023.5 (第三者視点)元仲間達、サーリアのパーティー事情
「サーリア。回復を頼む」
グィンに呼ばれた私は杖を構えてハイ・ヒールを唱えた。
さっきの戦闘でつけられたグィンの切り傷が再生されていくのが見え安心する、どうも最近魔法の効きが悪いのよね。
ストレスなのかしら。
「最近美味しい物食べてないしなぁ……」
「悪かったな」
不機嫌なグィンの声が聞こえてくる。
「何?」
「いや、お前が美味しい物食べてない。と嫌味が聞こえて来たのでのでな」
「は?」
「そうだろ? こんなクソみたいなダンジョンでクソみたいな携帯食料を食べて進軍してるんだ。ああ、そうだ。全部俺が悪いだろうな!」
何言ってるのよ、この男は。
「別にグィンに言ったわけじゃないわよ。地底竜のウロコだっけ? 金になるから取りに行く。って言ったのはグィンだけど、賛成したのは私とツヴァイも同じよ」
「二人とも、争いはやめるでござるよ。確かに拙者も金は欲しいでござる」
「ちっ!」
グィンは舌打ちすると、傷が治った足でダンジョンの中を先に歩いていく。
「ちょっと、少しは謝ったらどうなのよ」
…………あー無視するわけ?
そもそもグィンが実家にいけば豪遊できるって言うから実家について来たのに、家族と仲悪すぎるでしょ!
結局俺は俺の持ち物を受け取るのに許可なんていらない。って理由で宝石貰ってきたっちゃけどさー。
そのお金は借金返済に消えたし。
グィンだって、隠していたけど娼館に多額の借金あったじゃない。バレないとおもっているのかしら。
「まったくあの馬鹿は。ツヴァイ、グィンの横についてサポートお願い。待ち伏せの魔物がいるかも気を付けて」
「わかったでござる」
ツヴァイは背中の大きな羽を広げてグィンの横に飛んでいく。
「ラック、あなたは死なない様に後ろで帰り道のかく…………ほ…………」
私は誰もいない空間に声をかけてため息をつく。
「まぁラックなんて、いないわよね。割と便利なキープ君だったけど、もう少し強くて出世できればねぇ。
ラックが強くなってお金でもくれれば1回ぐらいは許してあげようかしら。って、あの馬鹿二人なにしてるのよ! はぐれスライムじゃないのアレ!」
ああ、もう普通の攻撃じゃ弾かれてるし、逃げないと押しつぶされるわよ。
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