第11話ルンルン気分でダンジョンに向かう予定が、ハロルドの前に乗せられて、大変でした

何とか、ダンジョンにもぐれるようになって、私は喜んだ。


エイブさんらは治療師に靴擦れを治させてくれたり、靴と防具等を準備してくれたり、ダンジョンに入る準備を色々としてくれた。代金は、また、払うからと言うと、一緒にダンジョンに潜る準備代だから、気にする必要は無いと言ってくれた。


剣までくれて、宿屋の庭で少し、稽古をつけてくれたが、私は剣を合わせただけで、手が痺れて、剣を取り落としてしまったのだ。

こんなので良いのか、とさすがに思ったが、エイブさんは、キャサリンさんは、魔術師だから剣が使えなくても問題はない、と慰めてもらったけど・・・・。何か悔しい。


「ふんっ」

ハロルドが馬鹿にしたようにこちらを見下したので、私はムッとした。


剣を振りかぶると「ハロルド勝負、しなさいよ」

と言う。


「よせよせ、怪我するだけだぞ」

更に馬鹿にしたように言うので、

「食らえ!」

剣を障壁で覆ってハロルドに切りつけたのだ。


「えっ」

ハロルドがとっさに身をのけ反らせて躱すが、剣は今までハロルドがいた空間を切り裂き、そのまま、その先の林を切り裂いたのだ!


ズコーン


凄まじい音がして何十本という木が真横に伐られたのだ。



それを見ていた騎士達は唖然としていた。もっとも一番驚いたのは私だけど・・・・


「お前、俺を殺すつもりかよ!」

ハロルドが文句を言ったが、

「ふんっ私を馬鹿にするからよ」

私は得意気にハロルドに言ってやった。


「これはこれは、キャサリン様は素晴らしいですな」

エイブさんが手放しで褒めてくれた。

私は鼻高々だったのだ。



夜ご飯も、エイブさんが奢ってくれて、私は恐縮したんだけど、エイブさんが

「何、キャサリン様がダンジョン征伐に参加していただけるお礼ですから、気にせんで下さい」

と言ってくれたので、遠慮無しに頂く事にした。


その料理の美味しいこと、美味しいこと。久しぶりのまともな食事にありついて、私は遠慮無しに頂いた。


ビールも美味しいし。ちょっと羽目を外し過ぎたらしい。最後の記憶が無いんだけど。


翌朝、会う騎士、会う騎士、何か残念そうに見てくるんだけど、何でだろう?


ハロルドに聞いたら、私は酔っ払ったみたいで大変だったらしい。最後ははだか躍りをしていたと聞いて真っ青になったんだけど。


チャット待ってよ。縁を切られそうと言っても、私は公爵家の令嬢なのだ。隣国の騎士ばかりとは言え、さすがにそれは不味かったのではと、エイブさんに謝りに言ったのだ。


「昨日は取り乱してすみませんでした」

私が謝ると、

「何問題ありませんよ。我らは男所帯ですからな。久しぶりに若い女性がいらっしゃて、楽しませてもらいました」

その言葉に私はさああああっと血が引いた。本当に素っ裸になって踊ったんだろうか?そんなことしていたら、もうお嫁に行けない!


「どうされたのです?それほど酷い事はされてませんよ。何かお父さんに悪い事をしたって泣いておられましたが、まあ、私がキャサリン様の親ならば即座に許しますぞ」

エイブさんは言ってくれるんだけど、それは前世の父の話だろう。もう会う事は叶わないが。

いや、今はそんなことはどうでも良い。


「いや、それよりも、何か服を脱いで踊っていた、とハロルドに言われたんですけど」

私の言葉にエイブさんはキョトンとした。

「いや、そんなことは・・・・、それは若に嵌められましたなた」

そう言って、エイブさんが笑いだした。


「えっそうなんですか?」

私は慌ててハロルドを探すがどこにもいなかった。

あいつ逃げたな!


私はムッとしたんだけど。


「まあ、キャサリン様が怒られるのはもっともですが、若が若い女性に冗談でもそんなこと事を言われるのはとても珍しいのです。キャサリン様は素晴らしい技もお持ちですし、お貴族様のご出身とお伺いしております。よろしければ若はおすすめですぞ」

エイブさんが何言っているのか、最初は判らなかった。私がキョトンとしていると、

「まあ、じっくりとお考えください」

訳の判んない事を言って、席を立たれたんだけど、何の事だろう?


お勧めって、まあ、気に入ったから護衛に来てもらったんだけど。いつまでも、一緒にいてもらうわけには行かないだろう!


なにしろ彼には我が国で職があるのだから。そらあ、私としてはずうっと私の護衛してもらいたかったけど。

もっとも、今後も護衛をやってもらうとなると、護衛に雇う金が無かったんだけど。王家からせしめた金は、盗賊と一緒に土のなかだし。


一緒に冒険者としてパートナーになってくれれば言うこと無かったけれど、騎士の方が安定しているはずだ。


まあ、今後の事は伯爵家についてから考えようと、私は思った。


それに、洞窟までは馬で行くというのは判ったけど、私は馬に乗れないのだ。


「そんなので、冒険者になれるわけ無いだろう!」

とまた、ハロルドに馬鹿にされて私はムッとした。


「良いもん。他の親切な人に乗せてもらうもん」

と言うと、

「他国の騎士に迷惑かけるわけに行かないだろうが!」

何故か怒られて、強引に一緒の馬に乗せられたんだけど・・・・


いや、高いって!

私は青くなった。

まあズボンだから、跨いでは乗れるけど。本当に怖い!


「絶対に落とさないでね」

私が前に回してくれたハロルドの手に捕まったのだ。ギュット思いっきり。


「大丈夫だっ」

ハロルドは言ってくれるけど、あんまり信用していないんだけど。


「ちょっ、怖いって」

「大丈夫ですから、キャサリンさん、若の乗馬の腕は完璧ですから」

エイブさんが保証してくれるんだけど、こいつは一回、大階段から落ちた時に助けてくれなかった前科があるのだ。


「時間が無いから飛ばすぞ」

「いや、ちょっと待ってよ」

悲鳴を上げる私を乗せて、ハロルドは街道を飛ばしてくれたのだ!

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