第67話 手紙
「少し待っていてくれ、一筆書こう。朔夜、お茶でも出しておいてくれ」
玄月は、そう言って道場から出ていった。
「はい。皆さん、此方へ」
そう言って朔夜が道場の外へと欠月達を案内する。
「ねぇ、さっき一筆書くって言ってたけど、何の話?」
レイラが疑問を口にした。
「さぁ…?私にも分かりかねますね。欠月殿、何かご存じでは?」
「いや…俺にもよく分からん」
一筆って何だ。
ゲーム中では無かったお使い系イベントの可能性が高いが…。
そうなると
晦日生存で手紙イベ発生か…。
ふむ、
「なぁ葉月、晦日って医者にみせてる?」
可能性としては、医者か何かへの手紙か?
「えぇ。はい。定期的に医師の方に診察に来て貰っていました」
じゃあ、その人かなぁ?
でも、わざわざ一筆書くか?
まぁ、何にせよ害になる事は無いだろう。
「そうか。ありがとう。ステラ、後で容体について詳しく教えてくれ」
「分かりました」
晦日の身体も二週間くらいはもつ事がほぼ確約されている。
先程、一度聞いたが、より詳しい情報が欲しい。
「それと、今後の予定についてちょっと話す」
時間は限られている。
ここからは無駄をどれだけ削る事が出来るかの勝負だ。
相手の規模的にはこの地の大名も味方に着けたい所だ。
避難とか何もせずに戦ったら、大量の死者が出ることだろう。
晦日や大戸港の街の人々を避難させるためには権力者の協力が必須だ。
それに、この地の神についても調べなければならない。
後、対神を想定するなら戦力の確保もか。
……やることが多い。
人を使う必要がある。
ステラは晦日のそばに置いておきたい……レイラは……交渉とか到底無理だよな…いや、無理では無いかもだが、キレるとヤバいから無しか。じゃあ、レイラは戦力の確保に行かせるとして、俺か葉月が調べものか大名への協力要請だな。
いや、待てよ。
「葉月、この家って書斎とかある?」
「書斎ですか?お祖父様のものがありますよ」
「そこって、歴史書とか、過去の神話とかある?」
「確かあったはずです。もし良ければお祖父様に見せてくれるように言いますが」
「お、ありがとう」
よし、これで調べものをしに図書館に行くため街まで戻る必要が無くなった。
一つの工程が消えたのはかなりデカイ。
「着きました。客間です」
朔夜の手によって襖が開かれ、用意されていた座布団に座るように進められた。
「それで、今後の予定ってなに」
レイラが朔夜の出した玉露に口を着け、此方を見る。
「じゃあ、まずお前にやって貰う事から話すか」
「ちょっと待ちなさい」
喋りだした俺に、レイラがストップをかけた。
「ん?何だ?」
「私、貴方に協力するつもり無いわよ」
レイラが敵対してないのは27話の約束があるからで、わざわざ着いて来てるのは欠月って言う正体不明の不審者の動向を監視するためなので、別に仲間になった訳じゃないから、そりゃまぁ協力しないよねって言う。
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