98.5 (第三者視点・ミリア)ミリアの気持ち

 無事で帰ってこいよラック。

 これは私がついて行ったら試練にならないからな。

 私がついて行けば、ラックの事だ、手を抜いて戦闘は私がメインになるだろう、そうするとラックの実力が出ないままに終わる。


 あれほど強い人間がいまだ冒険者ごっごをしていいはずがない。

 …………ちょっと、性格が暗いし、優柔不断だし、空気読めないし、自分はスケベじゃないですよーと空気だしながら見る所は見てる性格であるが、上を目指せば英雄になれるだろう。


 なんせラックの補助魔法に関しては私のような人間ではかけられた場合限界があるが、ラック自身に掛けた時に限界が見えない。



 地底竜を倒した。それぐらいであれば第一、第二騎士団が集まれば倒せるだろう。ラックには今後アークドラゴン級の敵をソロで倒してもらいたい。そうすればあの、内気な性格も少しは治るだろうし。


 本当ならリバーも置いていってもらいたい。と思ったけどリバーはラックから離れないだろうし。もう少し主人離れを……いや、リバーには私の命を助けてくれた恩もあるから口うるさくは言いたくない。


 ザック様だって空気をよんでラックに手柄を譲るはず。……たぶん。



 私は窓の外を見る。

 宮殿からみえた砂漠の国は見ていて空きはしない。



「よかったミリアさん、と……よくわからん客人はここにいたのか」



 振り返るとパトラ親衛隊のアルトといった名前の青年が私とナイをみている。



「ここも何も部屋からは一歩もでてない、そのほうがお互いの問題にならないでしょ?」

「流石は瞬足のミリア。政治面でも配慮が素晴らしい。と言った所だな……じゃなくて! 内密な話があるんだ」



 アルトは私を見ては周りをひたすらに確認している、それほど重要な話なんだろう。



「パトラ女王に言えないような話?」



 アルトは直ぐに頷いた。

 私としては政治問題にあまり口を出したくはない。

 私達より上の世代にいた騎士団隊長がよその国で適当な約束をして処刑された話だってある。



「ナイだったら安心して口は堅い」

「そりゃ助かる。いやぁ……そのパトラ女王が行方不明で……」

「はっ!?」

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