道子元顕9  王恭討伐 上

王国宝おうこくほう失脚及び処刑が採用されたことで、王恭おうきょうの影響力が高まってしまう。司馬道子は王恭による攻撃が現実味を帯びてき、自らの周囲を守るため親族の司馬尚之しばしょうしを引き入れて腹心とした。


司馬尚之が司馬道子に言う。

「籓伯の王恭は威勢がいよいよ高まり、対する宰相のあなたさまの県には軽くなっております。密かに根回しを行い、貴方様の封地を中心に自衛措置を取るのがよろしいでしょう」


司馬道子がそのアドバイスに従うと、副官の王愉おうゆ江州こうしゅう刺史に任じ、王恭に備えた。あわせて,司馬尚之らと日夜謀議を重ね、王恭周辺の隙を伺い始めた。


王恭サイドでもこの動きを察知、そこで王恭は再び挙兵する。名目は司馬尚之の討伐である。この挙兵には荊州けいしゅう刺史の殷仲堪いんちゅうかん豫州よしゅう刺史の庾楷ゆかい廣州こうしゅう刺史の桓玄かんげんが呼応した。


司馬道子は庾楷に説得の使者を飛ばす。


「そなたとの交友は、いわば斷金と呼ぶべきであった。屋敷にて盃を交わし、手を携えんと誓いあったこと、どうして忘れられようか!

だのにそなたは今、古き交わりを捨て、新たな同盟にすり寄っておる。どうしてそなたは、王恭に恥をかかされた恨みも忘れ、やつにその身を委ねなどするのだ。やつがひとたび我らを倒してでもみよ、そなたは従犯定まらぬものとして信用なぞされるまいし、ましてや貴族としての立場なぞ到底保てまい! 奴らのもとで栄達なぞできはすまい! 我らの敗北は、またそなたにも災いを及ぼすのだぞ!」




于時王恭威振內外,道子甚懼,復引譙王尚之以為腹心。尚之說道子曰:「籓伯強盛,宰相權輕,宜密樹置,以自籓衛。」道子深以為然,乃以其司馬王愉為江州刺史以備恭,與尚之等日夜謀議,以伺四方之隙。王恭知之,復舉兵,以討尚之為名。荊州刺史殷仲堪、豫州刺史庾楷、廣州刺史桓玄並應之。道子使人說楷曰:「本情相與,可謂斷金。往年帳中之飲,結帶之言,寧可忘邪!卿今棄舊交,結新援,忘王恭疇昔陵侮之恥乎,若乃欲委體而臣之。若恭得志,以卿為反覆之人,必不相信,何富貴可保,禍敗亦旋及矣!」


(晋書64-13)




断金wwwwwwww

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