制2 李世民評下
書家として著名な人物としては、近年でも
病弱な
以上のように古今を詳察した上で、諸書を調べ尽くせば、善および美を尽くしたと言えるのは、
その運筆の巧みさ、構成の素晴らしさは、雲けぶり霞が掛かるかのように、途切れるかのように見えてまた連なり、鳳凰が羽ばたき龍がわだかまるかのような、傾いているかと思えばきっちりと型を外すこともない。その書を学ばんとすればいつまでも倦むことなく、眺めておればいつまでも見続けておることが叶う。心に慕い、手にて追わんと願いたいお方はただこのお方のみである。
その他の区々とした者など、どうして語るに値しようか!
子雲近出,擅名江表,然僅得成書,無丈夫之氣,行行若縈春蚓,字字如綰秋蛇;臥王濛於紙中,坐徐偃於筆下;雖禿千兔之翰,聚無一毫之筋,窮萬穀之皮,斂無半分之骨;以茲播美,非其濫名邪!此數子者,皆譽過其實。所以詳察古今,研精篆素,盡善盡美,其惟王逸少乎!觀其點曳之工,裁成之妙,煙霏露結,狀若斷而還連;鳳翥龍蟠,勢如斜而反直。翫之不覺為倦,覽之莫識其端,心慕手追,此人而已。其餘區區之類,何足論哉!
(晋書80-6)
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あまりにもわからなさすぎてもだえていたらsp様よりのご教示を頂戴でき、だいぶ霧が晴れてきたので修正しました。その前の七転八倒はこんな感じ。
http://liuyu.seesaa.net/article/499658833.html?1686349444
臥王濛於紙中,坐徐偃於筆下
『莫廷韓集』巻十五
http://qsshc.mond.jp/cpoem/shulun/bichen.html
には以下の通りの解説があるのですが、そもそも解説を読めません。
が、sp様より頂戴した解説を踏まえると「王羲之のような大家に少しでも近付きたいのであれば、心を澄みわたらせ、李世民の言う臥王濛於紙端,坐徐偃於筆下、すなわち優れた先人の筆跡を学びまねび、その精神を得た上で自ら自身の境地に向かっていくべし」としているようです。
凡書家下筆時,須澄神静慮,弗以一事闗心。既想字形,難易俯仰,右軍所謂意在筆前,然後快然落筆,不使凝滯,自能合作。至於平日摹習之功,不以寒暑少輟。毎得清晏,便置古帖墨跡,披玩游神,心手漸熟,姿態横生,所謂臥王濛於紙端,坐徐偃於筆下。法度既得,任吾心匠,適彼互合,時發新竒,無論求甘心眼,即古人何不可至?學者輕視之,則矜持太過,無心手操縱之竒,無惑乎其不逮前哲也。
魏晋南北ブログ様より伺った調査の内容も踏まえて考えると、どうにも李世民が用いている臥王濛於紙中,坐徐偃於筆下と、莫廷韓集のそれは用いられ方にニュアンスの断絶が存在していそうです。李世民は「文字の形容を人物で行う」のに対し、後世の人間は王濛と徐偃の筆をまずきっちり修めようぜ、と語っていそう。なお後世では「徐偃筆」で柔らかい穂先の筆のことを指すようになったのだとか。
吉川忠夫「王羲之」33ページにこの論賛の訳があるんですが、前半はまるまるカットされています。あと成田健太郎『『太平御覧』「書」訳注稿』においても「なんでここに王濛や徐偃が挙っているのかわからない」と書かれており、もう手も足も出ません。
https://sucra.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=18369&item_no=1&attribute_id=24&file_no=1
西林昭一「王羲之父子に対する書の優劣論-唐太宗と六朝期の書論から」にこの部分に関する解説があると聞き、なんとか入手したいとは思っているのですがめどが立たず。
なお『筑摩世界文学大系72』では臥王濛於紙中~について〈王濛が紙の中に臥し、徐偃が筆の下に坐っているかのごとく、奇怪きわまる字体〉とし、王濛には〈未詳。東晋の王濛とは別人らしい。徐偃の対であるところからすれば、彼も不具者なのかもしれぬ。〉、徐偃には〈徐の偃王のこと。周の人。仁愛の政治を行なったことで知られる。彼の肉体は筋だけで骨のないか○わであったという。〉、との情報があるそうです。こちらの情報も sp 様より。ありがとうございます!
なんとなく見えてきたような、うまく見出しきれないようなな感じですが、引き続き折を見てこの表現への理解度を高めていきたいものです。
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