001.5 (第三者視点)とある冒険者と恋人と

「グィンどうしたの? ため息なんてついて」

「すまない、起こしたか?」



 一緒に寝ていたはずの裸のサーリアが俺の胸に手をついて聞いて来た。



 女性らしい体型で何度見てもその姿に見とれてしまう。



「怒ってくると思ったんだけどな」



 いくら馬鹿でもそこまで馬鹿じゃない奴だ。

 あの借金が仕組まれた奴ぐらいは判っただろうに。



「追放した男の話なんてもう飽きちゃった。彼、昔から努力は凄かったけど気弱かったし、まさか追放した私達が悪かったって言うの!?」

「そうだな悪くない。どの道あの実力じゃ足手まといだ。でもサーリア借金はだめだぞ、ツヴァイにも迷惑がかかる」

「ツヴァイなら平気よ、元から補助魔法なんて軟弱な魔法は嫌い。って言ってたし、それよりも。いまさらグィンだって補助魔法欲しいなんて思ってないわよね」



 それもそうだな、あくまでかけた人間の限界値に近づく魔法とラックから聞いたし、掛けてもらってももう違いすらわからん。


 やれやれ。


 俺は辛気臭い男の顔を忘れる事にしてサーリアに抱きついた。

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