第17話 おい店主、客のプライバシーは保護しろ by欠月
「中々賑わってるわねぇ」
「先日の一件で「神の加護」がある町として人が来ているらしいですよ」
私達のように、と付け加えてメイベルは宿屋の馬小屋に愛馬であるフラッシュを入れる。
「へぇ。ところで、この後の予定は?」
「そうですね、いきなり行く、と行くのも味気ないですし、船の確保のついでに商店街へ行きませんか?」
「良いわね。あ、その前にそろそろお昼時だし、その前に何処か食べに行かない?この街、生魚が美味しいらしいわよ」
「そうなんですか!それは是非食べてみたいですね!生魚は食べたことありませんし」
この世界では時代背景が中世ヨーロッパであることから、大陸中央では魚を食べる機会は少ない。海の魚、それも生魚ともなればなおさらである。
まぁ本来、中世ヨーロッパに生魚の料理は無いのだが、魔法により一部目覚ましく発展しており、なんか可能になったとは運営談である。
そんな
「「美味しいっ!」」
メイベルとスルーズの声が重なる。
「…初めて食べましたけど、本当に美味しいですね」
「…そうね。特にこのショーユーとのシナジーが素晴らしいわ」
二人は少し恥ずかしそうに各々の感想を言う。
「おう、美味しいかい?」
そんな少女達二人に、いきなり毛の濃いおっさんがしゃべり掛けてきた。
「あ、店主さん。本当に美味しいですよ!」
「えぇ、機会があればまた来たいわ。ところで、このショーユー?と言うのは何処で作られているのかしら?不都合がなければ教えて頂けないかしら?」
スルーズがそう問うと、店主はその熊のような顔に笑みを浮かべて
「勿論良いぜ」
そう快諾する。
「…聞いておいて何だけど、本当に良いの?」
「おう。むしろどんどん広めてくれ。家の娘が昨年辺りにショーユーを作ってる処に嫁いでなぁ。
「なるほど、それでは遠慮無く」
ちゃっかりメイベルも醤油の生産場所を聞き、その飯屋兼宿屋を後にする。
最後に店の主人が、
「そう言えばちょっと前まで東の国の装いをした少女と連れの男が留まってたなぁ」
そうこぼしていた。
「東の国の人も
メイベルは隣を歩く少女を見やる。
「……あぁ、ごめんなさい。少し考え事をしていたわ」
そう言って、謝るスルーズ。
「いえ、良いのですが、何か気になるところでもありましたか?」
「…この街に入ってから、それなりに周囲に神経を張り巡らせていたのだけど、それがさっき店主さんから聞いた話と妙に一致して……」
「え?どんな話ですか?」
「「大剣と刀二本を持った和服の少女と男の二人組が、凄い業物の武器を武器屋で売った後に港へ行ってその後から行方不明」って言う話」
◆◆◆
「ハクシュンッ」
「風邪ですか?ダンジョンでそれは洒落になりませんよ?」
「いや……多分誰かが俺の噂してる」
「何ですか…それ」
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