第35話

良太は前回のミスを取り戻す為に

必死に営業回りを行った。

その結果が出たのか

新規取引先獲得件数で

トップに立つことができた。


そこに甘んじずに

初心の心を忘れないように

心がけていた。


良太の頑張りが他の営業にも

刺激を与えたのか

営業成績が軒並みあがっていたのだ。


だが油断せず

この数字をキープすることが大切である。

だんだんと良太の意識が変わってじていた。


仕事は順調に進んでいたが

恋愛の方は、イマイチだった。


優香が気になる存在にはなったが

まだ好きというには違う気がしていた。


優香の事をもっとよく知ってから

好きにならなければと

今までの経験が無駄になってしまう。


今までのような失敗はもうしたくない。

良太は優香をもっと知る為にもっと

二人で会うようにしようと思っていた。


まずは、仕事帰りにご飯に誘う回数を

増やす事を考え、

早速メッセージを送ってみた。

優香からの返信がすぐにきた。


「いつが早いですか?合わせますよ?」


良太に合わせてくれるようで


「来週なら早く終わるんだけど

どうですか?」


良太も空かさず返信した。


「来週ですね!大丈夫です!!!

今度は奢りますね!!!」


優香からも返信がきて、

来週の仕事帰りに

ご飯に行くことになった。

今度は奢ると

前言っていたことも

覚えていてくれたみたいで

良太も嬉しい気持ちとなった。


だが、良太から誘っておいて

奢ってもらうのは良くないとも思っていたのだ。


楽しみが出来た分

来週までは仕事に精を出し

浮かれずにしっかりとやらなければと

気持ちを引き締め

仕事に取り組んでいった。


明日の仕事終わりが

優香とのご飯に行く日となり

楽しみが増していた良太だった。


今日は、仕事も無事終わり

ちょうど結城部長がいたので

声を掛けた。


「お疲れ様です!

今日は終わりですか?」


結城部長は、


「お、熊谷か!お疲れ様!

今日は終わりにして帰る予定だ!

熊谷も帰るんだろ?

駅まで一緒に帰るか?」


と、言ってくれたので

駅まで一緒に歩いて向かうことになった。


歩き始めてすぐに

良太は優香のことを

相談してみようと思い

結城部長に、


「結城部長、相談しても良いですか?」


と、言ってから

結城部長が


「ん?どんな話だ?」


と、聞いてくれたので

良太は、


「今、気になり始めた女性がいるんですけど

明日ご飯に行く事になっているんですけど、

俺から誘ったのに

奢ってもらうのってどう思いますか?」


優香は奢ってくれると言っていたが

良太は、その事が気になっていたのだ。

結城部長は、


「その女性が奢ってくれると言っていたのか?」


と、聞いてきたので


前回は奢った事と

その時に

次は奢りますと言われていた事を伝えた。

すると、


「奢ってくれるというなら

奢ってもらった方がいいのかもな!

でも、熊谷が誘ったとなると

前回の奢ると言ったのに

誘われないから

本当は奢らせたいのかな?

と思われてしまうかもしれないな?」


結城部長にそう言われ

良太も


「やっぱりそうなっちゃいますよね。

奢らせたいわけではないんですが、

どうしたらスムーズに

こっちが奢りやすくなりますかね?」


結城部長は、

顎に手をやりながら


「俺が女性とご飯に行っていた時は、

いつも奢っていたから

スムーズかはわからないが

女性は男性より

私生活にお金がかかるのはわかるよな?」


と、聞かれたので

良太は、首をかしげると

結城部長は


「例えばメイク用品、

メイク用品の中にも沢山あるな!?

化粧水や乳液、

ファンデーションやリップ

その他諸々と、それにはお金がかかる!

それ以外にも服やバック、アクセサリーなど

身につける物にもお金がかかる!

脱毛にもお金がかかる!

身体のメンテナンスまでして

男性とご飯に行ってくれるんだ!

更には、生理用品などの

日用品にまでお金がかかるんだ!

だからご飯くらいは奢らないと

失礼だし対等にも近付けないな思って

俺はいつも出させてもらっていたけどな!

ご飯を奢ってそれでも

トータルだと女性の方が

お金が掛かっていると思うしな!

今は、男性の中にも

スキンケアやメイクをしている子達もいる。

服やアクセサリーなんかも

女性と同じように

お金をかけている人も増えている。

そこまでしていれば奢る必要もないし

対等だとは思うが、

俺はそこまでしていなかったから

ご飯代くらいは出させてもらったいた。

熊谷も対等って意味合いで考えて

ご飯代くらいは出させてもらうって事を

伝えればいいんじゃないか?」


そんな事など考えてもいなかった。

確かにそう言われれば、

女性は私生活にお金が掛かる。

女性の話を聞いていても

コスメなどが高いと聞いたことがあった。

良太も最近は、服装や髪型なども

気にするようになったが

そこまでお金を掛けているわけではない。

その方法ならスムーズに奢れると思えた。

更に結城部長は、


「ただ、

奢って欲しくない、

仮を作りたくないと

思っている女性も中にはいるだろうから

全て奢るのではなく、

ご飯だけは奢らせてと

付け加えるのもいいかもな!」


と、アドバイスもしてくれた。

良太はこの作戦で行こうと思ったのだ。





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