第13話 得てして不平等
はぁぁぁぁぁぁぁぁ。
確率ってクソですわ。
何が2%じゃぶち殺すぞワレェ。
まぁ、彼の反応からわかる通り、覚醒の宝珠の「か」の字もなく、ほぼ爆死に終わった。
ま、まぁ?ガチャゲーマーたるものすり抜け爆死は日常茶飯事ですし?リアルマネー使ってる訳でもないから精神的ダメージは軽いんですけどね!
あ?涙ふけよって?うるせぇ黙れ(真顔)。
「あ、あの」
妙にどんよりと、そしてじめっとした空気を醸し出す欠月にどう対応すれば良いのか分からず気まずそうにする葉月。
「う~ん。何ィ?」
「先程のボスと戦いたいので、その剣貸してもらえませんか?」
「いいよぉ。俺は暫く寝るからぁ。先行かないでねぇ……」
ふて寝した。ふて寝したぞこいつ。
そんな彼を横目に、葉月はボス部屋へと入っていった。
◆◆◆
三時間ほど寝ただろうか?
ダンジョンの床か固い&体中が痛いで自然と目が覚めた。
「……」
途端に自らの行動を省みて恥ずかしくなる。
ふて寝て……。
大概の事は記憶の遥か彼方に流す彼ではあるが、さすがに情けなくて涙が出る。
ん?真顔じゃねーかって?ほっとけ。お前らだって真顔でwwwとか打ち込むだろ。
てか、葉月がいない……そう言えばボスと戦うとか何とか言ってたか。
そう思い、扉の方を見てみる。
少し開いていた。
と、言うことは今現在戦闘中か?
(ちょっと見てみるか)
そう思い、まだ少し気だるさの残る体を動かして扉の前まで行った。
そして、愕然とした。
(あれは……)
あまりの驚愕に、言葉が出ない。
このゲームには、いわゆるジャスト回避と呼ばれるシステムがある。
しかし、一般的なそれと違うのは、それが二段階になっていることだ。
そのシステムは、集中状態、超集中状態と呼ばれている。
敵の攻撃モーション発生から0.16秒~0.22秒の間に回避した時に発生するのが、通常の「集中状態」。
そして、敵の攻撃モーション発生から約0.01秒未満の間に回避することで、「超集中状態」になる。
それを、葉月は発生させていたのだ。
「んなアホな……」
肉体的、そして、プレイヤースキル的にも最盛期だった自分ですら、「超集中状態」を発動させたのはたったの五回。
しかも、何度も何度も挑んだ相手に対してだ。
つまり、大方のモーションをほぼ脳裏に叩き込み、万全の準備をした。その上で、たったの五回。
よくて三時間程しか戦っていない、それも攻撃パターンの多いボス相手に出来る芸当ではない。
もはや神業の領域だ。
と、目を凝らして見ていると、有ることに気付く。
「なんで素手……?」
なんと葉月は素手で闘っていた。
十層のボスとは言え、素手で相手出来るわけがない。だって葉月、格闘スキルもってないし。
と、思っていたのも束の間、またしても超集中状態を引き起こした葉月はオーガロードの腕を足場に駆け上がる。
そして、オーガロードの後へと回り、首に巻き付いた。
ゴキッ
そんな鈍い音がなって、またしてもオーガロードの命はあっさりと奪われる。
……
まじか。
まじか。
まじか。
…………。
どうしよう、普通に悔しい。
それと凄い。
何あれ。何でそうポンポン超集中状態発動できるの?
人間の限界越えてるでしょ。
どっかの大学の研究で、人間の目で見てからの反応速度って0.008秒みたいなの見たんだけど。普通に越えて……いや、それってあくまでも前世のだよな?
この世界の住人に当てはまるか分からんし、って言うかそもそも、普段から戦闘してる彼等の方が諸々の身体能力は圧倒的に上ってのは納得出来る。
……。
うわっすげー悔しいわ。
何がって、
良いなぁ。うわー今からでも転生先変更出来ない?まじで。
俺もあんな戦い方したいよぉぉぉ。
「あ、欠月殿。起こしてしまいましたか」
欠月に気が付いた葉月が朗らかに声をかけてきた。
「ん?いや、ダンジョンの環境が悪すぎて自然と起きただけだよ。にしても、凄いな」
ゲーマーとしても、観戦者としても様々思うところはあるが、やはりそれが先に来る。
「え?そ、そうですか?ありがとうございます」
少し照れつつ、その称賛を葉月は素直に受け取った。
「あ、そうです、忘れるところでしたコレを」
そう言って渡してきたモノは虹色に輝く宝珠だ。
その名を覚醒の宝珠。
…………。
?。
……。
??????ゑ??
ずるやん。
強くて運良いとか、チーターやないかっ!
くそぅ。
神様は不平等だぁぁぁぁっ!!
現代日本育ちのプレイヤーと異世界現地の戦闘民族、普通に考えて後者のが強い定期。ばいさくしゃ
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