第49話 次なる土地へ
「良い宿でしたね」
葉月がエントランスの一人用ソファーに腰掛ける。
「おう、そうだな」
欠月はあくびをしながら同意した。
「あ、ここにいたのね」
欠月の後ろからレイラが歩いてきた。
「チェックアウトも済ませた事ですし、そろそろ向かいましょうか。東の国へ」
ステラがレイラの後ろからひょっこりと顔を出し、手を叩きながら言った。
「あ、欠月アンタ、後で説明しなさいよ。私達を連れ東まで行く理由」
「おっけーおっけー。後で、な」
「……ちゃんと言いなさいよ」
レイラがジト目で欠月を見た。
「そんな目で見るなって。ちゃんと理由は解るから」
「……まぁ、なら良いわ」
「んな事より、チェックアウトしたんだって?ステラ、ここら辺で強い光が出ても目立たない場所ってある?」
「すいません、あまりこの辺りの地理には詳しくなく……」
ステラは聖女として長らく教会に居た。
時たま脱走する事はあったが、それも2日と経たず連れ戻されるのであまりこの辺りの地理には詳しくない。
無論、大通りの道などは記憶にあるが。
「あぁ、別に良いよ。ここで転移すれば良いし」
「「「
エントランスに、光が溢れた。
◆◆◆
「何?」
その報告に、帝国の将、グリズリスは顔をしかめた。
「また聖女が消えただと……それに聖人の出現……訳が解らぬ」
「まぁ、そう言うな、グリズリス。私に贈り物があるようだ」
ここ最近、グリズリス達帝国軍との連携を高める為に良く出向いていた帝国第二皇女、ナフィアが聖人から教会を通して送られたプレゼントを見て笑う。
「どうやら、聖人殿はつくべき者を解ってるようだ」
ナフィアは、現在の帝国の政治的勢力の中で、最も勢いがあった。
「メッセージも同封されているようですな」
グリズリスがその箱を持ってきた教会の者の言葉を思い出すグリズリス。
「ふむ、開けてみるか………これは、衣服……む?」
それは、皇室が持つ聖装をみたことのあるナフィアだからこその確信だ。
「聖装、とはな。どうやら聖人殿はただ者ではないらしい」
「聖装、ですかな?」
「あぁ、これは間違いなく聖装だ。……メッセージとはこれか」
『間違っても政治利用すんなよ』
「……なるほど、どうやら聖人殿は食えない人物らしい」
ナフィアは、苦虫を噛み潰したような顔をして、しかし、
間に合った…ーーーーー!!!
ギリギリセーフ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます