司馬尚之2 芻蕘の言
「張法順は使いっ走りの小者に過ぎぬ。いったいどのような才覚がある者としていきなりの抜擢をなしたのだ。陛下のお統べになるこの御代に、そのような無法がまかり通ると思っておるのか」
司馬元顕が黙り込むと、更に言う。
「宗室は多かりしといえども、諫めの言葉を奉る者は少ない。王者は臣下の諫言を広く受け入れよと言うが、まして
そう言うと、張法順を叱咤し、席から下らせた。宴席はすっかり冷え上がったが、司馬尚之は平然と歓談に興じる。この件があって司馬元顕は司馬尚之を深く恨むようになった。
のちに
「西府軍は胡族蛮族に接しており、外部よりの侵略も常ならぬ。だのに兵力は数千に留まり、到底防衛には間に合わぬ。そのようなところの兵を分けるものではない」
司馬元顯はこの発言に激怒したが、
元顯寵倖張法順,每宴會,坐起無別。尚之入朝,正色謂元顯曰:「張法順驅走小人,有何才異,而暴被拔擢。當今聖世,不宜如此。」元顯默然。尚之又曰:「宗室雖多,匡諫者少,王者尚納芻蕘之言,況下官與使君骨肉不遠,蒙眷累世,何可坐視得失而不盡言。」因叱法順令下。舉坐失色,尚之言笑自若,元顯深銜之。後符下西府,令出勇力二千人。尚之不與,曰:「西籓濱接荒餘,寇虜無常,兵止數千,不足戍衛,無復可分徹者。」元顯尤怒,會欲伐桓玄,故無他。
(晋書37-4)
司馬元顕に対して堂々と意見を貫くのは素晴らしいですね。ということは司馬道子に対しても諫言のたぐいを多くなしたのかなあ。ここの発言を見る限りだとそんな印象にもなりますが、どうなんでしょう。記録の残り方がどうしても虫食い状態なのがしんどいです。
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