特別編 喧騒鳴り止まぬ聖夜

特別編 メリークリスマス

本編とはガチで関係ないメタバースです。

キャラ崩壊注意報。

※本編未登場キャラも出ます

ほぼ二次創作

異世界と現代が混ざりに混ざった混沌な世界なのでツッコミはナシでおなしゃす。

あ、今回に限って登場人物全員二十歳以上です。



「メリークリスマス!!」

欠月が俗に言うサンタクロースの格好をして叫ぶ。

「ど、どうしたんですか?いきなり……それとその奇っ怪な格好は…?」

突然叫びだした欠月を見ながら、葉月が疑問を口にした。

「ん?あぁ、今日は俺の故郷の降誕祭クリスマスって祭りなんだよ。こんな感じの格好した爺が不法侵入して子供にプレゼント渡すの」

説明を聞き、葉月はさらに分からなくなった。

「あぁ、そう言えばもうそんな時期ねぇ」

レイラが思い出したかのように呟く。

「レイラ殿は知っているんですか?」

葉月がレイラを見て聞いた。

「えぇ。とは言っても、ソイツが言うような祭りじゃないわよ。元々はとある聖人の誕生日を祝う日なの。けど、文化が広まるうちに誰かにプレゼントを渡す文化が増えたのよ。私もよく知らないけど」

レイラがそう言うと、ステラが何処からともなく現れた。

「ほう!聖人と言うのであれば、私の出番ですね!」

そんなボケをかますが、

「まぁ、何でもいいわ!メリークリスマス!クリパしようぜ!!」

欠月はそんな事はスルーしてさっさとクリスマスパーティーをしたいようだった。

「別に良いけど、なんでそんなやる気なのよ」

レイラがめんどくさそうに聞く。

「え?……だって、故郷じゃんな事やる友達いなかったし」

「ちょっ。そんな可哀想な事言わないでよ……罪悪感芽生えるじゃない」

レイラが気まずそうに視線を外す。

「……分かりました」

葉月がボソリと呟いた。

「え?」

「やりましょう!くりすますぱぁてぃ!存分に!欠月殿の気が済むまで!」

「!おう!やろう!みんなで!クリパ!」

ガチャンッ!

勢いよく扉が開く。

「我も入れよ!」

褐色巨乳クソデカい角のある美女が仁王立ちで扉から現れる。

「テメェは引っ込んでろ未登場人物ゥ!」

「オレも参加したいぞ、欠月」

ぬるりと仁王立ちした美女の間から黒葬が現れた。

「ヲォイ!敵側だろお前ェ!」

「よいではないか。けちじゃのゥ」

美女が拗ねる。

「誠に同感だ」

黒葬が頷いた。

「ちょっと、そこ邪魔なんだけど」

そんか二人の後ろから、白髪碧眼の美女が現れる。

「おいおいおい、お前まだ出番先だろォ!?何でこんなとこいる?」

欠月は、マジで何やってんのお前、と言いながら叫ぶ。

「え?クリパするって聞いたから、来たんだけど」

白髪の美女が平然と答える。

「情報が速いッ!!」

「あ、すいません私が誘いました、グループラ〇ンで」

ステラが明らかにこの作品の世界観に合わないスマホを持ちながら言う。

「えぇ……本当だ。え?てことはこれあいつらも来るの?店予約しなきゃじゃん」

「それならオレの方で負烙に予約して貰ったぞ。斬将達は既についているようだ」

「えぇっ!?それ先に言えよっ?さっさと行くぞ!」

そう言いながら欠月は外に出る。

「ちょい待ちなさい」

そんな欠月の首根っこを白髪美女が掴んで止めた。

「ぐぇ゛」

「今タクシー呼んだから、ちょっと待ちなさい。ってか、今日はホワイトクリスマスよ?短パン半袖で外出たら死ねるわよ」

「あ、そうやん。止めてくれてサンクス」

そう言いながら完全に自分の格好を失念していた欠月は上着を探す。

「欠月殿、確かそこではなく上のタンスに入っているはずです」

「お、まじ?ほんとだぁーあった!」

なぜか欠月より欠月の状況を把握している葉月に全員が疑問を抱きつつ、ちょうどタクシーが来たので出発する。


◆◆◆


三人がぎゅうぎゅう詰めのタクシー後部座席。

欠月は非常に気まずい思いをしていた。

なんでかって?

自分以外全て女性だから。

仲はそれなりに良いが、こう言うのはなんかこう、気まずい。

「店着いたら何頼みましょう?」

隣のステラとレイラはスマホを開いて何を食べるか話し合っていた。

「あぁー!この七面鳥美味しそう!」

レイラが喜色の声を上げ、ステラはまた別の料理を美味しそうと言う。

「見てくださいよ!このカエル料理!すごい美味しそうじゃないですか?」

(か、カエル…?)

