ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語
第38話 龍ちゃんが勝手に建国の神竜になっていました
第38話 龍ちゃんが勝手に建国の神竜になっていました
「キャサリン様、あれが尖塔なんです。王都で一番高い塔です」
カーラが窓の先を指さしてくれた。王都まで後少し、王国の誇る尖塔が見えてきた。
「えっ、本当に、あれがバベルの塔と並んで世界で一番高い塔なの?」
私はその遠くからも見える尖塔を見て驚いた。
高さも結構ある、前世でもタワーマンションとかくらいしかあそこまで高い塔はなかったと思う。それくらいの高さの塔だ。こんな時代でどうやって建てたのだろうというくらいの高さだ。
「ま、キャサリン様。バベルの塔と並んでなんて、バベルの塔ってあれは伝説の塔ではないですか」
カーラが喜んでいう。
「だってここまで高い塔を私は見たことがないもの」
私がいうと、
「まあ、そこまで言って頂いてありがとうございます。この塔が我がベルファスト王国の誇りでもあるんです」
喜んで、カーラが言った。
ベルファストの尖塔は諸外国でも有名だった。なんでも100年前の大魔術師が建てられたそうだ。おそらくその高さは世界最高だろう。
「一度登ってみたいわ」
高いところの好きな私が言うと、
「良ければまた案内しますよ」
喜んでキャサリンは言ってくれた。
結局、あの後、何故かカーラとは本当に仲良くなれたのだ。性格が合ったのかもしれない。
王都までは伯爵も一緒に来るとのことで、今も伯爵を追い出して私がその馬車にお邪魔しているのだ。
打ち合わせがあるとのことで、ハロルドと辺境伯と伯爵がハロルドの馬車に乗っていて、夫人達は二人で乗っていたのだ。
「ベルファスト王国にはこのような世界に誇れるものがあっていいわね」
私が言うと、
「何を仰っているんですか。ベルファストにはこの尖塔くらいしか自慢できるものがないんです。ロンド王国にはいっぱいあるじゃないですか」
「いや、そんなに無いわよ。何か知っているの?」
「王都の動物園はすごいって聞いたことがあります。竜様まで飼育しているんだとか」
「ああ、そうね」
あそこは、大人しい竜を飼育していた。全ての展示スペースは確かに王宮くらいの広さがあった気がする。
「キャサリン様は行かれたことありますよね。私、竜様なんて見たこと無くて」
「えっ?」
私は思わず言ってしまった。なぜなら、私の胸の中で龍ちゃんが寝ていたんだけど。
思わず、寝ている龍ちゃんを見てしまった。竜様ってそんな良いものなんだろうか? 我がロンド王国では竜は害獣だ。そう言えばこの国の建国神話にも竜が登場していたような気もする。ロンド王国では害獣でしか無いのだが、ベルファスト王国では神獣だったかも、私はすっかり忘れていた。でも、辺境伯らは討伐しようとしていたけど、それは問題なかったんだろうか?
「私、竜様には憧れているんです。絵でしか見たことがないんですけれど、飛ぶ姿がとても神々しくて」
カーラは夢見るように言ってくれるんだけど。神々しいって恐ろしいの間違いじゃないかな。
そう思いながら、龍ちゃんを見るとなんか変な夢見ているみたいで、うなされているんだけど。
「そう言えばキャサリン様はハロルド様が呼び出された竜様がスノードニア軍を退治されるのを見られたんですよね」
「えっ、そうね。少し見たかも」
私はシドロモドロに言った。龍ちゃんが暴れたときには私は魔力切れで気絶していたのだ。最初に龍ちゃんを退治した時しか、大きくなった龍ちゃんはまともに見ていないかも。
「いいなあ、私も見たかったです」
夢見るようにカーラは言うんだけど、
「あの時は本当に大変だったのよ」
当事者の私はそんな余裕もなかった。
「そうですよね。スノードニアの大軍がいきなりお城に攻めてきたんですものね」
すまなさそうにカーラは言った。
「あの時、スノードニアの軍が辺境伯のお城を越えていたら私達の領は今頃スノードニアに占拠されていたと思うんです。でも、そのこの国の危機に、竜様は現れたんですよね。建国の竜神様が現れたって皆いつていました。本当に竜神様だったのですか?」
興味津々にカーラは聞いてくる。
「だからよくは覚えていなくて」
私は大軍を始末したのは自分だとは言えずに龍ちゃんを見た。竜って長生きするからこの竜も建国の竜神様なんだろうか?
「キャサリン様のペットって竜もどきですよね。ひょっとしてキャサリン様も竜様がお好きかなって思ったんですけど」
竜もどきと言われて龍ちゃんが目を覚ました。不機嫌そうな顔をカーラに向けると私をうるうると見ているんだけど。
「うーん、どうかな、なんか竜って大きな胸の人が好きみたいよ」
龍ちゃんは必死に首を振っているけれど。
「えっ、まさか」
カーラは大きな胸を揺らして笑った。
「抱いてみる?」
「ああ、竜もどきの龍ちゃんの話ですか」
笑ってカーラは龍ちゃんを抱いた。
「龍ちゃんも可愛いですよね」
カーラはそう言って龍ちゃんを抱いていた。
このバカ龍は相変わらず、勉強していない。カーラの胸に喜んでむ顔を擦り付けているんだけど。私は少しムッとした。
私のムットした視線を感じたのか思わずビクリとする。でも、こちらに帰ってこないのはさすが龍だ。
「辺境伯の領地に竜様が現れて、第一王子殿下に竜様がついたって聞いたので、我が伯爵家も第一王子殿下に付くことにしたんです。何しろこの国は竜神様のご加護で作られた国ですから」
「そうなんだ」
カーラの言葉に私は頷いた。
この龍が竜神様って笑えるんだけど。単なる胸好きエロ竜だ。
でも、それを私がペットにしているって皆にバレたらどうなるんだろう?
碌なことがないように思ったので、再度エイブさんに念押ししておこうと私は思ったのだ。
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