朱序4  洛陽攻防

朱序しゅじょが守る洛陽らくように、慕容永ぼようえいが攻め込んでくる。朱序は河陰かいんから黄河こうがを渡河、慕容永の配下将である王次おうじらと遭遇。沁水しんすいにて戦いを繰り広げ、王次を敗走させ、またその部将である勿支こつしの首級を挙げた。朱序は趙睦ちょうぼく桓不才かんふさいに追撃を掛けさせ、太行たいこうにて撃破。慕容永を上黨じょうとうに追いやった。


この頃、湖陝こきょうに数千の勢力を率い割拠していた楊楷ようかいは、慕容永の敗走を聞き、息子を派遣の上人質として差し出しすと伝えさせ、朱序に降伏した。


朱序は慕容永を更に追撃、上黨の白水にて二十日ほど対峙する。こうした戦線の停滞を聞いた翟遼てきりょうが洛陽の内城のひとつ金墉きんようを攻撃せんと目論んでいると聞き、すぐさま軍を引き返し、翟釗てきしょう石門せきもんにて攻撃。また趙蕃ちょうばんに翟遼を懷縣かいけんにて破らせた。に翟遼は夜陰に乗じ逃亡した。朱序は洛陽に引き返し駐屯、朱黨しゅとうに石門を守らせた。朱序はまた息子の朱略しゅりゃく洛城らくじょうを守らせ、趙蕃にその補佐をさせた。


朱序は洛陽より後退、襄陽じょうようを拠点とした。司馬道子はこの一連の煮え切らない戦果を前に、褒賞を下すことも処罰を下すこともなかった。




其後慕容永率眾向洛陽、序自河陰北濟、與永偽將王次等相遇、乃戰於沁水、次敗走、斬其支將勿支首。參軍趙睦・江夏相桓不才追永、破之于太行。永歸上黨。時楊楷聚眾數千、在湖陝、聞永敗、遣任子詣序乞降。序追永至上黨之白水、與永相持二旬。聞翟遼欲向金墉、乃還、遂攻翟釗於石門、遣參軍趙蕃破翟遼於懷縣、遼宵遁。序退次洛陽、留鷹揚將軍朱黨戍石門。序仍使子略督護洛城、趙蕃為助。序還襄陽。會稽王道子以序勝負相補、不加褒貶。


(晋書81-15)




まあ、冷静に考えればノータイム褒賞ですよねえ……朱序の戦略眼って、マジ戦略レベル。こんな名将が最前線抑えてたのってマジ奇跡。まぁ、きっちり戦場の霧に思いを致せば、そんな単純な話にはならないんでしょうけど。


ただ、これは言えそうです。淝水後の東晋が必要以上の蚕食を食らうことなく劉裕世代にまでバトンを渡せたのって、マジで奇跡なんだな、って。


やっべえ、やっぱおもしれえ晋末…もっともっと掘れるだけ掘りてえ…




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