第22話 黒の天外の2乗
うおっまじか。
レイラの放った魔法の威力に、俺の心中は驚愕の渦に飲み込まれていた。
ゲームでは「天の裁断」はあれ程の技ではなかった…いや、そもそもゲームではレイラは黒の天外と相性が良いとは言えなかった。
ならば何故?
もしかすると、ゲームシステムより世界観や設定が順守されているのか?
…わからないな。だがまぁ、それなら納得は出来る。
レイラは、
黒の天外は強いとは言え、世界観的にはそれらには遠く及ばない。
黒の天外がいきなり現れた理由もそれか?ゲームでは短距離での転移しか出来なかったけどゲームをゲームに留めておくための制限が消えて広範囲で転移可能になったとか?
ん?それ不味くね?
欠月の脳裏に黒の天外の説明テキストがちらついた。
名前 黒の天外
種族 怨霊
説明 主に死による怨念が集積した霊的存在。
それがこの世に現れると、途端にその数を増やしていく。が、それは彼らの本領ではない。
彼らの強さの本質は、極まった一にこそある。
色々省かれてる気もするが、ざっくりとこんな感じだった。……はずだ。
(黒の天外の「死」……即ち消滅も、近くに同じ黒の天外がいるならそいつに集積される?)
極まった一、とはつまりそう言うことだろう。
だとすれば、だ。今の状況は非常に良くない。
黒の天外一体辺りの強化幅がどの程度かは知らないが、通常、同時撃破すべきタイプのモンスターを加減を間違えて片方だけ殺してしまったような感じか。
「ふん。呆気ないわね」
レイラが何もいなくなった場所を見つめて鼻をならした。
おいテメーふざけんな。死亡フラグは一人で立てろ。
「葉月、逃げ──」
ズンッ
チッ遅かったか。
この近くにあるだけで健康に害をなしそうな感じ……
「お前、ここ最近で何回登場すれば気が済むんだよっ……!!」
あぁもう!やっぱりかっ!
十層の大扉が砂のように分解され、「死」んだ。
そして、二回りは大きくなった死神が姿を現す。
カタカタと、不快な歯と歯がぶつかる音を出しながら。
「チッ即死ギミック持ちを事前情報無しで攻略は結構な無理ゲーでは……?」
そんな疑問を呈している暇はない。今は兎に角頭を回せ。恐らく完全に捕捉されている。ダンジョン内転移も時間稼ぎにもならないだろう。
「あら、今度は元気な骨ね」
だ・か・ら!
「うるせェ!レイラっ!死亡フラグなら一人で立てろ!俺らを巻き込むなっ!」
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