第66話 物語の始まり

(やっぱ強いなぁ)

ステータスの制限が無くなり、少しは身体能力が上がったが、それでもこの老体には届かない。

これが、年月の差と言うやつなのだろう。

やはりこの世は掛け算だ。

力と技、その片方だけではどうにもならない。

……まぁ、単純にスペックが高すぎるせいで掛け算しなくても元々上回ってる奴もいるが。

技術だけなら、思考速度だけなら、負ける余地は無かっただろう。

しかしまぁ、体が違い過ぎた、か。

(あと、この爺さん俺から技術吸収してたからなぁ)

この期に及んで成長するとは、いやはや恐れ入る。

きっと、人はアレを天才と呼ぶのだろう。

最初の玄月ならば、勝機はあったかもしれないが、それは言い訳だ。

(それともう一つの計算違いは……)

『胸を借りよう、少年』

あの言葉だ。

ここ最近、試される事上位者目線が多すぎて、てっきり油断してくれるものだと思っていた。

それを修正するのに、寸分要した。

(まだまだだな。俺も)

「勉強になった。有り難う」

そう思考していると、玄月が手を差し出してきた。

俺はその手を取る。

「此方こそ。所で、俺の本質は見極められましたか?」

彼が俺の本質を見定めようと剣の勝負を仕掛けてきたならば、今回のような戦い方は良くなかったかも知れない事に今更ながら気づく。

完全な心身のコントロール、と言えば聞こえは良いが、俺の先程の戦い方は言ってしまえば外面を取り繕うものだ。

果たしてあれが彼の中で合格になるのか否か。

「む?……あぁ、そうだったな」

え?もしかして忘れてたのこの人。

いやまぁうん。

老人だししょうがないけどさぁ。

「勿論、。欠月君、君になら孫を頼める」

「─────どうか、彼女を救ってくれ」

それまでの様子とはうって変わって、こいねがうような声音が聞こえた。

「あぁ、任せてくれ」

どうやら、ゲームではその存在しか知ることの出来ない彼女は、この地の人々にとって、相当な存在であるらしい。

(さてと、そろそろゲーム感覚お遊び気分を捨てろよ、俺)

もとよりそのつもりではあったが、それは自身への再確認だ。

ここからは、物語を逸脱した世界。

(攻略本はねぇからな)

可能性の外、スタートラインに立つ事すら許されない物語の始まりだ。




道場in欠月君=<欠月君(通常)<<<(越えられない壁)<<<魂に近い世界in欠月君<<<<<<<<<<<

(越えられない壁)<<<<<<<<<<<前世君(特異点)

ってパワーバランス。

こいつ、偏りすぎてて強さの指標にむいてないわ。

既存のキャラ殆ど通常と魂に近い世界の間の越えられない壁のとこだよ。

道場in欠月君=<欠月君(通常)に関しては距離によって勝敗分かれるんすよね。

道場君は魔法使えないけど通常より身体能力上だし、思考速度とか、演算能力とかも上。

だけどそこまで理不尽なフィジカルじゃないんで、10mとかなら雷魔法使える通常が勝つ。

3mとかだと流石に道場君が勝ちますが。

あ、ブルプロ楽しみっすね。

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