98 どうするのよ!? と責められて苦渋の決断
どうするのよ! とサーリアに責められて何も言い返せない僕がいる。色々考えた末に僕は一つ提案をする。
「帰ろう!」
「ぜええええったああああいいに! 嫌」
サーリアに即答で却下される。
僕だって考えたんだよ。だって僕としては戦闘要員の前衛3人、グィン。ツヴァイ。ザックさん。この3人が動けないいまクエストを完了する事が出来ないからだ。
残ったのは後衛のサーリアと僕。
後はもはやパーティーに必要なのか謎なメイドと言う始末。
…………もしかしたらリバーなら何とかするかもしれない。
ちらっとみると、何でしょう? というような顔で僕を見てくる、うん。だめだ。
いくらリバーが強いかもしれなくても僕より小さい子を戦いにもっていく事は出来ない。
さらに巨大サンドワームだってアレを倒すには本当一級の冒険者じゃないと無理だよ。
リバーが大きくてを上げて発言をしたそうにしているのが見えた。
「リバーどうぞ」
「はいはいリバーです。あのラック様が決めたなら帰るのは従いますけど、パトラ様からの依頼が完了できなくなりますよ?」
う……それを言われると僕も困る。
「ほら見なさい! ラックだって困るんでしょ? 私達のパーティーだって失敗したらランク下がるし。まだお宝だってもらってないわ、ここで帰ったら赤字よ赤字」
「それもわかるけど、命あっての事だし」
「命あっても無一文で生活出来るわけないわよね?」
「それはそうなんだけど……くっしょん」
鼻がむずむずして僕はくしゃみをした。
風邪ではなく本当にむずむずして、変な匂いがしたからだ。
匂いの元をたどると片羽のツヴァイが立ち上がっている。
「ラック殿はここにいればいいでござる。拙者が行くでござるよ」
「「えっ!?」」
僕とサーリアの驚きが重なると、ツヴァイは剣を持って休憩所から出ていく。
「ちょ! ツヴァイ。待ちなさいっそんな怪我でっ!」
「そうだよ。そうだ! ツヴァイにも僕の補助魔法を」
「……断るでござるよ? グィン殿が動けないでござるしの」
二人の絆は凄い強い。
だって僕やサーリアがパーティーに加入前から二人で組んでいたからだ。グィンが前にいってそれをツヴァイが補助する。
その連係は凄くて僕はいつも背中を見ていた。
「じゃなくて! その傷じゃ無理だよ。今にも倒れそうだし」
「私のヒールでも止血は出来ても体力までは無理よ。休みなさい」
「クエストを達成できないと……グィンが困るでござるしな」
そのグィンは今ザックさんと壁の近くに寝かされていて、体をビクンビクンと動かして唸り声を上げている。
「心配ご無用でござるよ」
そう静かに喋るとゆっくりと歩き出す。
かっこいい……その姿にサーリアも言葉を失って……じゃなくて。
「ああああもう! わかった。僕がいくよ!」
正直戦いたくない。
だって一歩間違えたら死ぬよアレ。
でもこんな傷だらけのツヴァイがサンドワームを倒そうとしてるのに僕が動かないわけにいかないし……。
「断るで――――んんんん!!」
「そ、じゃラック頑張って来てね! ばか、ツヴァイ断るんじゃないわよ。ラックがやっと本気を出すのよ?」
サーリアがツヴァイのクチバシを強引につかんで話を止めた。
あの、僕は何時も本気だよ?
「ラック殿の本気など、いくら強くなっても心が死んでいるでござるよ」
「そうですよね。ラック様は精神がへなちょこです。残念ですねせ♪」
酷い。
味方と思ったリバーでさえこの仕打ちだ。
「そのクエストを成功させたいのは僕も同じで」
「…………また、私達のクエストを横取りするき?」
「別に横取りするわけじゃ……」
「だってラックが倒したらラックの手柄になるじゃない。私達のパーティーは見事クエスト失敗。ランクも下がるし悪評もつく、食べていくお金もなくて、私は街路に立って生活費を稼ぐのね……わかったわラック。頑張ってね」
サーリアはツヴァイを引っ張って地面へと倒れる。倒れるままにされたツヴァイにヒールをかけて、サーリアは顔を伏せて涙声だ。
「え、いや……そういうつもりでは……わかった! 僕が頑張るのはそのままで! その、上手く倒したら手柄は譲るし。そのサンドワームさえ倒されていれば僕はいいわけだし」
「嘘よ……宝もどうせラック達が持っていくんでしょ?」
宝か。
正直あまり興味はない。もちろんお金に興味はないわけじゃなくあれば嬉しいし生活も出来るけど、僕の最終目的は自給自足。
「それももちろん譲るよ!」
サーリアは顔を伏せたまま僕に紙を見せてくる、なんだろ?
受け取るとサーリアが下を向いたまま鼻がつまったような鳴き声で話しかけてる。
「署名」
「ええ…………」
僕がちょっと引き始めると、顔を上げて僕を睨んでくる。
「ツヴァイ! 私が後ろからヒールかけまくるから、いくわよ!」
「とうぜんでござる」
ツヴァイを無理やり立たせるので僕は慌てて署名して約束をした。
この戦いで得た富と名声は譲ります。という署名だ。
「ラック様って馬鹿なんですよね、それが良い所でもあるんですけど」
「う、その……リバー何かごめん」
「ラック様のメイドなので問題なしです、ポーションをお渡しします♪」
虹色の液体のポーションを貰った。僕が知っているポーションは青色で虹色は見た事もないしポーションじゃないようなきがする。
「ポーション……?」
「はい、ポーションですよ?」
「……ありがとう。じゃぁリバーはここで待っていて」
「えええええええええ! ラック様お一人で!」
「いやまぁうん。危ないだろうし……一応僕はほら補助魔法かけるし」
サーリアを見ると、笑顔なんだけど、さっさと行きなさいよ。と、僕に突っ込んでくる。
「……まぁラック様の実力なら大丈夫でしょう。それでも一応起きおつけて」
「よかったわねラック。かわいらしいメイドさんからの応援貰って」
何で僕はサーリアに怒られているんだろう……。
「とりあえずマナオールアップ。マナ――」
補助魔法を5回ほど。いや念のため10回ほどとなえた。体中が熱くなり世界が赤くそれでいてゆっくり動く。
3人の驚く顔をゆっくりと見まわし僕は動く、先ほどの場所まで動くと地面に大穴が三つほど空いている。補助魔法の確認をして僕はその穴へ顔を覗き込むと、サンドワームの大きな顔と目があった。
うーん、気持ち悪い。
穴の中からサンドワームの頭が飛び出してくる。僕はその頭を魔剣で斬っていく。
斬ったサンドワームが奇声を上げて体液をばら撒いていく。
「次!」
僕が叫ぶと別の穴からサンドワームの頭が飛び出て来た。急いでその頭を切り落とす。
着地とともにその頭を切り落とすとさらに別の穴から……途中で補助魔法をかけなおしながら僕はひたすらにサンドワーム退治する事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます