第11話 確定スタンとか言う畜生技
「ふぁ~あ」
床固ェ首痛ェ腰痛ェ。
ダンジョンで宿泊とかするもんじゃねぇ。
やめよう。朝にこんな不満ばっか垂れてると今日の運が悪くなる。
「……んぅ」
呻き声を出しながら起き上がり、ストレッチをする。
さすがに体を
「起きましたか」
「あぁ、おはよう。葉月」
「はい。おはようございます」
……。
危なかった。今、大和撫子な美人な嫁さんのいる
「ところで、今日は何階層進める予定なんですか?」
「ん?あぁ、今日は十層まで行ったら、暫くはそこで留まるつもり」
「それは、何故です?」
「周回って知ってる?」
「いえ、存じ上げません」
「ようは、暫くは十層のボスサンドバッグにするの」
「さんどばっく?つまり?」
「リスキr……えっと、つまりだなぁ、反復練習みたいな?」
「成る程、分かりやすい」
まぁ、大分違うと思うけど。
◆◆◆
さて、三十分程経ち、両者の準備がすんだので出発した。
「え~っと、この角を右に曲がれば九層行きの階段がある。スライム落ちてくるから気を付け
ろよ」
「はい。分かりました」
そういって突っ込み、スライム達はサザンクロスの塵へと消えた。
……やばぁ。
しかも、何かゲームじゃ習得不可能の筈の大剣スキル生えてきてるし。
うーん。俺の例のスキル達の事もあるし、もしかして現実化した弊害か何かで習得スキルの制限自体が取っ払われたのか?
……でも、神聖魔法とか雷魔法、魔法剣って、大剣とかその他魔法系と違って習得法出て無かったし…どうなんだ。わからん。
そもそも大剣スキルと例のスキル達じゃ前提が違うか。
さぁて、そんな事よりあと一層登れば目的地!
気合いいれていくか!
「前方に敵影。約十体です。まだ気づかれてません」
「おっけー。いつも通りで」
「はい」
葉月は、了承の返事と共に獲物を二つ抜き、壁を疾駆しながら彼我の距離を詰める。
「
俺は俺で後ろの方の回復職っポイのとその近くにいた奴らをまとめて撃ち抜いた。
「
ついでに雷魔法の数少ないバフを葉月へ付与した。
途端に加速し、海豹で前衛であろう
ズバンッ
と言う音が鳴り、オーガ、ウォーリアコボルト、ウォーリアゴブリンの三体が散る。
「
驚いたように、けれど咄嗟の襲撃に何とか対応しようとしているであろう葉月を囲む高レベルのゴブリン、コボルトさん達を、いつくかに別れた雷が撃ち抜いた。
ダメージは無い。仕様だ。
まぁ、代わりに確定スタンなんだけど。
ギュルンッッ
その場で葉月が一回転。
見事に残りも殲滅した。
「流石だな」
そう言いながら葉月の方へとよる。
「…あ、はい。ありがとうございます」
「どうかしたのか?」
「いえ……何も」
どう見ても何かある様子ではあったが、まぁ良い、先を急ぐか。
「ふ~んそう。じゃあ、さっさと行こうぜ」
◆◆◆
「チィ!そこ
そう言いながら先程から散雷を連発する欠月。
「くっ!きりがありません!」
二人は今、モンスターハウス真っ只中にいた。
何故、このダンジョンを熟知している筈の欠月がいるのにこんな事になっているのか?
それは一重に、彼の好奇心のせいである。
現実化したモンスターハウスがどのような構造になっているのか気になりよったらこの様だ。
好奇心は猫をも殺すというが、含蓄のあるお言葉だったらしい。
「くぅ!葉月!下がれ!」
「はい!」
「
このダンジョンに潜って以来、彼が唯一取得した、雷魔法の全体の中でも上澄みに入れてもいいと言える魔法。
その威力は凄まじく、
……もっとも、元々が石でできた密室なので野原もクソもない。
「あぁー酷い目にあった」
元凶がなんかほざいてる。
「そうですね…ですが良い経験になりました」
「えぇ…。……そう、ヨカッタネ」
もう二度とゴメンだ。
……まぁ今回くらいは反省しよ。
と、無駄な事を考えていると、目の前にやたら豪華な宝箱と赤と白の二つの魔法陣が出てきた。
「ミミックですか」
そう言って斬る体勢に入る葉月。
「ちょ、ちょっっっと待て!普通の!普通の宝箱だから!」
慌てて止めに入る。せっかくの報酬を真っ二つにされては堪らない。
と言うか、ここの報酬って確か……
「おっこらしょ」
おっさんのような掛け声で宝箱をあける。
『異神の剣』
……あぁ、そう言えば、記憶が太古過ぎて忘れた。これ、ボス部屋開くための必須アイテムだ。
……まぁ、結果的に門前払いにならなかったし、オールオッケーって事で……。許されるよね?うん。許された(自己完結型裁判)。
じゃあ、キーアイテムも手に入れたところで!
「よしっ!行きますか」
「えぇと、どこへ?」
「え?ボス部屋前?」
「どうやって?」
「この赤い魔法陣がボス部屋前直行なのよ」
「成る程、行きますか」
欠月は兎も角、葉月もなんの躊躇いもなく魔法陣に乗り、二人はボス部屋前へと転移した。
次回、泣きっ面にスタン
デュエルスタンバイ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます