晋書巻81 淝水前後の名将たち

桓伊1  淝水参戦将

桓伊かんい、字は叔夏しゅくか譙國しょうこく銍県ちつけんの人だ。桓温かんおんのやや遠い宗族であり、東晋とうしん立ち上げ頃に大いに武勲をあげた桓宣かんせんの甥に当たる。父は桓景かんけい。当世有数の才幹を備えていると言われ、侍中じちゅう丹楊尹たんよういん中領軍ちゅうりょうぐん護軍將軍ごぐんしょうぐん長社侯ちょうしゃこうとなった。


息子の桓伊には際立った武幹があり、あわせて道標足りうる聡明さ、飾り気のない性格をも備えていた。このため桓温全盛期においてナンバーワンのの名声高かった王濛おうもう劉惔りゅうたんからも見込まれており、様々な将軍たちの軍事に参与した末、大司馬だいしば桓温の參軍さんぐんにまでのぼりつめた。


その桓温が死亡した頃、苻堅ふけんが勢いを増しており、国境地帯への脅威が増大していた。そこで朝廷はこうした危険地帯を守るに足る人物として桓伊を抜擢、淮南太守わいなんたいしゅに任じた。その抜擢にふさわしい治績が上がったため、間もなくしてとく豫州之十二郡よしゅうのじゅうにぐん揚州之ようしゅうの江西五郡こうさいごぐん軍事ぐんじ建威將軍けんいしょうぐん歷陽太守れきようたいしゅと肩書が上乗せされた。淮南太守であることはもとのままだった。


苻堅が配下将の王鑒おうかん張蚝ちょうこうを派遣、攻め寄せてくると、桓伊は謝玄しゃげんとともに撃破。その功績から宣城縣子せんじょうけんしに封じられ、都督ととく豫州諸軍事よしゅうしょぐんじ西中郎將にしちゅうろうじょう豫州刺史よしゅうししに昇進した。


いよいよ苻堅が自ら攻め寄せてきたときには謝玄や謝琰しゃえんとともに迎撃に出、淝水ひすいにて大破。この功績から永脩縣侯えいしゅうけんこうに封じられ、右軍將軍うぐんしょうぐんに進み、百万銭や袍表、すなわち儀礼用の装束を編むための生地千端が下賜された。




桓伊,字叔夏、譙國銍人也。父景、有當世才幹、仕至侍中・丹楊尹・中領軍・護軍將軍・長社侯。

伊有武幹、標悟簡率、為王濛・劉惔所知、頻參諸府軍事、累遷大司馬參軍。時苻堅強盛、邊鄙多虞、朝議選能距捍疆埸者、乃授伊淮南太守。以綏御有方、進督豫州之十二郡揚州之江西五郡軍事・建威將軍・歷陽太守、淮南如故。與謝玄共破賊別將王鑒・張蚝等、以功封宣城縣子、又進都督豫州諸軍事・西中郎將・豫州刺史。及苻堅南寇、伊與冠軍將軍謝玄・輔國將軍謝琰俱破堅於肥水、以功封永脩縣侯、進號右軍將軍、賜錢百萬、袍表千端。


(晋書81-1)




東晋末切ってのエロい[[要検証]]名将、桓伊さんが登場です。この巻は淝水の前後から東晋末に至るまでの軍事情勢が語られるので、個人的には非常に重要。ぼくらの朱序しゅじょさんもこの巻だしね! ともあれ、一条目はあくまで桓伊の来歴。次話以降がエロい。とてもエロい。よろしく!

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