077 Missionコンプリート(通算100話目)
「そんな顔をするな……その、気持ちよかったんだろ?」
「痛いだけでした」
ダンジョン内で野営をしたき火を見たまま僕はそう答えた。
「ラック様、沢山でましたものね」
「…………リバーその、変な風に聞こえるから……血を抜いた。ってちゃんとね」
「リバーよくわかりません。何が変なふうなんでしょうか?」
うあああ。
やっぱり、やっぱりこうなるよね。
「ごほん」
「っと、ミリア様に怒られました。ラック様の血を抜いて確かめたと所、魔力が膨大にふくまれていますが、一応人間の血でした」
「一応って……」
「それで吸われなかったのか……ラックこれを見てみろ」
ミリアさんは剣を鞘からだしてみせてくれると刀身がなかった。
「これも魔法剣。奴の魔力食いに堪えられなく一撃で折れた。もう少し強かったら倒せなかっただろう」
「そんなにですか……」
「ああ、奇襲が成功しなければ私が骨になりこのダンジョンで踊っていたかもな」
そんな悪い魔物には見えなかったけど、ミリアさんがいうならそうなんだろう。
「さて、色々と問題が起きる前にこの場所を離れよう」
うん、早くグィンを助けないといけないし。
「ってミリアさん! リバー! グィンがザックさんの弟って!?」
「ミリア様! その話はリバーはパスします!」
リバーが手をあげてミリアさんに話をパスした。
ミリアさんは、なぜ私が……仕方がない。と、いうと僕に話しかけてくる。
「ラック、そういう事は本人に聞くべきだ」
「え。いや、それはそうなんですけど。皆が僕に隠していたというか」
「いいかラック!」
ミリアさんの語尾が強くなる。
あれ? 何で僕怒られているんだろう。
「は、はい」
「友人を助けるのに身分はいると思うか?」
「いえ……」
たとえその人が周りから悪く言われても友人なら助けたい。
「だろう、だから誰の弟とかそういう話は全く関係ないな」
「そ、そうですよね。アレ?」
何か納得いかないようなきもするけど、ミリアさんのいう事は間違えてない。
「と、いう事だ。それに本人が言わないのに私達が言ってもしょうがないだろ? もしかしたら言いたくないかもしれないし。今回はうっかりリバーが口を滑らしただけで聞かなかった事にしたほうが良いと思わないか?」
「リバーのうっかりさんでしたー」
「いやまぁ……はい」
何となくだけど、言い負かされたような。でもミリアさんのいう事もそうだろうし……。
よし! 忘れよう、それが一番よさそうだ。
「納得したのであれば戻ろうか」
「ミリアさん。その風呂敷僕が背負いますよ。万が一があっても怖いので」
「そうか? では頼む。長いは不要だ行くとしよう」
ミリアさんから貰った風呂敷を背負う。風呂敷の中でスケルトン君の残骸がカタカタと鳴っているのが聞こえる。死んでるよねこれ? いや骨だから死んではいるんだろうけど……。
ごめんねスケルトン君、僕達を恨まないで欲しい。君が魔物で僕が人間だったのがいけないんだ。
「セシリアにナイ。私はもう戦えそうにない、帰り道を頼む」
ミリアさんは武器が無い事をアピールすると、セシリアさんがふんすふんす、と鼻息を荒くする。
どうみても本当12才ぐらいにしかみえない。これでいで僕と年齢が近いらしいし。
「このせっちゃんにおまかせなのだ!」
「ん…………命……レイ」
火を消して僕らはダンジョンを出るために進む。
途中で魔物が出るけど二人にかかればあっという間に倒していくので非常に楽だ。
「このダンジョンってお宝とかないんですかね?」
「どうだろうな。不死のダンジョンと言われていて地下の奥には研究所がある。という噂はあった。その前に不死の魔物が多くてな……あのスケルトンだって地下の奥部には数十体はいる、宝が欲しいのか?」
「量産型スケルトン君……あっいえ、皆さんに何か得があればよかったのにって思いまして」
「…………気にするな」
ありがとうございます。と僕はミリアさんに答えて風呂敷を背負いなおした。
それにしても独りぼっちかと思っていたら僕と違ってちゃんと仲間がいたんだね。あ、でもはぐれていたって事は追放されたのかもしれない。
絶対にいい武器になってもらおう、僕に出来る事はそれぐらいだ。
「しかし、思ったよりも順調で済んだ」
「あの、穴に落ちたんですけど……」
「結果的に順調で済んだ」
ミリアさんが言いなおす。
でも、材料が手に入ったのは嬉しい。とても難しい物と聞いてたしコソコソと骨の欠片を集めるより早かった。
「ミリアたいちょーせっちゃん暴れたりない……」
「あとでナイにでも遊んでもらって……前から5体。目玉型と狼型の魔物」
「はーい!」「…………ん」
ミリアさんが指示を飛ばす前に二人は動いて倒していく。
傷を負ってもリバーがすぐにポーションを二人に渡して飲んでいく。
「まさに鬼神でしたっけ、物語にでてくるアレみたいですね」
「おいおいラック、セシリアもナイも女の子だ、その鬼神という表現はよくないな」
「なるほど」
ええっと……次に浮かんだのはゴリラだ。
さすがに二人に向かってゴリラみたいですね。とは言えない。
ちらっとミリアさんの顔をみた。
あ、似てる。
もちろん顔とかではなく、ゴリラは見た目は怖い者の、優しい動物だ。知識もあり無駄な争いも好まない。
ミリアさんそっくりだ!
「ごほん。また変な事考えていないだろうな?」
「っ! まったく! ええっと皆さんがゴ……ごくりと息を飲むような強さだなって……」
「そうか、間違えても私達をゴリラ。とか言うのであればゴリラらしく往復ビンタでもしようかと思っていたよ」
怖い。
危なく口にだしそうだった。
「さて……前の3人、次の広場で休憩」
「えっもうですか!?」
「焦りは禁物だ、こういう時は帰りのほうが危ない」
なるほど。
前のパーティーでは急いで帰ってアイテムを売り払い自由時間だったからそういう物かと思っていた。
ダンジョン内で一泊した後に僕らは外にでた。
繋いでいた馬車まで戻るとやっと落ち着いたようなきがする、だって寝ている間にも魔物が襲ってきて緊張の連続だったから。
ソロで挑んだら確実に死ぬよこれ。
いきと同じく馬車に乗り込み、秘密の抜け道を1日半進みやっと街道に出でた。
ここまで来るともう安心だ。
ミリアさんが御者をするとホロ付きの荷台の中では全員ぐっすり昼寝タイムだ。欠伸をしながら目を開けるとリバーが両手を広げて僕を誘っている。
あれは起きてるよね、いつもの事なのでもう慣れて来た。
セシリアさんはお腹を出してポリポリとかいているので毛布をかけてあげる。ナイは角を外していて隅の方で本を読んでいた。
僕に気づくと、横にクッションを置いてポンポンとこっちに来る? と合図してくるが僕が首を振ると、本へと視線を戻していく。
平和だなぁ……。
やっぱり御者はミリアさんが一番だ。
セシリアさんが御者をするとスピードがおかしい、何かに捕まってないと落ちそうになるし、ミリアさんの怒号も飛ぶ。
後はドラさんに渡して短剣を作ってもらって。うあ。ジャックさん率いる第六部隊に場所いってすり替えないといけないのか。
これ……全部終わった時にはもうグィン腐っているんじゃ?
どうしよう、その時は逃げたほうがいいかもしれない。
でもなぁ、うーんサーリアの事思うとやっぱ逃げれないよね……。
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