第47話 雷の哲学

フラッシュを馬小屋に帰し、教皇執務室に戻った欠月は、焦燥していた。

(……あれ?何この雰囲気。さっきの会話聞こえてた?)

このたかが数分で、何やら聖女騎士団団長や一部の枢機卿までいるし、空気感が完全に尋問とかするやつだ。

……おっかしいなぁ……。

(しかも、後ろに騎士がいるんだよなぁ……)

バチクソ警戒されとりますがな。

何かやったか?

いや、今のところ女神像100体海に沈めた位しかやって無……いやそれ十分だったわァ!!

まて、待つんだ!話をしよう!

いやてか、まだバレたと決まったわけじゃねぇ!

ここは慎重に、そう慎重に行こう。

「早速、話があるのですが」

藍色の長髪と薄紫の瞳を持つ女性…聖女騎士団団長のアイリスが、静かに、けれど多量の怒気をはらむ声をあげた。

「聖女様、一人での遠出は止めてくださいと、以前にも申しましたよね?」

「そ、それは………はい。すいません……」

うぇ……あのステラが黙らせられてる……。

まぁ、非は完全にステラにあるから、当たり前っちゃ当たり前だけども。

「分かれば良いんです……ステラ、心配しましたよ」

「……ありがとう」

(………)

友達って、いいな。

人間は醜いが、その凹があるからこそ凸が生まれる。

友情、それは人の持つ最たる美徳だろう。

「……それでは、次は私から」

そんな彼女らの様子を優しい瞳で見守っていた教皇が口を開いた。

「まず、欠月殿。聖女様をこの教会まで運んで頂き誠にありがとうございます。……そして、私共の身内であるファーラルが迷惑をお掛けしたこと、謝罪申し上げます」

……。え?

いや、予想してた対応と結構違ったわ。

もっと聖女様に近づく変なの程度の認識だと思ってた。

そう言えば、先にステラだけ執務室に呼ばれてちょっと待たされたし、そんときに事情聴取したのかな?

「あぁえっと、これはご丁寧にどうも……迷惑と言う程迷惑被って無いので、お気になさらず……」

あーーまずいですよ!こう言うの慣れてないから何て言えば良いのか分からん!

「ですが」

おっと?

(流れ変わったぞ?)

「私共の……いえ、人類の至宝とも言える聖女様を、貴方に託すことは出来ません」

まぁ、そりゃそうだよね。

教会の上層部なら、ゲームのOP邪神復活による大侵攻のことも聖女ステラの予言で知ってる可能性があるし、特記戦力と言える聖女を侵攻直前のこのタイミングで手放すメリットは、無いと言わざる終えない。

「……あぁ、そうですか」

分かってた事だ。

だから、ちゃんと説得する方法も考えて……無いんですねぇ、これが。

いや、考えてもみろ。

俺ってまともなコミュニケーション取ったことあんまり無いし、こんな教皇コミュ強相手に説得出来る煙に巻ける訳がねぇ。

……でも、戦力とか考えると保険も込みで聖女は絶対パーティに入れたいんだよなぁ。

「納得していただいたようですね」

教皇が少しほっとした顔をした。

その直後だ。

「待ちなさいよ」

ソファー二人用を一人でふんだんに使い、足と腕を組んで座っていたレイラが口をはさんだ。

「何か?」

怖そうな女性の枢機卿がレイラを見る。

「アンタらの都合で、ステラそいつ人類の至宝にしてるんじゃ無いわよ」

心底唾棄するかのような表情で、枢機卿を睨みかえした。

「…私共の都合?それは違います。聖女様は女神様に選ばれた存在であり、相応の能力を与えられている。そのような存在に、力に見合う振る舞いが求められるのはこの世の常です」

「……他人に、自分の価値観押し付けてんじゃ無いわよ。それも、貴女の価値観を常識として押し付けるとか、一番質が悪いわね」

え?えぇ?

何か喧嘩しだしたぞ。




間に合わんっ!超間に合わん!

もしかしたらクリスマス編の後に何かでるかも知れない!

そしたら笑って許してくれ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る