「えぇ……生きたまま捌きますって……需要あるの?」

レイラが引き気味にスマホを見ている。

「何の店だよ」

呆れのあまり声が出た。

「いや、本当にそう書いてあるんだって!」 

そう言いながらスマホの画面を突きつけるレイラ。

「ガチじゃん……グロイグロイグロイ!見せんなこんなモン!」


◆◆◆


「はぁ…ついてしまった……」

欠月達がげっそりしている原因。

皆様もお察しだろうが、それはこの店の料理のレパートリーにある。

あの後も虫料理だの猿の金玉だの、ゲテモノが大量に並ぶ反面、一般的な料理も、それこそ中華やフランス、トルコや日本など様々。多すぎるレベルだ。

「失礼しまぁす」

そんな感じで欠月が先頭に立って入店する。

「はい、ご予約ですか?」

「あ、はい。負烙で予約してる欠月です」

「はい、かしこまりました。ではこちらへ………………


◆◆◆


「げぇ、とんでもねぇの頼んでるな黒葬お前眷属斬将

個室に入ったとたん、解剖されたてみたいな感じで仰向けに皿の上に鎮座ましましているカエルが目に飛び込み、その近くにいる斬将変態が犯人だろうと推測する。

「いやいやいや!私違いますからね!?これ食べたの負烙ですよ!?」

そう必死に否定するが、斬将への疑いの視線は消えない。

「……その負烙ってどこだよ」

「今お手洗いに……」

「ほえーお前ら排泄の類いするのか」

欠月は変な所で感心している。

「そりゃまぁ…しますよ。アンデッドたって生物としての機構は維持しといた方が力でますし

「アンデッドとは……ってかアイツ骨だけじゃなかった?メシ食えるのか?」

「特殊メイクです」

「いやでも」

「特殊メイクです」

「あっ……そう」


◆◆◆


三次会ィィィ!!(酒in)

『それじゃあ!ビンゴ大会しまーす!』

酒の入った声でマイクを握った金髪碧眼の美女が叫ぶ。

「いえーい」

「ヒューヒュー」

何名かが茶々を入れ、酒を飲んでいる。

会場は立食パーティー的な感じになっており、欠月も見覚えが無い者も混じっていた。

「どうぞ」

何も持たず突っ立っていた欠月にワイングラスが手渡された。

「あ、どうも゛っ!?」

欠月にワインを手渡した者は、平行移動しながら去っていく。

(黒の天外ぃ……なんでこんなことしてンだ……)

内心で驚愕していると、ビンゴシートが回ってきた。

「よう、欠月。貴様どれ狙いだ?」

黒葬が隣に来て話しかける。

「んー。そだなぁ。俺はあれかなぁ。二等のお菓子詰め合わせか同じ二等のジャ〇ボ宝くじ」

「ほう、ビックドリーム狙いか」

「そう言うお前は?」

「オレは勿論、一等の死体詰め合わせだ」

「えぇ……お中元かよ」

「それは肉の詰め合わせだろう」

「いや、どんな会話ですか」

いつの間にか近くに立っていた小柄な少女が、そんなツッコミを入れた。

「おぉう、晦日みそか。お前何狙い?」

「無難に温泉旅行ですかね。お祖父様とお姉ちゃんと行きたいので」

「ほう。貴様の祖父となると…あの豪傑か。彼奴は良い剣士よ。本筋では機会が無さそうだからな……いずれ戦いたいものだ」

ワインを口にしながらそんな事を言う黒葬。

「いや、東の国こっち来るなよ?ちょうど次東の国行く予定何だから」

「むぅ…ならば今日戦うやるか」

「流血沙汰になるだろ…アホか」

欠月はせっかくのパーティーに水を差すなと注意する。

「あ、早くもリーチです」

六つ程数字が開示され、晦日は比較的早くリーチした。

「ぐぬぬ……三つしか穴が空いておらん……」

黒葬は、真ん中も合わせて三つしか穴が空いていないと唸っている。

「まぁ、こんなもんか」

欠月は真ん中が三つ、角が一つ空いているものの、リーチや、ましてビンゴには程遠い。

「ふふん。私が最初ですかねぇ?」

晦日が無い胸を張る。

「ぶっ殺しますよ。地の文」

晦日に殺意が漲る。

ヒェッ。ごめんなさい。

「分かれば良いんです。分かれば」

「えぇ……なんでナチュラルに地の文と会話してんの……」

「オレの理解を越えた現象が、こうもあろうとはな……」

欠月と黒葬がドン引いた。


◆◆◆


結局、晦日が最初に温泉旅行をかっさらい、そこからポツポツとビンゴが出始め、最後には黒葬と欠月のタイマン泥試合が続いた。

「それじゃ、良いお年を」

酒が入り死にそうになった欠月を支えていた白髪美女が欠月をタクシーに押し込みながら挨拶をする。

「おう……良いお年を」

「大丈夫……じゃ無さそうね。葉月、悪いけど、こいつと帰って上げてくれない?」

白髪美女が葉月を呼び、欠月の介護を押し付けた。

「悪いな……」

気分が良くないのか、虚ろな目で窓を見ながら葉月に謝罪する欠月。

「良いですよ、別に。どうせ私のホテルもこちらですし」

「そうか……」

「欠月殿…その、楽しかったですね、クリスマスパーティー」

「あぁ…楽しかった。初めてだよ。あんな騒がしいの」

途中からヤバいの数名参加してたし。

「ふふ…私もです」

そこからは特に会話は無く、心地の良い静寂が続いた。

それが破られたのは、欠月の家の前に着いた時だ。

「じゃあ……ありがとな。1000円は後日返す」

先程の会計で、欠月の持ち合わせでは少し足りなかった。

「別に良いですよ」

「……そうか。じゃあ今度なんか奢るわ」

少し回復した様子の欠月がくたびれた笑みを浮かべて言う。

「はい、ありがとうございます」

「うん。それじゃ、また」

そう言いながら欠月はタクシーのドアを閉めた。

背を向けて歩き始めた時、後ろからタクシーの窓が開く音がして、振り返る。

「言い忘れてました。欠月殿、メリークリスマス」

欠月は、目をパチクリさせて。

「メリークリスマス、葉月」




年内最後の更新です。

それでは皆様、良いお年を。

来年も本年同様のご愛読のほど、よろしくお願い申します。

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