第9話

香織がイケメンの名前を呼び始め、

しかも、

本当に好きなのは陽平らしい。

魔が刺したらしい。


良太は、ダメージを受けた。

最初は立っていられたが、


「本当に好きなのは、陽平だけなの!」


この言葉で、地面に膝を着き

立ち上がれなくなっていた。



良太は、

この状況を

理解し始めていたが

先ほどの言葉で完全に理解した。


「俺の方が浮気相手だったのか。」


良太が、香織に浮気をされたわけではなく

良太が、香織の浮気相手だったのだ。


「お前は、どうなんだ!?」


陽平がまた、良太に怒鳴ってきた。


良太も、状況を理解してすぐなので

どうなんだと聞かれても困る。

しかも怒鳴られる始末。


良太も頭に来て、


「ふざけんじゃねぇよ!

お前らこそなんなだよ!

完全に俺だけ除け者だろうが!

ちゃんと説明してから話せや!」


まだまだ止まらない。


「今の話聞いてると

お前らが付き合ってんのはわかったが、

俺だって付き合ってると思ってたわ!

しかも、

彼氏がいるなんて事

一ミリも知らなかったわ!

こっちは

真剣に付き合ってると思ってたのに

彼氏はいるし、俺が浮気相手じゃねぇか!

お前らこそなんなだよ!

俺は何も知らねぇのに

怒鳴りやがって!

香織!テメェも

何が「陽平じゃなきゃダメなの!」だぁ!

さっきまでアンアン言って

俺の名前叫んでただろぁが!

俺はなぁ!

今まで付き合った彼女二人とも

寝取られとるんじゃぁ!

普通の彼女が欲しいんじゃぁ!

なのに、なのに…

なんでなんだぁ〜!」


香織も、陽平も

茫然としていた。


前回の二人は良太が悪いのだが

その事に気付いていない。


まさか、

良太に逆ギレさせるとも

思っていなかったし

衝撃的な事実までも

言ってくるとは思わなかったのだ。


「もう勝手にしてくれ!

俺は帰る!!!」


と、言って良太は、

トボトボと歩いて帰っていった。


二人は、追ってくる事はなかったが

後日、なぜか陽平の方から連絡があり

謝りたいので会って欲しいと言われた。

会いたくなかったので、

嫌だと言っても

しつこく連絡してくるので

仕方なく会う事にした。


香織から連絡は、わからない。

番号ごとブロックしてやったからだ。



陽平と待ち合わせた居酒屋に着いた。

個室に通され入ってすぐに

陽平に土下座された。


怒鳴った事や

勘違いしていた事に対してだ。


もういいと言ってもずっと謝ってくるので


「帰る!」


と、言ったらやめてくれた。


そのあとは、今までの事を話していた。


陽平は香織と、高校から付き合っていたらしい。

大学は違うから

お互い一人暮らしの家に行くことはしていたが

大学の事は、聞かなかったらしい。


香織は浪人で、

f陽平は、現役合格だったから

学年が違かったのだ。


陽平が三年になってからは、

就活に忙しくて

なかなか香織の相手が

できていなかったらしく


そんなタイミングでの合コンだったらしい。


香織は、合コンの前に

彼氏と別れたと

友達には言っていたらしいが

只の気晴らしがしたかってだけで

浮気するつもりなんてなかったらしい。


そこで良太と出会い、

純粋そうだし、騙しやすそうと思って

良太に合わせてみたのだと言っていた。


良太と付き合うまではしなくても

デートくらいはしてあげようと

思っていたが、

なんでも買ってくれるし

一生懸命だったから、

一回くらいはやらせてあげようと

思って、エッチをしてしまったらしい。


香織は、その背徳感が癖になり

気付くとやめられなくなっていたと

言っているらしい。


元々は、そんな事をする子ではないのだが、

周りの女の子がみんなやっているので

浮気の一回くらいは経験だと思い

浮気してしまったらしい。


そのあとの事も

陽平が、勝手に話していたが

めんどくさくなってきたので

適当に聞いていた。


「と言う事なんだ。

勘違いしてすまなかった!

この通りだ!」


と、また土下座してしたので

もういいからと言って

許す事にした。


許すもなにも陽平自身も被害者で

香織が悪い。

だから陽平が謝る必要はないのだ。


怒鳴られた事だけは、

今後もチクチク言い続けるつもりだが。


香織も謝りたいと言っていたらしいが

会うのも嫌だったので

断っておいてもらう事にした。


陽平と香織も別れたと言っていた。


陽平は、

はっきりとしなかったのも悪いと思い

友達に戻って考え直すそうだ。



そんなこんなで、陽平とは仲良くなり

今でもよく呑みに行っている。


良太は、友達には恵まれているのだ。



良太は、

こうして過去に

三回(実質一回)も寝取られると言う

異色の経歴が出来上がってしまったのだ。



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