第44話 聖装ってつくづく便利

「この馬どうしよ?」

バルザックへと転移し、目的だったステラの愛馬フラッシュを宿屋から受け取り、そして現在、欠月は自分達の移動手段である転移にフラッシュが含まれない事に気づき頭を抱えていた。

「……いや、まさか生物系の忘れ物だとは思わないじゃん?」

一人のトイレで、誰もいない虚空へ言い訳をする。

ちなみに今は休憩時間だ。

各人、自由に港町バルザックを回っている。

本当なら直ぐ向かう予定だったが、例の忘れ物のせいで遅れていた。

「……うーん、何かないかな?」

そう言いながらアイテムボックスを漁る。

「はぁ……驚く程何もねぇ」

何も使えそうなものは無い。

「おい!うるせぇ!クソくらい黙って出せ!」

うをっ

「すいませんーー!」


◆◆◆


怒られたので移動した。

露店などが出ているちょっとした広場のような場所だ。

ここなら独り言言っても文句言われんやろ。

「はぁ、どうすっかな」

そう言いながら噴水に座る。

取り敢えず、ガチャ引くか。

最近引いて無かったし。

「おっ、ステラピックアップ来てる」

特定キャラの聖装がピックアップされるガチャだ。今回はステラのピックアップらしい。

「良いの出ろっ!」

ポチっ

お、星五演出……まぁ、そこそこか。


★★★★★『戦場の御旗』ステラ(NEW)


おぉ、立ち絵いいな、これ。

軽鎧のような物を身に纒い、その手には自身の身長を優に越える旗を持って愛馬フラッシュの上に股がる。勇敢な戦乙女と言った感じか。

確か性能は全体バフデバフ特化でアイリスと組ませる鉄壁パーティーがあったか。

そこそこだな。

10段階評価で7.5ってとこ。

星四、星四、星三、星四…。

はぁ……早々良いのはでないかぁ。

そう考えたその時、

「っ!?」

俺は驚くあまり声が漏れかけた。

(ほっ、星、ろろろろろ六!?)

この、この輝きは間違いなく星六!

何が、何が来るっ!?

大聖女辺りも優秀だが、一番は献身か天女!頼む!献身か天女!献身か天女!

★★★★★★『導きの大聖女』ステラ(NEW)

……。おい、物欲センサー、ぶっ殺すぞ。

ふぅ、いったん、いったん落ち着け。

そもそも星六が来たこと自体喜ばしい。

大聖女も十分強いだろう。

10段階評価なら9.0ってとこだ。……献身と天女は9.5か10.0だが。

いや、良い、忘れよう……。

……ってかちょっと待てよ。

…………やっぱりだ。

「……『戦場の御旗』なら、ワンチャンフラッシュ聖装の一部って認識されて一緒に転移出来る?」

善は急げ。

さっさと全員集めてやってみよう。

アイツら何処にいるのかな?

マップ表示っと。

……全員へんなとこに分布しすぎだろ。

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