第65話 観測者

(……)

「ソレンさん、今のシュミレーションではどれくらい?」

朧が道場を見据えて木々の中から虚空に問うた。

あの両者間に────いや、特異点であろう彼に、どれほどの数の可能性戦いが見えていたのかを。

『……計測中です…少し……』

ソレンの言葉が詰まった。

『三千万。ざっくりとそんくらいだろ』

隠神が横から口を挟んだ。

「そうか」

朧は少し考える素振りを見せる。

『「とんでもないが───」』

朧と隠神の声が被った。

『「瀬良ボス程じゃないな」』

そう結論付ける。が、

「何故だ?」

その疑問が思い浮かんだ。

(ボスとあの特異点、何が違う?)

『……なるほど、そう言う』

隠神が納得したかのような声を出した。

「おい、何か分かったか?」

『あぁうん、多分あの特異点、アレは本来の肉体姿じゃない。だから単純なスペック不足だと思う』

「え、じゃあアレ悪性存在ヴィラン?」

乗っ取りか?そう言う感じはしないんだけどなぁ?

『いえ、確定ではありません。…どのみち、あれ程の存在を相手にするなら、白奈さん指揮下での方が良いでしょう。あれが本気とも限りませんし』

ソレンが冷静な判断を下す。

「だが、いつ帰ってくるんだよ、アイツら」

『さぁな。帰って来ようと思えば一瞬だし、帰って来ないって事は何か意図があるんだろうが』

そう、帰ろうと思えばその時には此方へ着いている。

彼が言える事では無いが、彼女と彼女の御付きの身体能力はそれほどまでにデタラメだ。

「俺は撤退を進言するぜぇ?少なくともこっちの戦力が充実するまではな」

『俺も賛成だ。戦力って意味ならお前で十分だろうが、十二分じゃねぇ。仮にお前がヤバくなって俺がそっちに出向く事になると、防衛戦力がいなくなる。今は探査機でも送り込むのが吉だ』

『はい、私も賛成です。…ですが、まだエネルギーがそれほど回復していないので二週間程待って下さい』

彼らは、話し合った末にリスクの少ない選択を取った。


◆◆◆


「ふぅん、帰るのね」

その会話を聞いていた存在が一柱。

「二週間かぁ。結構ギリギリ?最悪、ばれちゃうかなぁ」

自分と彼との繋がりがアレラ観測者に露見する可能性がある。

通常、彼女程の神であれば異世界アウェーでも自らの生まれた世界と同等レベルでその能力を行使可能だが、今回の場合は相手が悪い。

世界と世界を渡る者。

しかも、構成員に権能者がいるときた。

『仮想』────その名を持つ彼女の全能を駆使しても、彼に施した彼女との第一第二と言う繋がりは隠し切れないだろう。

「相手が悪いかなぁ。出来れば敵対しないでね、パパ」

そうなったとしても構わないと言えばそうだが、無用ないさかいは避けてほしいものだ。





電気ってクソ。

公式多杉。

覚えられるかァ!!!

コホン、火曜日にテスト終わるんで、そしたらまた不定期に更新します。

え?テスト中でも更新してるだろって?

ちょっとナニイッテるか分かんないなぁ……

(現実逃避)

ちなみに、道場in欠月君は本来の特異点の性能と比べるとカスもいいところですね。

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