第42話 予言の聖女

予言の聖女、ステラ・リア・ファーラル。

作中ストーリーにおいて、主人公の次に重要と言える人物であり、最終決戦、対邪神戦において聖なる神の器となり戦う人物である。

その他にもストーリーにおける活躍は目覚ましく、特に彼女のみが使える最高位支援魔法、「最後の奇跡ラストワン」を使用した場面は作中屈指の俺的名場面だ。

そんな感じで俺の彼女への認識を再確認しつつ、目の前の彼女を見る。

「葉月さん、スルーズさん。名前を隠していた事を謝罪します……」

そう言いながら深々と二人に頭を下げる彼女は、それでも聖女の威厳は失われていない。

「いや、別に良いけど…。それで言うなら私も偽名だったし。改めて、私はレイラ。よろしくね」

レイラが自らも非を認め、

「私も、別に構いませんよ。……それに、貴女程の御方ともなれば、自身の素性を明かすのにも色々と面倒が生じるでしょう」

葉月が理解を示した。

そんな美しい少女達のやり取りを見て、欠月は俺、もしかして無視されてる?と不安になる。

「所で……欠月様、本題なのですが……貴方、聖女と同じ……神聖魔法を使っていましたよね?」

一瞬何か言葉に詰まり、そしてステラは口を開いた。

「あぁ……えぇっとぉ」

どう返そうか。そう悩んでいると、先にステラが口を開く。

「あ、貴方は…私と、同じ……なのですか?」

何かを恐れているような、そんな表情。

(何で…そんな顔するんだ?)

分からない。

仮に俺が聖人やその類いだったとして、彼女が恐れる理由にはならない。

同じ……同じ……?

(な、なんの事だマジで)

「……貴方は、私と同じ、神に選ばれた者なのですか…?」

目をつぶって、不安そうに聞いてきた。

(神に選ばれた……?)

神……間違いなく聖なる神の事だろうが……。

あ、いや待て。確か同じようなセリフを聞いた事がある。

あれは不安、と言うより、動揺していた気がしたが……。

『貴方は、私と同じ…邪神に抗う者なのですか……?』

それはかつて、聖なる神と希望の王の作中において、主人公と聖女の初対面シーンで放った言葉だ。

そしてそれは後に、自分聖女と同じ聖なる神の眷属か?と言う意味だと判明する。

今回の場合、それがより顕著だ。

「いや…聖なる神の眷属とか使徒になった覚えはないなぁ」

別の神の使徒ならやっているが。

「そ、そうなんですか!?」

大きく目を見開いて、信じられないモノを見たかのように欠月を凝視する。

「……そんな…なら、貴方は人の身で………」

ぶつぶつと何かを小声で呟くステラ。

「おーい。大丈夫か?」

流石に心配になった欠月が声をかけると、ステラは勢いよく顔を上げた。

「もう一つ、質問してもよろしいでしょうか」

欠月が少し後ろにのけ反った。

「あ、う、うん良いけど」

「ありがとうございます。……貴方は仮に、強大な神を倒すか、何の関係もない少女を生け贄に捧げるかしなければ国……世界が滅ぶと言われたら、どうしますか」

「あぁ?んなもん答えは一つだろ」

ステラは何かに期待するような目で欠月を見る。

子供ガキ犠牲にして生き残るような世界は滅びりゃいいし、子供ガキか世界かなんて趣味の悪い選択肢を出す幼女趣味のクソッタレも滅べ……つまり、神を殺す。だな」

あくまでその二択ならって話だが。

そう付け加えて、

「これで良いか?」

ステラにそう確認した。

「はい」

ステラは嬉しそうに微笑み、

「十分です。十分確認出来ました」

そう言って笑った。


◆◆◆


『「予言の聖女」ステラが、貴方のパーティーにしました』




うぉぉぉ何とかクリスマスまでに迷宮でたいぃぃぃぃ。

あ、クリスマスには特別編上げます。

それで年内最後の更新です。

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