076 サヨナラ僕のともだちスケルトン君……
文字は読めるのだろうか?
僕の喋っている事は理解しているらしく青白い発光した骨を持つ特殊スケルトン。
勝手にスケルトン君と呼ぶ事にするけど、今は地面にしゃがみ折れた剣を使ってぐりぐりと線を書いていじけてるように見える。
こまったなぁ……なんとか腕1本は譲ってもらいたい。
「そ、その僕に聞かなかったのは想定外として元気だして」
「カッカ……カー」
ちらっと僕を見てはまた地面をいじりだした。
速さは凄いけど、力は弱いみたい。骨だからかな?
「ええっとほら、僕以外には強いんだからそんなにいじけなくても。大事な話があるんだけど……その怪我とかしたら交換っするのかな? もしそうなら交換した後の部品? をもらい受けたいんだけど……」
「カッ」
スケルトン君は首を振った。
指先の骨をみせてくれて逆関節に折ってくれるパキっと折れた後に骨は修復された。
その際に小さい破片が地面へと落ちる。
小指の爪程度の骨の欠片でこれを拾い集めるとなると、およそ100回は骨を折ってほしいかな。
「残り99回か……」
「!?」
スケルトン君が僕をみると歯の部分をカタカタと鳴らして距離を取った。怖がらせてしまったかもしれない。
「いや、僕も99回折って欲しいとか思ってないからね……。
こっちの勝手な言い分かもしれないけど、縄張りに入ったのは僕達で迷惑してるかもしれないし。
その無理に争う事はないかなーって……ほら、たぶんだけどスケルトン君はその生命力を吸う魔物なんだよね? でも、なぜか僕には効かない」
スケルトン君は大きく頭を上下に動かしてきた。
よし、友好的な関係になれそうだ。
「だから腕の1本ほしいんだけど」
全力で首を横に振られた。
だめか……これでもかなり譲与したんだけど、99回骨を折るよりよっぽどいいとは思うんだけど。
こまったなぁ。
スケルトン君が大きく骨を鳴らした。
僕が見ていると目の中の空洞が青から赤にかわった、戦闘モード!?
壊れた剣を握りなおして僕と戦うらしい。
まいったな。
冒険者ランクがAになっても書類上Aなだけで実力はDのまま。マナアームアップ1回だけじゃ攻撃は簡単に防がれる。
青白い骨に腕や足を掴まれて僕は暴れる、幸い力負けはしないらしく骨は散らばるけど、すぐに元通りに戻っていく。
「ええ……インチキだよ」
「カッカッカッカッカ」
うわ。スケルトン君は凄い嬉しそう。
僕の方はちっとも嬉しくない。
「ラアアアアック!」
!?
「骨が喋った。もしかしてこの骨の中にミリアさんが!?」
「なわけあるかっ! 上だ。そっちにロープを垂らす捕まれ!」
天井をみると確かにミリアさんの顔が見えてロープが垂れ下がってくる。
「絶対に捕まるな! 魔力を吸い取られ…………ラアアアックウウウ!」
上で滅茶苦茶に叫んでる。いやうん、さっきから僕は触られまくっているからね。頭や顔、腕や足を触られている。
「ラック様ー! 早くロープを」
「あっリバー!」
ロープに手をかけしっかりと掴む。
掴んだまま僕は黙って待っていた。
「ラック! 早く登ってこい!」
上でミリアさんが怒鳴ってくるけど、普通の人はロープ登れないからね? コブ付きでもないし握力だけで登らないといけない。それが出来るならもう少し重い剣を軽々ふるまわしてるよ。
さっきかけたアームマナアップの効果も薄れて来てるし……いや、ミリアさんまだ怒鳴ってるよ。
仕方がない。
右手を前にしてロープをしっかりと掴む。
その上に左手を乗せて足はロープに絡ませた、次に最初の右手を上にして、僕はロープから滑り落ちる。
「うああああああ!」
持っている魔法剣を振り回して迫ってくるスケルトン君をはらいのける。スケルトン君は頭意外ばらばらばになるとゆっくりとも度通りになっていく。
