【悪役令嬢、バイトする。】 🔵初心者用 3-4人用 ♀2 不問2

【悪役令嬢、バイトする。】






配信・録音自由。名前・性別・セリフの改変OK。

ただし、変えた状態で自作発言して配布するのはやめてください。

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初心者が読んで楽しむために作りました。

常識の範囲でご利用ください。


🔵初心者用 3-4人



■♀2


令嬢   ♀:お金持ちのご令嬢。ですわ系。

       唐揚げを家に持ち帰りたい。

       ゲーム『ロマンティカ学園物語』の

       王子の婚約者。いわゆる悪役令嬢。


客    ♀:なんにでもマヨをかける女子高生。

       乙女ゲーが趣味。

       同担拒否過激派なのでTwitterがいつも炎上している。



■不問2


山田    :急に現れた令嬢にビビりながら業務を教える。

       なんにでもマヨをかける奴を殺したい。




ナレーション:読まなくても問題ないです。



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●省略表記 


ナレーション→ナレ


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ナレ  :急に現代日本に転移してしまった悪役令嬢。

     見慣れぬビル群の中、ひとりでうろついていた所を

     コンビニバイトをしている山田に拾われた。

     仕事をしてお金を稼ぎ、山田にお返しをしようと

     コンビニを受けたら受かったらしい。



令嬢  :まあ。ドレスではダメですの?


山田  :駄目だよ。制服っていうのがあって。

     それでこの店の店員ってわかりやすくなるんです。

     本当は髪の毛も大人しくしてほしいんですが…いくら撫でつけても

     とんでもない強さで戻るので諦めました。

     ゴム渡すんで、後ろにまとめてくれますか?


令嬢  :……この世界では店の衣服をそろえる風習がありますの?


山田  :そっちにはないんですか?


令嬢  :使用人でしたら衣服は支給しますわ。

     庶民のお店はもちろん、商人が揃った服を着るなんて

     見たことがありません。

     成り上がりの商家はむしろ財産を誇示こじするために個性の塊のような

     華美かびな装飾で身を包むことが多いです。


山田  :うーん、じゃあ使用人。

     屋敷ごとに使用人の服が変わったりとかします?


令嬢  :…そうですわね。一定以上の高貴な家でしたらそうなりますわ。


山田  :この店はチェーンっていって大きなグループのお店で、

     同じ看板がいっぱいあるんだ。

     だから、そのブランドイメージを守るためにも制服を揃えて

     教育もしっかりしてるんだ。


令嬢  :まあまあ!そうですのね!でしたら、こちらのお店の上の方は

     相当なご身分の商家ですの?

     わたくしの知っている商人はどんなに努力しようが貴族より

     とうとくなることはありませんの。


山田  :昔の日本なら貴族的なものもあったかもしれないですが 

     ……今は稼いでる人が偉いですからね。

     ここのコンビニのグループのトップはお金持ち…めっちゃえらいです。


令嬢  :メッチャエライ。すごいという事ですの?


山田  :うん。だからこの服を着て、お店のために働くと働いた分だけ

     お金がもらえるんです。

     着てもらえますね?


令嬢  :ええ。ヤマダにはお世話になりましたもの!

     わたくし、しっかりとおもてなしをさせていただきますわ!


ナレ  :令嬢が着替える。

     山田が着替えた令嬢にレジを教える。


山田  :じゃあレジはこんな感じです。

     品出し行っちゃいますね。

     困ったら、呼んでくれたら戻りますんで。


令嬢  :ええ。ベルはどこかしら?


山田  :無いです。声で呼んでください。


令嬢  :あら、こんなに便利なものがあるのにベル一つもないなんて

     本当に不思議な世界ですのね。


ナレ  :女子高生が入店する。


令嬢  :あらあらあら!入店ベルがなりましたわ!

     ずっと気になっておりましたの!

     これはどこで演奏されていますの!?


山田  :いらっしゃいませー。


令嬢  :ヤマダ!聞いておりますのよ!無礼でしてよ!


山田  :接客してるんです!お客様がご来店なされたら

     何が何でも『いらっしゃいませ』っていうんです!


令嬢  :そ、そうですの?でもわたくし質問をしている最中でしてよ?


山田  :入店のは機械で鳴っているんです。

     あれが聞こえたらすぐに『いらっしゃいませ』

     いいですね?


令嬢  :いらっしゃいませ…。(不機嫌そう)


客   :…え!?


令嬢  :あら?どうなさいましたの?庶民。


山田  :お客様!!庶民じゃなくて、お客様です!


令嬢  :お、おきゃくさま。


客   :えええええ!!ロ、ロマンティカの悪役令嬢じゃん!

     そっくりー!やべー!!髪の毛くるっくるやん!

     はぁ!?マジ?うわー。レイヤーさんっすか!?


ナレ  :レイヤー。コスプレイヤーのこと。


令嬢  :ヤマダ。これはどう対応するんですの。


山田  :いや、これはイレギュラーですね。お客様、落ち着いてください。


客   :はああああ!?あんたわかんないの!?

     ロマンティカっつったらイラストレーターが5000万フォロワー越えの

     ガチ絵師使ってて超やべぇんですけど!?うわー!!え?

     さっきの庶民ってのもう一回言ってくださいよ!


