第39話 理不尽こそ理の本懐

「────!!」

いってぇ。くそ痛てぇ。

全身ピーラーで剥かれてるみたいだ。

回復連打してなかったら死んでるなこりゃ。

ここからはほぼ根性勝負だ。

アイツが剥き殺すのが速いか、俺の連打力と集中力がどれだけ持つか。

あぁクソ、勝ち目ねぇ。

取り敢えずこの状況から脱却したいが……。

(痛すぎてなんも考えられん)

全方位攻撃ってここまで対処ムズかったか?

……覚えてないな。前までは全部ぶっ飛ばしてたから。

「ほう?まだ堪えるか」

少し意外そうに、それでもかなりの喜色を含んだ声音が聞こえる。

(いや、んな事今はどうでも良いんだよ!!)

兎に角、ここから脱出しなければいずれ回復が間に合わなくなって死ぬ。

今もほら…あっ七割HP消えた……回復回復。

(こんなギリギリの防防やってられるか!)

つってもどうする?

魔法の出現座標指定して直接アイツ狙うか?

……出来るか?

視界とかほぼなんも見えないけども。

まぁいけるか。ミニマップ見れば横座標は大体分かるし……縦座標は俺基準にすればそこまでズレない。

よし、いけるな。

(雷、閃光となりてステロペス!)

見切り発車も良いところな選択だが、それはそれなりに有効な手立てではあった。

「ぬ?」

予期していなかった雷に黒葬は反応出来なかった。

故に一瞬意識が殺がれ、そしてその一瞬は黒い鞭の中から欠月が脱出するのに十分な時間でもあった。

「かっはーー死ぬかと思ったわ!」

身体は無事な欠月が鞭の群れから飛び出し、即座に後退する。

「ず、随分と…その……みすぼらしい姿になったな……ぶふっ」

黒葬が笑いを堪えながらいや、堪えきれずに吹き出した。

「アァン?…………」

最初は何事かと身構えた欠月も、自らの姿を顧みて押し黙る。

そう、端的に言おう。

「装備全損じゃねぇかよふざけんな」

全裸である。

「い、いやっ…す、すま…ない。クフッ。この技を受けた相手は大抵技を吹き飛ばすかそのまま切り刻まれて消えるかのどちらかだったからな……ま、まさか……こんな事になるとは……。ふふっ」

…………。

OK。

「お前、絶対泣かす……!!」

もう許さん。

ぼっこぼこのめっためたにして泣かす。

「ほう?wwwそ、それは楽しみだなw」

「が、ちょっと待て。服着るから」

そう言って、おもむろに何もない空間から服を取り出した。

「む?それは、何だ?途轍もない力を秘めているようだが」

欠月が取り出したのは星六聖装「聖天の祈り」だ。

聖女ステラの聖装で、欠月が持っている聖装の中では恐らく最も欠月が着ても違和感が無い。ダボっとした司祭服みたいなやつだからな。ほら、ボディラインとかでない、布に穴開けてそのまま被ったみたいなやつ。

「聖装…この世界の神が内輪揉め用に創った決戦兵器さ」

「なるほど、面白い物を持っているな」

「そうでもねぇ…どのみち俺じゃ使えねぇからな」

おそらく、多分、説明文的に。

「よい……しょっと」

司祭服をまるごと被り、ついでにゲームショップから武器を新たに調達する。

「ほう?それは?」

「テメェにぶっ壊された武器の変わりだよ……物は同じ奴だがな」

「そうか。さて、そろそろ準備はいいな?全裸司祭破戒僧

「司祭と僧侶はちげぇんじゃねぇか?」

「どうでもよい。さっさと始めるぞ」

黒葬が告げたる一瞬前に、欠月がバク宙を披露した。

「───もう始めてんじゃねぇか、理不尽野郎」

黒い鞭が欠月の下スレスレを通る。

理不尽それこそオレの本懐だ」

「理不尽上等───まとめてポイだよ早漏クソイケメン」





あぁーーーーぼっち・ざ・ろっく面白すぎーーーーー!!

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