第45話 流れが悪くなったら逃げるに限る
「あ、欠月様」
教会で孤児の子供達相手に慈善活動をしていたステラが、こちらに気付き視線を向けた。
「よう。移動方法思い付いたから、アイツら集めるって旨を伝えに来た。ここからあんまり移動せずに待っててくれ」
要件だけ告げて去ろうとすると、後ろからステラが追ってきた。
「私も一緒に行きます」
そう言って、隣で微笑む。
「良いのか?子供の相手は」
「はい。もう一頻り遊んだ後で、皆眠そうだったので、むしろちょうど良かったです。……
その笑みには、少し淋しさが垣間見えた。
「……あぁ、そうか」
ステラから欠月の表情は見えなかったが、その声には何処か共感が合った。
◆◆◆
「レイラお前、繁華街で何してんだよ」
妙にデカイ荷物を大量に運ぶ人影を見つけたから、まさかと思ったが、案の定これだよ。
大量の荷物を持ったレイラを欠月はジト目で見つめる。
「あ、ちょうど良いところに。これ持って」
そう言いながら欠月とステラに荷物を分配する。
「俺、お前より非力なんだが」
それなのに何故こんなにも多い。
欠月は文句を垂れながらも荷物を持って葉月の所へと向かう。
「ねぇ、今何処向かってるの?」
「鍛冶屋とか武器屋とか纏まってる場所」
なんて言うのかは知らん。
「ふぅん。…移動手段は思い付いた?」
「あたぼうよ」
「そう。なら良いわ」
◆◆◆
「あ、欠月殿」
しばらくして、背後から声を掛けられた。
「よう。……これはまた、随分と買ったな」
色々な種類の武器を抱える彼女に、欠月はちょっと引いていた。
「はい。先程の戦いや、ここ数日の迷宮での活動で意外か武器が使えるな、と思いまして」
そう笑顔で言う葉月。
強さの探求は結構な事だが、武器を持って満面の笑みを浮かべられると、些か怖い。
「お、おう。そうか。頑張れよ(?)」
「はい!」
◆◆◆
バルザック郊外の森の中。
そこで、四人の男女プラス一匹が集まっていた。
「それじゃあ、転移するな。内臓浮くから吐くなよ。特に食べ歩きしてたレイラ」
「うっさいわね。吐かないわよ。あんたじゃ無いんだし」
「……転移するぞ」
ステラの聖装を『戦場の御旗』へと変えると、ステラとフラッシュが光に包まれた。
「これは……」
光が収まると、馬用の鎧を着たフラッシュと、軽鎧を着て、ステラの身長を優に越えるサイズの旗を持ったステラが出てくる。
「……これは、聖装ですか」
ステラが目を細める。
「アンタねぇ……私の前なんだからもう少し能力を隠す努力ってやつをしなさいよ」
レイラが頬をひきつらせながら文句を言う。
「別にいいだろ。敵対してる訳でもねぇ」
「個人的には、その聖装や武器が何処から来るのかはとても気になるんだけどね。…不躾に能力聞くのはアレだし敵対しないって言ったから聞いて無いだけよ」
「あぁ、それは私も気になりますね。聖装、と言えば、女神様がお創りになった神器……葉月さんや欠月様の衣服や武器も含めて、一個人がなぜそんな物を持っているのか、とても気になります。それに、あの神器を市場に流したのも欠月様でしょう?」
「神器……?」
もしかして武器屋に売ったあれのことか…。
うんまぁ、武器や聖装が何処から来てるかは俺もそれなりに気になってはいる。
「あぁ……えっと、それは俺も分からん。と言うか!転移するからな!」
流れが悪くなった欠月は、全てをぶったぎるように転移を行った。
レイラ、ステラ、葉月、欠月のパーティーだと3/4ガチボッチ経験者って話する?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます