第34話
秀人と花蓮が無事付き合う事になり
その後も順調のようだ。
秀人は、結城部長にもその事を報告した。
結城部長も、喜んでくれたらしく
秀人はそこでも号泣していて
結城部長が困っていたらしい。
良太は、秀人と花蓮の付き合う場面に
一緒にいられたことを、
とても光栄のことだと思えたが、
いつか自分もあんな風に、
幸せになれる日がくるのかと
心配にもなっていた。
寝取られるというのは、
想像している以上に
トラウマになっていたらしい。
だが、初めての寝取られ相手だった
花蓮の場合は、
今思えば、付き合っていたのかも
定かではないくらいの仲だったので
花蓮が可哀想なくらいだった。
花蓮に対して、
申し訳ない気持ちでいっぱいになり
本当に幸せになって欲しいと
心から思っていた。
秀人には、
本当に感謝の気持ちでいっぱいだった。
優も幸せになっていたから安心できたが
今後もし
元カノ達に会うことがあったとしたら
花蓮や優のように
幸せになって欲しいと思えるのかと思うと
今はまだわからない。
良太も聖人君子のようにはなれない。
聖人君子になる必要はないのだが
良太自身が幸せのなる必要はあったのだ。
良太自身が幸せになっていれば
余裕が生まれ
元カノ達に偶然会っても
動揺はしないで対応できるかもしれない。
今の良太にはまだそんな余裕はない。
これからもっと
成長していかなければいけない。
まだまだ幸せへの道は長いのであった。
だが、秀人と花蓮のことで
良太は気分が良くなっていた。
こんな時こそ
気を引き締めなければいけない。
気を引き締めなければいけないのだが
良太は気が緩んでいて
仕事でミスをしてしまった。
庄司さんと結城部長が
何とか対応してくれて
大きなミスには繋がらなかったが
気の緩みが生んだミスだった。
良太は、
取引先の発注を間違えてしまったのだ。
庄司さんがすぐにカバーをしてくれたお陰で
大きなミスにならなかった。
庄司さんには、少し怒られてしまったが
感謝しなければいけない。
良太もすぐに取引先に向かい
発注ミスのことを謝りに行き
取引先の担当者の方も
次からは気をつけるようにと
お許しいただけた。
結城部長も取引先に
すぐに謝りの連絡を入れ
フォローしてくれたので
このくらいで済んだのだ。
良太は、
まず庄司さんに謝りとお礼を告げ
結城部長にも迷惑を掛けてしまったので
結城部長のところに向かった。
「結城部長、今回はご迷惑をお掛けして
大変申し訳ありませんでした。」
良太は頭を下げて謝った。
結城部長は、
「このくらいで済んで良かったな!
熊谷が、すぐに気付き対応できたことで
こちらもすぐに対応ができよ!
取引先も、熊谷の頑張りを知っているから
今回は、
注意だけで今後気をつけるようにと
言って下さった。
ありがたいことだな!」
結城部長は、叱るわけでもなく
良太に優しくしてくれた。
良太はそれでも
「本当に申し訳ありませんでした。」
まだ、頭を下げていた。
そんな良太に結城部長は、
「ミスをしない人間なんていないよ!
だから
ミスを反省して次に活かしていけばいい!
お前達のフォローをするのが
俺の仕事なんだから
沢山失敗すればいいんだ!
それで熊谷が成長できるんなら
安いもんだ!
ミスを引きずっても成長しないぞ?
気持ちを切り替えて
次に何をするべきかを考えて
行動すればいい!
このくらいのミスで済んだんだから
運が良いと思って
これからもっと
結果が残せるように頑張るんだぞ!」
良太は、結城部長の言葉を聞いて
もっと頑張ろうと思えた。
結城部長にお礼を伝え
その場をあとにした。
いつまでも引きずっていても良くないと
花蓮のことでわかっていたはずなのだが
自分の事となると
なかなかできないことを実感した。
だが切り替えて
次に進むことの大切さも
良太自身で体験できた。
この経験はとても大事なものとなったのだ。
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