053 飼えないなら元の場所に置いてきなさい!
女の子が好きだ。
それは僕が男だから当然の事なんだけど、それを無意識で態度で示すとサーリアが怒った。
私がいるのになんで女の子に目が行くのよ。と……うん、そうだね。サーリアがいればいいよ。
でも、目がそっちに行くのはしょうがないじゃない……と十年以上一緒に行動していた結果が今の僕だ。
死ぬ前にせめて女の子に囲まれたかった。
一瞬だけミリアさんが思い浮かんだけど、ミリアさんはもう女の子ではなく、大人の女性。その強さは憧れるけどちょっと恋人にするには怖い。
もっとこう……胸はそこそこ大きな。
可愛くて、年齢は同じぐらいがいいな。できれば出身地も同じのほうがいい。
いや、それはもう無理だから近隣の村出身でもいい。
あと、そんなに強くなくてもいいかも守ってあげたくなるような女性。
そんな女性と出会いたい、真っ暗な闇の中、僕は手を前に出す。
暗闇でヒカルその先に大きな桃が二つあった。思わず揉むやわらかに。ここちよい柔らかさで僕は何度も揉んだ。
「ラック様大胆♪」
「え?」
目をあけたら闇が終わった。
リバーが目の前にいて、僕はリバーの大きな胸を揉んでいた。
「夢……だよね?」
だって、リバーの胸はこんなに大きくない。でも揉みごたえがあり、何度も揉んでしまう。
「ラック! 目が覚めたかっ!」
扉が開く音がすると、ミリアさんが部屋に入って来た。
と、いうかここは部屋か。
「………………元気なようだな。その、元気なのはいいが場所を選んだ方がいいな」
静かにいうと部屋の扉が閉まる。
「さぁリバー様。続きをしましょう!」
「いやいやいや…………え?」
リバーの胸がずれ落ちる。
えっ!?
メイド服のスカートしたから、リバーのおっぱいが二つ落ちた!!!
「ぴえん、落ちちゃいました、首都で大人気のバストアップアイテムですよ。素材はスライム液で出来てるんです」
「……そうなんだ……驚いて損したよ……」
リバーは僕に手渡してくれ、ほのかに暖かい。リバーが、じっと僕をみてくるけど流石にこの状況で揉めるわけはない。
「か、返すよ」
「要らないんですか?」
「いらないよ?」
部屋の中をあらためてみる。
豪華な部屋でここがリバーの別荘なのは間違いない。
「じゃなくて……と、いうか記憶がない……」
「はい、死んでましたし」
「……夢じゃなかったのか」
慌てて心臓の場所に手を置くと、鼓動が早いけど動いている。
両手はある、足もある。
服は前開きのガウンだ。誰が着せたかは今は考えない。
「そうだ! ミリアさんは!」
先ほど見たミリアさんは元気そうだった。
やっと現実に戻って来たのを感じた。
夢うつつで少しぼーっとしていたのかもしれない。
「ナイ様とラック様が手に入れた魔族の血。とてもとても上質な者でミリア様の中に入っている毒素を無事分解できた模様です。5日前からリハビリもしてます♪」
「よかった……」
え、五日前?
「あれ? あれから何日たったの!?」
「丁度10日です♪ 適当に材料まぜまぜしたので思ったよりも死んでました。ラック様が腐らなくてよかったです♪」
「良かったですって、いつもの冗談だよね?」
「もちろんです」
笑顔のリバーが冗談だ。と言ってくれるなら冗談と信じる。信じたい。
着替えるから、と言ってリバーも部屋から追い出す。
ガウンの下は下着すらつけていない。
また見られた…………わけか。
これでも羞恥心は無いわけじゃない。
男性に見られるのも嫌だけど、一緒に暮らしている女性に裸を見られるのも恥ずかしい。
うん。忘れよう。
こういう所だぞラック。仕方がないじゃないか死んでいたんだし。
布の服をつけて腰ベルトをする。
剣は壁に立てかけてあって……つけるか迷ってつけない。
本当は肌身離さずが一番なのはわかっているけど、そんな危険もないだろうし。
部屋から廊下へでると、壁際に誰かか立っていて思わず飛びのく。
「うわっ! ミ、ミリアさん!?」
「本当に元気になったようだな……」
ミリアさんは突然頭を下げた。
布の服の隙間から胸の谷間が見える。視線がそっちにいくけど慌てて壁を見る。
「ラック、本当にすまない。本来は年上である私がラックを立派な兵士に育てないといけないのに、こんな老兵のために、仮死状態になるとは……」
「え。いやミリアさんは老兵じゃないですし、別に僕は兵士になるつもりは……」
「そ、そうか。S級冒険者だったな……」
S級冒険者……そっちでもない。
そもそもランク的にはAで終わりだしSってあるの!? その冒険者のランクの数字も、そういえば謎過ぎる。
A・B・C・D・E……F と続いており。なんで1、2、3、じゃないんだろうと。あと記憶が確かならSは上から数えると19番目。とても弱いのでは?
「じゃぁラックは何になりたいんだ?」
「へ?」
考え事をしているとミリアさんがすでに立ち上がっていた。
その顔は僕の顔を不思議そうに見ている。
「それが自分でもさっぱりです……」
「そうなのか……」
「はい。何で生きているんでしょうね……」
分かっているんだ。
僕の夢である辺境暮らしは何も生まないって……でも、そういう生活があってもいいじゃないか。
「じゃぁやっぱり兵士にならないとなっ!」
「な、なんで!」
「年寄りであるまいし、いきなり老後のような生活を送っても仕方が無いだろう、そもそも、そういう生き方は若い時に苦労した人間が望むものだ」
そ、そうなんだろうか。
「それに、ラック。君にはリバーやナイを幸せにする義務があるからな」
「そうですよね。僕はともかくリバーやナイを……えっナイ?」
ミリアさんが廊下から吹き抜けである一階を指さす。
そこには長身のナイが大きなかごを持って歩いていた。籠の中には大きなリングなどの果物が入っていて僕を見ると立ち止まる。
「ナイ!?」
「………………ん……」
ナイが体を曲げて僕にお辞儀をすると、果物が全部落ちていく。それを拾う事なく進もうとするので、リバーが物凄い勢いで走って来ていた。
何か小さい声でナイに伝えるとナイは頷き、落ちた果物を食べ始めた。
…………なんで?
「相変わらず、ナイの行動はよくわからんな……」
「そうですね……じゃなくて。本当に何で!? あっええっと、ナイは頭に角がありますけど……」
魔族だって事を説明しないと。
もしかしたらミリアさんは亜人族と勘違いしてるだけで、魔族ってわかったとたんにナイが斬られるかもしれない。
「あのナイは亜人族に似てますけど……その亜人族です!」
僕が力強く言うと、ミリアさんは僕とナイを交互に見て喋りだす。
「……魔族だろ。あの角はあまりいないからな。誤魔化すとすれば羊型の亜人というぐらいだろうな」
「……あれ。分かるんですか?」
「逆に私がわからないと思ったのか? それと、ラックの指示じゃなかったのか。
私が目が覚めた時にはリバーと一緒にいたぞ。なんでもラック様には危害を加えないと思いますので。と」
「許可はしてないですけど……うーん。まぁリバーが大丈夫というのなら……」
「責任もって飼えるのであれば私は文句はない」
うん。
僕は両親というのがいなかったけど、やっぱりママだ。
クアッツルがミリアさんをママというのがわかって来た。
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