084.5 (第三者視点・ミリア)騎士団の裏事情

 城の一角、普段は使われていない部屋。

 そこで私は簡単な書類を書いていた、途中で部屋にノックの音が聞こえ、書いている文字を途中で止めた。

 扉が勝手に開くと青髪のユーリーが私を見つけて笑顔を見せて来た。


 直ぐに真面目な顔になり敬礼をしだす。



「第七部隊副隊長ユーリー、第八部隊ミリア副隊長殿に書類をお持ちしました!」



 私は少し呆気に取られて、椅子から立ち上がる。



「仮第八部隊副隊長ミリア、ご足労ありがとうございます」



 私も敬礼で返し書類を受け取った。



「ぷっ」

「ふふはっは」



 私もユーリーもお互いの顔を見ては笑い出す。

 ユーリーは真面目な態度から背伸びをして両手で顔を叩き始めた。気合の入れ直しだ。



「ミリア。書類の一式は終わったよ。これで彼が精霊の涙を持ってくれば入隊を飛ばして騎士団長よ」

「ありがとうユーリー」



 先ほどとは違い、友人としての喋り方。

 私も喋り方を普通に戻す。



「気にするな、私もミリアが騎士団に戻って来てくれて嬉しいし。問題は第七部隊の隊長じゃないって事が不満だけどーセシリアなんて第七部隊の隊長やめて第八部隊にはいるーー! って騒ぐぐらいだし」

「セシリアらしいといえば……」




 手続きの書類をもらいユーリーに礼を言う。

 ユーリーは近くの椅子に座ると黙って私を見ていた。



「ユーリー、私に何か用があるのか?」

「本当に彼を第八部隊の騎士団隊長にする気なの? 周りの反感も凄いと思うけど」



 ユーリーは椅子の上で足を組み始めた。

 その目線の先にはラックの魔剣が立てかけてある。魔剣といってお短剣で単純に忘れていっただけで一応私が預かっている形。



「実は私よりもスタン第二王子のほうが熱心でね」

「へぇ……第七部隊に続くスタン第二王子の私兵って所かしら。でもぶっちゃけミリアも彼も王に忠誠尽くしてないわよね?」

「………………ユーリー。変な事はここでは言わない事」

「はいはい。でも……順番が無茶苦茶よね」

「まったくだ。私だって第八部隊の初任務がアレとは思わなかった。サーキュアーとの和平交渉、これが失敗したら民が血を流す。私達兵は別にいい、それが仕事だもの。でも」




 亜人の国サーキュアー。本当は国じゃないけど帝国の一部の自治領と言った方がいいだろう。人とは違う亜人達が勝手に作った街であり国。現在その国は私がいまいる王国によって攻めらる。



「彼ならそれを止めれる? と」



 私は黙って首を振る。



「ユーリー……私は神様じゃないしそこまでわからない」

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