第8話 服を破かれて貧乳と言われてプッツン切れて山賊退治をしました

ズバッとナイフを突き出された瞬間、殺されたのかと思った。


しかし、頭目は私の上に着ていたブラウスを切り裂いたのだ。


服が弾け飛んだ。


「えっ」

私は一瞬固まってしまった。


この服、お気に入りだったのに!


「ふんっ、姉ちゃんよ。悪く思うなよ。聖女様に逆らうからこうなるんだ。可哀想に、俺たちの相手した後じゃあ、もう使いものにならないかもな」

下ひた笑いを男がしてくれた。


周りを見るとハロルドは見えなかった。あいつ、私の護衛のくせに本当に使えない。


私の反応を見て、男たちの下ひた笑いがした。私が怯えて悲鳴を上げたとトチ狂ったのだろう。

こちとら何度も大階段からダイブしているんだよ。こんなのでビビるか?



「そこまでだ。全員武器を捨てろ」

その声の方を見るとそこには山賊の一人を盾にして剣を突きつけたハロルドがいたのだ。


「ほう、やっと騎士様のお出ましかい」

頭目が下ひた笑みを浮かべた。


「そっちこそ、動くんじゃねえよ。この女がどうなっても良いのか」

頭目は私の体を掴んで立たせたのだ。


ナイフを私に付きつける。


「貴様ら、こいつの命がどうなっても良いのか」

ハロルドが言うが、

山賊共はどっと笑った。


「そんな見張りの一人や二人、どうってこと無いぜ」

頭目は笑って言った。


「本当にハロルドは人が良いよな。人質の姉ちゃんがどうなっても良いのか」

トムが剣を抜いて言った。


その剣を私に突き付ける。


本当にハロルドも馬鹿だ。私を襲おうとしている頭目を先に切り裂けばよかったのに。そうか、人質にするのならば頭目だろう。


私が馬鹿にしたようにハロルドを見るが、ハロルドは何故か真剣な顔でコチラを見ている。



「おいこら、この姉ちゃんがどうなっても良いのか」

頭目は私の首にナイフを突きつけた。


「しかし、この姉ちゃんは背の割に胸がないな」

頭目が下着の上から私の胸に触れたのだ。

怖気が私の背筋を走った。


こいつ、この公爵令嬢のキャサリン様の胸を揉んでなおかつ無いと言いやがった。


この山賊共、もう許さない。


ピキピキピキ私の頭がブチギレた。


猿轡と私を縛っていたロープが弾け飛んでいた。


私は次の瞬間に障壁を展開。私を掴んでいた山賊の頭目を障壁で一気に弾き飛ばしたのだ。


ズドーン、頭目は洞窟の壁を突き抜けて、どこかに飛んでいった。


「えっ」

男達は唖然とそれを見ていた。


「ギャ」

次の瞬間にはハロルドに捕まっていた男が血を吹き出して倒れていた。



「匕、ヒィィィィィィィーーーーーー」

周りの男たちの悲鳴が聞こえたが、もう私は許さなかった。


3分間で暴れきってやる。


前で恐怖のあまりナイフを構えた、男に向かって障壁を放つ。


男は洞窟の壁にたたきつけられていた。


「この女(アマ)ーーー」

山賊の子分共がナイフで切りかかってこようとしたが、次の瞬間、障壁を放っていた。


ズドーーーン

凄まじい爆発とともに、子分共は3人共壁に激突、壁に巨大な穴を開けて飛んで行った。


男達が次々にかかってくるが、もう知ったことじゃない。


私はは全開で障壁を展開したのだ。


ドドーーーーん


あまりにも暴れすぎたからだろうか、洞窟が保てなくなったようだ。大音響とともに、洞窟の天井が崩れてきたのだ。


3人の裏切り者の騎士はハロルドに切り倒されていた。


「大丈夫か」


ハロルドが私に駆け寄ってきた。


「遅いのよ」

「すまん」

私は私を抱きかかえてくれたハロルドもろとも障壁に包む。


凄まじい大音響を残して天井が落ちてきた。


私達二人は障壁があったから大丈夫だった。


洞窟が落ちて生き残った山賊共も命は無かったろう。


最後の力を振り絞って私は頭の上の障壁を弾き飛ばしていた。


夜が明けかかっているみたいだ。暁色の空が見えた。


でも、ここで時間切れみたいだった。


私はハロルドの胸の中で気を失っていたのだ。

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