ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語
第39話 ハロルドがこの国の第一王子だと初めて知りました
第39話 ハロルドがこの国の第一王子だと初めて知りました
「ふうん、これが建国の竜神ね」
私はカーラの胸の中でニタニタしながら胸にスリスリする龍ちゃんを見て呆れて言った。
どう見てもエロ龍以外のなんでも無いだろう!
「えっ、何かキャサリン様、言われました?」
「ううん、なんでも無いわ」
私は首を振った。
「建国神話によると、始祖様は戦いに傷つかれて洞窟に辿り着かれたそうです。その始祖様に竜神様はヒールをかけられたのです」
「竜がヒールなんてかけられるの?」
「それは竜神様ですから」
私の疑問に当然という顔でカーラが言った。なら、この龍ちゃんは違うわね。やることっていったら、女の子の胸にスリスリするだけだし・・・・そんな高等魔術かけられるわけないし、私がそう思うと、何故か龍ちゃんがムッとしてこちらを睨みつけてくる。
「そして、追手に対して火を吐かれて追手をやっつけられたそうです」
「そうなんだ」
まあ、この龍ちゃんはたしかに火は吐いた。でも、それだけだ。何百年前かわからないし、龍ちゃんは違うだろう。
「でも、我が家には別の話が伝わっています。その洞窟には竜神様を従えた、聖女様がいらっしゃったのです」
「えっ、そんな話だったっけ」
私は驚いて聞いた。確かそんな風には聞いていない。
「我が家に伝わっている建国秘話です。我が伯爵家は最初から始祖様と一緒に行動していたそうですから」
カーラが言った。そう言えばベルファストのヘリフォード伯爵家は建国以来の古い伯爵家だと聞いたことはあった。
「その聖女様が始祖様の傷を癒やされて、追手は竜神様が退治されたと。そして、始祖様は聖女様と竜神様とこの国を建国されて、その始祖様と聖女様が結ばれてベルファスト王室を作られたと」
「そうなの? 確か始祖の王妃はアビントン侯爵家の娘だったと聞いたのだけど。アビントン侯爵家の娘が聖女だったの?」
私が驚いて聞いた。アビントン侯爵家から聖女が出たなんて聞いたことはなかったし、確かこの国に聖女はいなかったはずだ。
「違います。アビントン侯爵家の娘は元々始祖様のことが好きで、聖女様を連れて始祖様が現れたので、その聖女様に嫉妬して毒殺したと我が家には伝わっているのです。それ以来、この国には聖女は現れないと言われています」
悲しそうにカーラが言った。たしかに聖女がいないのは困るかもしれないけれど、私を殺そうとした女も聖女だ。あんな性格の悪いのがいたら困るだろう。それに侯爵家の女と同じだ。私が邪魔だから殺そうとしたのだ。
「そうか、元々、侯爵家は腹黒いのね」
あの聖女も侯爵家の血が混じっているのかもしれない。私は冗談でそう思った。
「まあ、そこはなんとも申せませんが」
私の言葉にカーラは口を濁した。今まで第二王子派だったのだ。そんなにすぐには悪口は言えまい。我が国にも言えないことは色々あるし、我が公爵家も色々悪事に手を染めているようにも思うけど。
「でも、今の王家はその腹黒侯爵家の血を引いているのよね」
「まあ、何百年も続いていますからどこかで婚姻しているとは思いますが、次の高祖様は始祖と聖女様のお子だと聞いています」
「えっ、そうなんだ。始祖も手が早いのね。王妃になる前に孕ましたんだ」
「キャサリン様、流石に言い過ぎです。まあ、事実ですけど」
私の言葉にカーラが赤くなって言った。カーラはあんな大胆な行動したのに、ピュアなところがあるんだ。
「でも、この竜もどきが本当の竜なら、キャサリン様は聖女様の再来ですね」
カーラがとんでもないことを言うんだけど。
「えっ、何故? だって私は聖魔法は使えないわよ」
そう言えばスキルでは聖魔法は1だった。1ということは少しは使えるのか?
「いや、そこではなくてですね。ハロルド様と一緒にいらっしゃるので」
なんか、カーラがよく判らないことを言うんだけど。
「えっ、ハロルドは私の事守ってここまで来てもらっただけで」
「それだけで凄いです。ハロルド様は氷の王子様って呼ばれていてここまで、女の人にやさしくしたことなんてないんです」
「えっ、そうなんだ。この国ても氷の王子様って呼ばれているんだ」
「ロンド王国でもそう呼ばれていたのですか?」
「ロンドでは氷の騎士だったけど」
「ロンド王国では騎士をされていたのですか」
「ええ、氷の騎士と言われていてとても皆に好意を持たれていたわ。誰も近づけていなかったけれど」
「そのハロルド様の心を掴まれるなんてすごいですね」
「何言っているのよ。ハロルドとは王宮で私が王太子に婚約破棄された時に助けてもらって、その時の腐れ縁で今いるだけよ」
「キャサリン様凄いです。ロンドの王太子を袖にしたら今度はベルファストの王子様を従えるなんて」
カーラがとんでもない事を言ってきた。うーん、王子、今王子って言った?
「いや、ロンドでは王太子に殺されそうになって」
「それをベルファストの第一王子様に助けていただいたのですよね」
「えっ、ベルファストの第一王子?」
「はい。ハロルド様はベルファストの第一王子殿下なのはご存知でしょう?」
カーラは不思議そうに聞いてきたんだけど。
「はあああああ? 嘘 聞いていない・・・・」
私は頭の中が真っ白になってしまったのだった。
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