「ミリアさん! 登れませんーーー!!」
「…………引き上げる! 掴んでろ!!」
うん。それが一番いい。
最初からそうして欲しい。
僕はロープにつかむとゆっくりと視界が上がっていく。
「ラック! 下だ!」
「はい?」
下を見ると、余ったロープにスケルトン君がしっかりと手を握って一緒に釣りあげられていく。
「ええっと……一緒に来るの?」
「カッカ」
首が縦に振られる。
さすがに不味い、僕は平気としてもミリアさんなどは駄目だろうし、上を見るとミリアさんの顔が無表情になった。
あっこれ何かするつもりだ。
ミリアさんは天上の穴から飛び降りた。
自由落下といやつで僕の横を通り過ぎて、その下に捕まっているスケルトン君の頭へ剣をブチあてた。
骨の折れる嫌な音とともに頭の無くなったスケルトン君はバラバラになって下に落ちていく。ミリアさんはその破片をさけるように着地すると剣を捨てて僕を見上げて来た。
「ラックはそのまま上へ。セシリア、もう一度ロープを頼む。リバー風呂敷を投げてくれ」
的確に短い指示を飛ばしながら周りを確認しだしてる。
僕が引き上げられる前に重りをつけた風呂敷が下へと落ちていった。
穴のてっぺんまでくると、リバーといつの間にか合流していたナイ。セシリアさんが僕の顔を見てほっとしているのが感じられた。
うーん心配かけたかもしれない。
「ええっと、ごめん」
「べっつにーせっちゃんは、たいちょーと一緒ならきにしないよー」
「ラック様ご無事で何よりです、もう少しで魔水晶によるお墓の見積もりを出す所でした」
「…………ん」
穴から這い上がり下をみる。
すぐにミリアさんがもう一つのロープで上がって来た。
穴からはい出てくると多分スケルトン君の骨を包んだ風呂敷を地面にへと置く。そして僕を見た後にリバーを見た。
「無事でよかった……さっそくだが。リバー」
「しょうがないですね。ラック様ちょっと縛ります」
「はい?」
ナイに背中から両手を押さえられた。
魔族というのに女性の匂いでちょっとドキっとする。じゃなくて! 両手を後ろに固定されて縛られた。
次に足を縛られて芋虫状態になる。
「な、なんですか!」
「ラック……君が本当のラックだったらその問題はないのだが」
「え。偽物の僕がいるんですか!?」
「はーいラック様。リバーが説明しますね」
嬉しそうなリバーは手をぐーぱーしながら話しかけて来た。いやな予感しかない。
「人間かどうかはちょっと出してくれればすぐにわかりますから」
「何を!!」
「メイドの口からいえません♪」
もうそれ殆どいってるよね!?
「ミ、ミリアさん!? た。たすけ!」
「その、ラックがなぜあの魔食いのスケルトンに触られても大丈夫だったのかは今は置いておいて、魔物の中には死者に化ける魔物や死者じゃなくても普通に化ける魔族もいる。
あの穴に落ちてはぐれた以上、ラックが本物のラックである確認がいるんだ」
「いや、だから僕は本物ですって!」
ミリアさんは僕から支線を外し横を向く。
「そ、その見られるもの恥ずかしいだろう? 私はそっちの影にいっていよう。セシリアいくぞ」
「はーい」
二人は僕から見えない岩陰へと歩いていった。
リバーが僕に近づいてきた、逃げたくてもナイががっしりと背後から僕の体を捕まえている。
「大丈夫ですラック様、優しくしますから」
「ま、まって! あっちょっと!」
「大丈夫、メイドですからノーカンですよ。ぴゅっぴゅっと出しちゃいましょうねぇ、ノイ様押さえておいてください」
「………………ん」
いや本当にまって!
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