第24話 チート(ガチ)

「(刺客じゃ)ないです」

そんな事を反射的に口にしつつ、神聖魔法、昇華サブリメイトと雷足を発動し逃げに徹する。

「くっ待ちなさい!」

直ぐに驚愕から復帰したレイラが無詠唱で魔法放つ。大きさから見て散雷か。

アイツのレベルが何か分からないが、トールを武力で認めさせた設定がある以上、90後半は固いだろう。

となれば、今の俺があれに当たればそれでもう詰みか。

「小雷!」

となれば、当たるわけにはいかんよな。

小雷で相殺した。

「逃がすわけ無いでしょ!!」

レイラもまた雷足を発動し、俺を追いかける。

こりゃ、堕落がなければ追い付かれてたな。

ん?いや、ちょっと待てよ。

確か彼女の元々のステータスは超魔力偏重型であり、身体能力他のステータスは瞬発だけ申し訳程度に盛っている位だ。しかし、それはあくまでもゲームをゲームとして成立させるため。つまり、先程見せた身体能力がある意味「素」の能力だと考えていい。

……じゃあ、何故今の彼女は俺に追い付けていない?

葉月すらも気づけない程の速度を出せる彼女が、何故今無様に俺をおってきている?

「──────まさか」

違うのか?

そうだ。

そもそも、この世界は、ゲームではなく、そもそも、在ったんだ、世界として。

なら、俺は───それをゲームとして落とし込んでいた?

いや……あり得る、あり得るぞ。

って事はつまり、ゲームの範囲を逸脱した強者──今だとレイラとか──に対して、俺ってそこにいるだけでデバフになる?

え、チートじゃん。

なろう系異世界モノにあるチート(並みに強い)とかの比喩じゃなくてガッチートじゃん。

とは言え、そのゲームシステムの中でも俺は最弱級なのに変わり無いから正直あんま変わんないけどさ。

「っと。あぶね」

「私相手によそ見してるからよ」

何今のビーム。小雷の攻撃範囲絞ったのか?壁抉ってたぞ。

「そりゃサーセン。でもさぁ、お前も工夫凝らせよ」

ちょっい煽るか。対人の基本はやっぱり舌戦でしょ。

「ブッ殺すわよギリシャの犬が」

「俺ァ三本も首無ェよ眼ェかっピらけファザコン」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る