桓伊4  名地方官

桓伊は事態に適した救済をしたので、万民は彼を頼った。任務にあること数年で、徴召されて護軍将軍を拝命し、右軍府の千人を自分に従わせ、軍府に配備した。在官で亡くなった。右将軍を贈り、散騎常侍を加え、諡して烈とした。


桓伊かんいは州にあること十年、よく国境付近の混乱を収め、大いに民情を集めた。桓沖かんちゅうが死亡すると、都督ととく江州こうしゅう荊州けいしゅう十郡じゅうぐん豫州よしゅう四郡よんぐん軍事ぐんじ江州刺史こうしゅうししとされ、將軍号はもとのまま、假節かせつが与えられた。桓伊が到鎮すると、前任地よりも外縁部の脅威が少ないと見て取り、任地内の綏撫を最優先事項とした。このため上疏し、現在江州が損耗し、連年税の納入が滞り続け、かつ政府の登記より漏れている五万六千世帯があるため、小縣を合併し、また諸郡で税として納入予定としていた米を免除し、州鎮を豫章よしょうに戻すべき、とした。孝武帝こうぶてい尋陽じんよう、即ちより前線に近い町を州鎮とするよう命じたが、それ以外はいずれも桓伊の願い出を受け入れた。


桓伊は任地の民を適切にすくい上げたため、民は皆桓伊を大いに頼った。任地で職務に励むこと数年、建康に召喚を受け、護軍將軍ごぐんしょうぐんに任じられた。このとき右軍将軍府、すなわち桓伊の下で働いていた千人が自らの意思で桓伊に付き従ったため、そのまま護軍府に配置された。


桓伊は職位についたまま死亡した。右將軍うしょうぐん加散騎常侍かさんきじょうじが追贈され、れつと諡された。




伊在州十年、綏撫荒雜、甚得物情。桓沖卒、遷都督江州荊州十郡豫州四郡軍事・江州刺史、將軍如故、假節。伊到鎮、以邊境無虞、宜以寬卹為務、乃上疏以江州虛秏、加連歲不登、今餘戶有五萬六千、宜并合小縣、除諸郡逋米、移州還鎮豫章、詔令移州尋陽、其餘皆聽之。伊隨宜拯撫、百姓賴焉。在任累年、徵拜護軍將軍、以右軍府千人自隨、配護軍府。卒官。贈右將軍、加散騎常侍、諡曰烈。


(晋書81-4)




なんだこのカッコイイ人(なんだこのかっこいいひと)


風流な逸話を持ち、将軍としては大功をあげ、地方官として完璧な職務をこなし、しかも幕僚からは慕われる。なんですかこのパーフェクト超人? 謝安伝とかを振り返れば桓氏与党として幾分の警戒が向けられていたくさい印象もありますが、まぁこれ本人の伝じゃどこ吹く風ですよね。実際の本人がどうだったかはしりませんが。


そんな桓伊さまどエロイエピソード、もうちょっとだけ続くんじゃ。

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