第6話 山賊に襲われましたが、障壁で撃退して気を失ってしまいました。

馬車は国境の山岳地帯に入っていた。その馬車が襲わたのだ。相手はどうやら山賊みたいだった。皆思い思いの格好して馬に乗っている。髪を後ろで結っているものも多くいた。


そもそも10騎の騎士が護衛しているのに関わらず襲ってくるってどういう事だ?ピンク頭の怒りがそれだけ大きかったってことか。

でも、どうやって山賊に渡りをつけたんだろう?

ピンク頭の恨みここに至れりか。


「ギャ」

傍を走っていた騎士に矢が突き刺さり馬から落ちる。


「矢だぞ。弓矢を防げ」

騎士たちの声が響く。


御者も弓にやられたみたいだ。


「キャサリン嬢は伏せていてくれ。このまま馬車で突っ切る」

ハロルドはそう言うと御者台に登って行った。


周りを見ると馬車を10騎の騎士が守っているが、馬に乗った山賊たちの大群が後ろからこちらにかけてくるのが見えた。


手には弓を持っている。


その弓を放ってきた。


「障壁」

私は障壁を展開してその弓を弾いた。



「えっ」

敵は弓を弾かれて驚いていた。


しかし、数が多くて、30騎以上はいる。敵が突入してきた。


これはなかなか厳しいかもしれない。


私はハロルドについで御者台に登った。


「おい、何故、中にいない」

御者をしていたハロルドが文句を言った。


「中にいても埒が明かないじゃない」

「でも外は危険だ」

私の言葉にハロルドが指摘するがそんなの無視だ。


「自分の身は障壁で守れるわ。中にいて矢衾になるのはいやよ」

「矢衾?」

あれ、矢衾って前世の用語だったッけ。

でも、そんなのにかまっていられなかった。


乱戦の中、いつの間にか馬車だけになっていた。


そして、山賊たちが次々に迫ってくるのだ。


奴らの矢を障壁で防ぐ。しかし今度は山賊たちは馬を馬車に横つけするとこちらに乗り移って来ようとした。


ええええ! これってやばいんじゃ。


「ギャっ」

でも、それに対してハロルドは馬車を大きく揺らして男と馬諸共弾く。


一人の男が落馬していった。


でも、次から次に山賊はいるのだ。


次々に馬車に横つけすると馬車によじ登ってきたのだ。


「おい、御者を頼むぞ」

そう言って手綱を私に渡すと、ハロルドは後ろの馬車に乗ってきた男達と戦いに行ったのだ。


「えっ、ちょっと待ってよ。私、馬車の御者なんてやったことないのに」

でも、私の悲鳴をハロルドは聞いていなかった。


私は仕方なしに、手綱を受け取る。


もう見よう見まねだ。最初は手綱を持っているだけだったが、それではどんどんスピードが落ちていく。




「ええええ! ちょっとスピードが落ちているって」

私は慌てた。

「おい、キャサリン」

ハロルドが叫ぶが、

「だって馬が言うこと聞いてくれないのよ」


このままだと下手したら止まってしまう。お前ら主人の命を守れよ。

馬耳東風、何故かしょうもない4字熟語が思い出された。意味なんて知らない。


「ええい、もっと走れよ」

私が叫ぶがどんどん馬車の速度が落ちる。



「どうしたい、お嬢さん」

山賊たちがニヤニヤ笑って、あっという間に私達を囲もうとした。


ビシッ


その止まろうとした馬の眼の前を矢がかすっていった。


ハロルドが投げてくれたのだ。


ヒヒン

驚いた馬が竿立になると急にスピードを出して走り出したのだ。


前にいた山賊たちを踏み潰して走り出す。


馬車によじ登っていた山賊の一人がその勢いで馬車の上から転がり落ちていた。


落ちそうになったもう一人をハロルドが切り捨てる。




また、競争が始まった。私達の馬車を馬に乗った山賊共が追ってくる。


残りは・・・・あれれれれ? 30騎くらいいる。全然減っていないじゃん。


いくら、ハロルドが強いからと言って限度があるだろう。


どうしよう? 私はない頭を必死に働かせる。


そうだ、私は馬車の後ろに障壁を張れば良いのではないかと思いついたのだ。


上手く行けば馬ごと弾き飛ばせる。


「障壁」

私が叫ぶが、馬車の後ろに障壁が張られたが、その障壁は馬車と一緒に動いているのだ。


これじゃあ後ろの敵をやっつけられない。


新たに馬車に近づくことは出来なくなったが、そのままだ。


2人が馬車に取り付こうとして障壁に弾き飛ばされて落ちたが、敵もそれで気をつけて近づかなくなった。


「よし、そのまま走れるか」

ハロルドが戻ってきた。


「無茶よ」

そうだ。確かこの障壁って3分間しか使えないのでは・・・・・


そうなったら終わりだ。後ろに向かって思いっきり障壁を伸ばそう。

もう最後だ。私は何も考えずにすべての力を障壁にかけることにした。


「行けーーーー」

私が叫ぶと、展開していた障壁を一気に後ろに向けて放ったのだ。


私の渾身の一撃だった。


「ギャーーー」

馬車についていた20騎以上を一気に弾き飛ばしていたのだ。


でも、その瞬間、時間切れなのに気づいた。

あのボケ神、障壁は3分間しか使えないってことだった。

頭の中が真っ白になった。


「おい、キャサリン」

私はハロルドの声を聞きつつ、意識を失ったのだった。

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