令嬢  :ヤマダ。お客様が庶民と呼ばれたがっている場合はどうするんですの。


山田  :本当はダメだけどうるさいから呼んでさしあげて。


令嬢  :(ため息)庶民が。何も購入なさらないのでしたら

     勝手に門をくぐる侵入者ということでよろしくて?

     兵は居ませんの?


山田  :セコムなら契約してますけど、これで呼んだら怒られますね。


令嬢  :あら、セコムとおっしゃるのね。覚えましたわ。


客   :あ~マジだーー!なんでドレスじゃないのー!?


山田  :ここの店員だからですよ。お客様、業務に差し支えますので

     これ以上新人の……。


客   :うっせぇな!わたしは悪役令嬢と話したいんだよ!

     こんな、ゲームからまんま出てきたみたいな顔。やば!やばー!


ナレ  :客がスマホで写真を撮り続ける。


令嬢  :なんですの!?変な音がたくさんしますわ!わたくしに向ける

     それ。ヤマダも持っていたものですわよね!?

     ああっやめてくださいまし!とても不快ですわ!


客   :パネェー!!動画!動画撮って拡散したら超バズんじゃね!?


令嬢  :ああっ言語が理解できませんわ!詠唱えいしょうかしら?

     ヤマダ、通訳を。


山田  :若者言葉です。このままだと令嬢のお姿や言葉が世界中に発信されます。


令嬢  :まあ!魔術師でしたの!?


山田  :お客様。この店にも防犯カメラがあるんです。

     これ以上忠告を聞いてくださらないなら警察を呼びます。


客   :え!?こんなんで呼ぶのかよ。


山田  :肖像権の侵害と業務妨害です。データも消してください。


客   :わかった。じゃあバイト終わるまで待つよ。

     こんなに悪役令嬢そっくりなのすげーもん!マジ興奮した。


山田  :データを消してください。


客   :やだよ!


令嬢  :初対面なのにさっきから悪役などと…。

     ヤマダが優しいから忘れていましたわ。

     やはり、庶民は庶民ですのね。無礼、下品、話す価値などありませんわ。


客   :おおーーーー。(感激している)


令嬢  :なんで喜ぶんですの。


山田  :(小声)もう警察は呼んでます。到着したら映像を取り消させます。


令嬢  :ヤマダは本当に有能ですわ。


客   :ああそうだ。唐揚げ買いに来たんだった。

     悪役令嬢、カラクチ唐揚げちょうだい。


令嬢  :誰があなたなどに差し上げるものですか!


山田  :ああそれは差し上げて。


令嬢  :なぜ!?


山田  :商品を店で購入しようとしているからです。


令嬢  :頂戴ちょうだいと言いましたのよ!?

     強盗かと思いましたわ!ややこしいですわ!


山田  :強盗してくれたら本当に出禁にしてやれるのに。


客   :山田こえぇ。


令嬢  :からあげの出し方は覚えましたわ。


客   :すげーすげー!!めっちゃ物腰上品じゃん!!


ナレ  :客がまた連写で写真をとったり、動画をとりはじめる。


令嬢  :(睨みながら)今すぐおやめなさい。

     人の嫌がることもわからないなんて、虫以下ですわ。


客   :しびれるぅううう!!あ~主人公の聖女になれた気分。


山田  :聖女…?


客   :ロマンティカの主人公だよ!光魔法の唯一の使い手。

     可憐かれん慈愛じあいに満ちたおくゆかしい超絶美少女!

     風魔法の使い手の王子がマジ好みでさー!

     わたし主人公に憑依的な気分でやってたらガチ恋しちゃったんだよねぇ。


山田  :はあ。あ。やっと来た。



ナレ  :警察が到着し、事情を説明して客にデータを消させた。



令嬢  :助かりましたわ。


客   :ああああん!せっかくとったのに!もう一回!


ナレ  :警察がまだおり、客は厳重注意を受けながら店の外に連れて行かれた。



令嬢  :風魔法…王子。

     あの者はわたくしの婚約者を奪うと?

     そういうむねをおっしゃっていたのかしら。


山田  :あとで店長と情報共有してシフトもあの客が来なさそうな

     時間に変えるよ。もし辛かったら別のバイトにしたらいいし。


令嬢  :いいえ。あの者程度にわたくしが振り回されるわけにはいきませんわ。


山田  :大丈夫?


令嬢  :だいじょうぶでしてよ!ほほほ!


山田  :令嬢らしい笑い方だね。(つられて笑いながら)


令嬢  :ヤマダ、あなたの時々柔らかくなる話し方が好きでしてよ。

     特別に砕けた話し方を許して差し上げますわ!


山田  :はいはい。じゃあバイトは続けるってことかな。


令嬢  :『いらっしゃいませ』『お客様』覚えましたわ!


山田  :あ、来たよ。いらっしゃいませー!


令嬢  :いらっしゃいませ!



ナレ  :令嬢は物覚えが早く、数日後には一人前のコンビニ店員になっていた。



山田  :お疲れ様。このバイトそんなに好きなの?


令嬢  :ヤマダにお返しができるのが嬉しいんですの。

     それに。


山田  :それに?


令嬢  :からあげがとっても美味しいんですの!


山田  :太るよ。


令嬢  :そうしたら、たくさん働けばいいんですのよ!ほーほほほ!


山田  :まあ、楽しそうならいいや。




ナレ  :令嬢のバイト生活はまだ続くようだ。






     




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