第26話 行くのが嫌だとゴネまくりましたが、王宮舞踏会に参加が決まりました

「ええええ! ベルファスト王国の王宮から私に招待状が来ている? なんでなんですか?」

私は叫んでいた。王宮からそれも舞踏会だ。何で他国からの遊学生を、そんなのに呼ぶのだろう?


「まあ、今回のスノードニア軍の撃退には多大な貢献していただきましたから」

辺境伯はそう言ってくれるんだけど、


「ええええ! 今回の私の件は秘密にして頂けたのでは」

私は驚いて聞いた。古代竜がたまたま現れて助けてくれたということで報告したと聞いたのだけど。

私がやったなんて話になったら、今後どんなことになるかわからないし・・・・。下手したら最終秘密兵器として王国に飼い殺しにされる・・・・


「それは大丈夫です。我らの祈りに感銘した大地の神様が古代竜を派遣してくれて、スノードニアを退治して頂けたということにしました」

エイブさんが胸を張って言うんだけど、なんかそれも嘘くさいんだけど・・・・。そんなのでベルファストの王宮が信用してくれるのだろうか?


「じゃあ、私は必要ありませんよね」

逃げる気満々の私が言うんだが、


「いやいや、若が女性を連れて来たと言うことで、会ってみたいと王宮の方々が思われたのではないですかな」

「それ、ハロルドのファンがいて、私をいびろうと待ち構えているということですよね」

ハロルドはイケメンで剣術にも優れている。それに辺境伯が若というくらいだ。高位貴族なのは間違いない。そんなのにおじゃま虫がついていったら、絶対にいじめの集中砲火を浴びるじゃない。今までそういった事をしてきた私だから、どういう結果になるかはよく判っていた。


「まあまあ、貴方様を招待しないと若が王宮に寄り付かないと王宮の方々も思っていらっしゃるのでしょう」


「じゃあ、ハロルド一択で。私はロンドの人間です。それももうじき平民の冒険者になる予定なんです。そんな者が王宮なんて畏れ多くていけません」

私は言い切った。私が冒険者と言った途端にハロルドらの顔が、馬鹿にしたようにこちらを見るんだけど。私はまだ冒険者になる気満々だった。


せっかく、あの、ロンドの伏魔殿から逃げ出してきたのに。それも危うく殺されそうになったのだ。何でまた、ベルファストの伏魔殿に行かないといけないのやら判らなかった。


「まあ、キャサリン殿。申し訳ありませんが、ここはこの老僕の顔を立てると思って王宮に行って頂けませんか」

エイブさんが頭を下げてきた。


それはこちらとしてはお世話になっている身で、辺境伯の言うことを聞きたい気分は十二分にあるのだが・・・・、いや、やっぱり無い。


「そもそも着ていく衣装がありません」

私が言い切った。


「それはこちらが用意いたしますが」

1つ目は躱されてしまった。


「礼儀作法に自信がございません」

「よくおっしゃいますな。ロンド王国の公爵令嬢様が礼儀作法が出来ないわけはないでしょう。こちらが教わりたいくらいです」

エイブさんが最もな事を言うんだけど。これは無理だ。じゃあ・・・・そうだ!


「でも、龍ちゃんの面倒見なければいけませんし」

私は破れかぶれで思いついた。そうだ。龍ちゃんのせいにすれば良いんだ。


「そうですな。そこが問題ですな」

辺境伯も腕を組んだ。

「ここにおいておいて、また巨大化されたら堪りませんし」

その言葉に龍ちゃんはムッとしたみたいだ。


「ピーピー」

鳴いて私の胸に飛び込んでくる。


「そのエロ竜ならば、おそらくバーバラをつけていれば大丈夫だぞ」

ハロルドがとんでもない事を言い出してくれた。何で侍女のバーバラなのだ。私はバーバラをよく見た。確かに胸は大きいが、そんなの龍ちゃんには関係ないだろう!


「えっ?」

「私ですか?」

侍女のバーバラが後ろからキョトンとした声で聞いてきた。


「龍ちゃん、無理よね」

私はそう言うが、龍ちゃんはバーバラさんを見ると


「ピーーーー」

と鳴いて手を差し出したのだ。


「まあ、可愛い」

バーバラさんはその龍ちゃんを胸にギュッと抱きしめていた。

龍ちゃんはそのバーバラさんの私より大きな胸に顔を擦り付けている。


「な、なんという」

私はムッとした。こいつは胸がデカければ誰でもいいのか?


「な、エロ竜なんてこんなものさ」

龍ちゃんはハロルドの声にはっとした。


慌てて私を見るが

ムッとして私が顔を背けると


「ピーーーー」

と鳴くが、その声に騙されるものか。


私は怒ってしまった。


「ふんっ」

首を振って龍ちゃんを無視する。


その日の夜はムカついたので、龍ちゃんがベッドに潜り込んできても無視して抱いてやらなかった・・・・。


結局、ピーピー煩いので、最後は諦めて抱いてやったが、こいつもオスで、胸は大きい方が良いのだと、思いっきり睨んでやったら縮こまっていた。


でも、そのせいで結局私も王宮に行くことが決まってしまったのだった・・・・

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