を確認したが、ゲームでは滅びた遺跡だった場所だ。
主にアンデッド系のエネミーが出てきて、ボスは、今思えば、恐らく闇落ちした天皇陛下だよなぁ、あれ。
ギミック系のボスで殴って倒せなくも無かったが、普通にクソボスの類いに入る作中上位の強敵だった。
ストーリー関係無いボスの中では一、二を争う。
……て言うか、あれが天皇で遺跡が首都なら、ゲームでの東の国は相当なバッドエンドだったのではなかろうか。
「都……この国の主の座す場所、ね。出来れば異世界の神なんぞに接触したく無いんだけど」
レイラが少し憂鬱そうな表情をした。
「嫌なら来なくても良いぞ?」
「貴方、私にとって自分がどれだけ不気味な存在か解ってない?貴方放置するくらいなら、まだ現地の神と対面する方がマシよ」
どうやら、レイラの中での俺の評価は相当酷いものらしい。
「ひでぇな。……ちなみに、お前の中での俺の評価どんなもん?」
「自称異世界転生者の上、暫定ギリシャの使徒……不気味にも程があるでしょ」
「異世界転生者は兎も角、ギリシャの使徒は違うんだがなぁ。ってか、なんでそれが不気味って評価になるんだ?」
「……ギリシャ世界は、滅びたのよ。唯の一柱も残さず、蹂躙されて全てが消えた。じゃあ、ギリシャの神の力を振るう貴方は何者?」
ビックリ情報キター。
「え、幽霊?」
そら確かに不気味だわ。
「違うわよ。……簒奪者。もしくは、ギリシャの遺した最後の欠片。ねぇ、欠月…貴方はどっち?」
その目は虚偽を許さないと雄弁に語る。
「使徒じゃない、と貴方は言ったわ──なら、そこから解る貴方の正体、答えは…簒奪者かしら?」
無論、全く心当たりが無い訳だが。
「知らない、と言うのが俺の答えだ。言っただろ?俺は異世界転生者。前世が何かをやらかしていようと、その全てを認知しない。いや、出来ない」
簡単に言えば、覚えてねぇからよく分からん。
「……その答えで良いわ。今はまだね」
「今は、ね。良いぜ。いつかその時が来たら、存分に喧嘩しよう。リベンジマッチは期待してるぞ?」
「黙りなさい、ド変態」
ひどい。
ギリシャ世界
とある存在の逆鱗に触れて滅びた世界。
有限世界内の
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